不動産取引における重要事項説明は、宅地建物取引業法第35条に基づき、宅地建物取引業者が契約の成立前に、宅地建物取引士をして、取引対象となる不動産に関する重要な情報を書面で説明することを義務づけた制度です。買主や借主が十分な情報を得たうえで契約の判断を行えるようにし、トラブルの未然防止と消費者保護を図ることを目的としています。この記事では、説明が義務づけられる主な事項と、説明の時期・実施者・方法を、条文の出典リンク付きで整理します。
重要事項説明とは(35条書面)
重要事項説明は、宅地建物取引業法第35条が定める、宅地建物取引業者の義務です。宅地建物取引業者は、宅地・建物の売買、交換、貸借の相手方等に対し、その契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、対象不動産に関する一定の事項を説明させなければなりません。説明に用いる書面は「重要事項説明書」と呼ばれ、35条に基づくことから一般に「35条書面」とも呼ばれます。
宅地建物取引士は、取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な流通に資するよう、公正かつ誠実に事務を行うことが求められています(宅地建物取引業法第15条)。
説明が義務づけられる主な事項
説明事項は、契約の内容(売買・交換・貸借、宅地・建物、新築・既存、区分所有など)に応じて要否が異なります。ここでは宅地建物取引業法第35条および同法施行規則第16条の4の3に基づく主な事項を整理します。
1. 物件に関する事項
- 登記された権利の種類・内容、登記名義人等:所有権・抵当権・賃借権などの権利関係や、登記簿上の所有者名。
- 法令に基づく制限の概要:都市計画法・建築基準法などによる用途地域、建ぺい率、容積率、接道義務、建築制限など。
- 私道に関する負担:私道の通行・掘削の承諾や維持管理費などの負担(建物の貸借契約以外の場合)。
- 飲用水・電気・ガス・排水施設の整備状況:未整備の場合はその見通しや特別の負担。
- 工事完了前の物件:宅地の造成や建築の工事完了前の場合、完了時の形状・構造など。
- 区分所有建物:敷地に関する権利、共用部分に関する規約、管理・使用に関する事項など。
- 既存建物:建物状況調査(インスペクション)の実施の有無とその結果の概要、設計図書・点検記録などの保存状況。
このほか、施行規則第16条の4の3により、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域内かどうか、水防法に基づくハザードマップ上の所在地、既存建物の石綿使用調査の有無、耐震診断の有無(昭和56年6月1日以降に新築工事に着手したものを除く)、新築住宅の住宅性能評価の有無などが、契約の種類に応じて説明事項とされています。
2. 取引条件に関する事項
- 授受される金銭の額と目的:代金・交換差金・借賃以外に授受される手付金、敷金、礼金、権利金などの額と目的。
- 契約の解除に関する事項:解除の条件や方法。
- 損害賠償額の予定・違約金:これらの定めがある場合はその内容。
- 手付金等の保全措置の概要:宅地建物取引業者が手付金等を受領する場合の保全措置。
- 支払金・預り金の保全措置の概要:これらを受領する場合の保全措置。
- 金銭の貸借のあっせん:住宅ローンなどのあっせん内容と、不成立の場合の措置。
- 契約不適合責任:種類・品質に関する契約不適合責任の履行に関する保証保険契約などの措置の有無と概要。
3. 供託所等に関する事項
宅地建物取引業者は、相手方等(宅地建物取引業者を除く)に対し、契約が成立するまでの間に、営業保証金を供託している供託所の名称・所在地、または保証協会の社員である旨とその名称・所在地などを説明する必要があります(宅地建物取引業法第35条の2)。なお、割賦販売の場合は現金販売価格・割賦販売価格・賦払金の額や支払時期などが、信託受益権の売買の場合は信託財産である宅地・建物に関する事項が、それぞれ追加で定められています。
説明の時期・実施者・方法
- 時期:売買・交換・貸借の契約が成立するまでの間に行います(第35条)。
- 実施者:説明は宅地建物取引士が行います。
- 方法:宅地建物取引士は、説明事項を記載し記名した書面を交付し、その書面に基づいて説明します。説明にあたっては、相手方に宅地建物取引士証を提示しなければなりません。
IT重説(電磁的方法による説明):相手方の承諾を得て、書面の交付に代えてオンライン会議システムなどの電磁的方法で説明を行うことも可能です。この場合、宅地建物取引士証の提示に代わる措置を講じたうえで、相手方が書面を出力でき、情報の改変が行われていないか確認できる措置などが必要です(施行規則第16条の4の8、国土交通省「ITを活用した重要事項説明」)。
35条書面と37条書面の違い
- 35条書面(重要事項説明書):契約締結前に交付・説明される書面。物件や取引に関する重要な情報を相手方に理解させることが目的です(第35条)。
- 37条書面(契約書面):契約締結後に遅滞なく交付される書面。当事者、物件の特定表示、代金、引渡し時期、契約解除、損害賠償などの契約内容を記載し、契約の成立を証します(第37条)。
両者は交付の時期と目的が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
宅地建物取引業者間取引の特例
宅地建物取引業者同士の取引の場合、重要事項の説明義務は免除され、書面の交付のみで足りるとされています(第35条)。宅地建物取引業者であれば専門知識を有しており、説明がなくても内容を理解できると考えられているためです。
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重要事項説明について調べてみるよくある質問
重要事項説明は誰が、いつ行いますか?
宅地建物取引業者は、売買・交換・貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして説明を行わせます。宅地建物取引士は書面を交付してその書面に基づき説明し、相手方に宅地建物取引士証を提示します(宅地建物取引業法第35条)。
重要事項説明書(35条書面)と契約書面(37条書面)はどう違いますか?
35条書面は契約締結前に交付・説明され、物件や取引に関する重要な情報を相手方に理解させることが目的です。37条書面は契約締結後に遅滞なく交付され、契約内容を明確にして契約の成立を証する書面です。交付の時期と目的が異なります。
オンライン(IT重説)で重要事項説明はできますか?
相手方の承諾を得たうえで、書面の交付に代えて電磁的方法による説明(IT重説)を行うことができます。その場合も、宅地建物取引士証の提示に代わる措置や、相手方が書面を出力できること、情報の改変防止措置など、施行規則で定められた要件を満たす必要があります。
出典(一次情報)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。