フリーランスに仕事を発注する会社は、取引条件を書面または電磁的方法で「直ちに」明示する義務と、報酬を給付の受領日から60日以内に支払う義務を負います。根拠は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス保護新法)の第3条と第4条です。
これは大企業だけのルールではありません。従業員を雇っている個人事業主や、役員が2人以上いる法人も「特定業務委託事業者」として義務の対象になります。この記事では、ことのりで実際に検索した結果と条文をもとに、発注側が最低限おさえるべき点を整理します。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。法令は改正されることがあり、個別の取引や雇用の実態によって当てはめが変わります。実際の判断にあたっては、必ず最新の条文や所管庁の案内、必要に応じて専門家にご確認ください。
そもそも誰と誰の取引が対象になるのか
この法律が対象にするのは、「特定受託事業者」に対する「業務委託」です。生検索の結果によれば、当事者はそれぞれ次のように整理されます。
- 特定受託事業者(受注側・いわゆるフリーランス):個人であって従業員を使用しない者、または法人であって代表者以外に役員がなく従業員も使用しない者
- 特定業務委託事業者(発注側):業務委託をする事業者のうち、個人であって従業員を使用する者、または法人であって2以上の役員があるか従業員を使用する者
つまり、「従業員がいる or 役員が複数いる」側から「ひとりで仕事を請けている」側へ発注するときに、発注側の義務が発生する構造です。自社を「小さい会社だから関係ない」と考えるのは危険で、パート・アルバイトを雇っていれば発注側の義務がかかり得ます。
対象となる「業務委託」は、物品の製造(加工を含む)や情報成果物の作成の委託、および役務の提供の委託です(同法第2条第3項)。デザイン、ライティング、システム開発、撮影、配送、清掃なども広く含まれ得ます。
義務1:取引条件の明示(第3条)
同法第3条は、業務委託をした場合は直ちに、給付の内容・報酬の額・支払期日その他の事項を、書面または電磁的方法により明示しなければならないと定めています。「あとで契約書を作る」ではなく、発注した時点で明示することが求められます。
条文上、明示すべき事項として挙げられているのは次のとおりです。
- 特定受託事業者の給付の内容(何をしてもらうのか)
- 報酬の額
- 報酬の支払期日
- その他、公正取引委員会規則で定める事項
メールやチャット、発注システムなどの電磁的方法で明示した場合でも、受注側から書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付する必要があります(第3条第2項)。ただし、受注側の保護に支障を生じない場合として規則で定める場合は例外とされています。
内容が決まらない項目があるとき
第3条第1項ただし書きは、その内容が定められないことにつき正当な理由がある事項については、明示を要しないとしています。ただし免除ではなく先送りで、内容が定まった後は直ちに、書面または電磁的方法で明示しなければなりません。「決まっていないので伝えないままにする」という運用は認められていません。
義務2:報酬の支払期日は「受領日から60日以内」(第4条)
同法第4条は、報酬の支払期日について、給付を受領した日(役務提供の場合は役務の提供を受けた日)から起算して60日の期間内で、かつできる限り短い期間内に定めなければならないと規定しています。検査をするかどうかを問わない点も条文に明記されています。
支払期日を定めなかった場合や、60日を超える期日を定めてしまった場合の扱いも条文で決まっています。
- 支払期日を定めなかったとき → 給付を受領した日が支払期日とみなされる
- 60日を超える期日を定めたとき → 受領日から起算して60日を経過する日が支払期日とみなされる
「月末締め翌々月末払い」のような慣行は、受領日から60日を超える可能性があります。自社の締め日・支払日のサイクルが60日以内に収まっているかを、一度カレンダーで確認しておくと安全です。
再委託の場合は「元委託支払期日から30日以内」
他の事業者から受けた業務の全部または一部をフリーランスへ再委託した場合は、元委託者からの支払期日(元委託支払期日)から起算して30日以内で、かつできる限り短い期間内に支払期日を定める特例があります(第4条第3項)。この特例が使えるのは、再委託である旨・元委託者の名称・元委託支払期日などを受注側に明示した場合に限られます。
この場合も、支払期日を定めなかったときは元委託支払期日が支払期日とみなされ、30日を超えて定めたときは元委託支払期日から30日を経過する日が支払期日とみなされます(第4条第4項)。
支払遅延と前払金への配慮
発注側は定められた支払期日までに報酬を支払わなければなりません(第4条第5項)。受注側の責めに帰すべき事由により支払えなかったときは、その事由が消滅した日から起算して60日(再委託の場合は30日)以内に支払う必要があります。
また再委託において元委託者から前払金を受け取ったときは、資材の調達など業務の着手に必要な費用について、フリーランス側へも前払金を支払うよう適切な配慮をしなければならないとされています(第4条第6項)。
発注側が実務でまずやること
条文の内容を日常業務に落とすと、次の3点にまとまります。
- 発注テンプレートを1つ作る:給付の内容・報酬の額・支払期日を必ず含んだメール文面や発注書のひな形を用意し、口頭発注をなくす
- 支払サイクルを検算する:締め日と支払日の組み合わせが、受領日から60日以内に収まるかを実際の日付で確認する
- 再委託案件を洗い出す:元請けから受けた仕事を外注しているものは、30日ルールと明示要件の対象になり得るため個別に確認する
取引条件の明示や報酬支払期日のほかにも、この法律には募集情報の的確表示、育児介護等への配慮、ハラスメント相談体制の整備といった発注側の遵守事項が定められています。自社の取引形態に応じて、所管である公正取引委員会・厚生労働省の案内もあわせて確認してください。
条文の原文も、その場で確認できます
ことのりなら、フリーランス保護新法の条文や公正取引委員会・厚生労働省の資料を、出典リンク付きで一度に確認できます。自社の発注が対象になるか迷ったときの「最初の一歩」にご活用ください。
フリーランス発注のルールをことのりで調べるよくある質問
Q. 従業員がいない一人社長の会社が発注する場合も対象になりますか?
発注側が義務を負う「特定業務委託事業者」は、個人であって従業員を使用する者、または法人であって2以上の役員があるか従業員を使用する者と整理されています。役員が代表者ひとりだけで従業員もいない法人は、この定義には当たらないと考えられますが、役員の追加や従業員の雇用によって該当することがあります。自社の該当性は最新の条文と公正取引委員会の案内でご確認ください。
Q. 発注のたびに契約書を交わす必要がありますか?
条文が求めているのは「書面または電磁的方法による明示」であり、必ずしも押印した契約書に限られません。メールや発注システムなど電磁的方法でも明示は可能です。ただし電磁的方法で明示した場合に、受注側から書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付する必要があります(同法第3条第2項)。
Q. 支払期日を「月末締め翌々月末払い」にしていますが問題ありますか?
同法第4条は、給付を受領した日から起算して60日以内、かつできる限り短い期間内で支払期日を定めることを求めています。締め日と支払日の組み合わせによっては受領日から60日を超えることがあり、その場合は受領日から60日を経過する日が支払期日とみなされます。実際の日付で検算し、超えるようであれば支払サイクルの見直しが必要です。
出典(一次情報)
本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。最終的な判断は一次情報および専門家にご確認ください。