結論:第56回(令和6年度) 社会保険労務士試験 択一式 健康保険法 第2問(健康保険法(任意特定適用事業所・保険医への指導・国庫負担金・会計監査人・日雇拠出金))で、ことのりは5記述のうち公式正答と一致したのは3記述(B・D・E)で、正しい記述Aと記述Cも『誤り』と判定してしまい、公式正答Bを唯一の誤り肢として絞り切れませんでした。唯一の誤り肢B(保険医への指導と学識経験者の立会い)は正しく見抜いたのに、正しい記述A(短時間労働者への任意適用拡大)と記述C(国庫負担金)も『誤り』と余分に判定してしまい、正解を1つに絞り切れなかった回です。うまくいった回だけでなく、外した回も隠さず公開します。

本記事は、AI法令検索「ことのり」(本番稼働中のサービスそのもの)に実際に検索を実行させた結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した検証記録です。試験問題および正答は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する社会保険労務士試験の問題・正答から引用しています。本記事は特定の試験対策・法的助言を目的とするものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の条文や一次情報、必要に応じて専門家にご確認ください。

検証の方法

第2問は、健康保険法(任意特定適用事業所・保険医への指導・国庫負担金・会計監査人・日雇拠出金)に関する5つの記述(A〜E)のうち「誤っているものはどれか」を選ぶ問題です。方法はシリーズ共通で、各記述を1つずつ、「次の記述は、現行法令に照らして正しいですか、誤っていますか。根拠となる条文を挙げて判定してください」という形で本番稼働中のことのりにそのまま入力し、返ってきた判定を公表の正答と照合しました。プロンプトの工夫・再試行・人間による誘導はありません。

ことのりの判定結果:5記述中3記述が一致(2記述を取りこぼし)

記述ことのりの判定挙げた主な根拠条文公式正答との照合
選択肢A誤り健康保険法附則3条(任意特定適用事業所)× 不一致
選択肢B誤り健康保険法73条○ 一致
選択肢C誤り健康保険法151条・健康保険法施行令50条・51条× 不一致
選択肢D正しい健康保険法7条の29○ 一致
選択肢E正しい健康保険法173条○ 一致

各記述の解説

選択肢A:ことのりの判定「誤り」(公式と不一致)

記述:被保険者の総数が常時100人以下の企業であっても、健康保険に加入することについての労使の合意(被用者の2分の1以上と事業主の合意)がなされた場合、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、月額賃金が8.8万円以上であること、2か月を超える雇用の見込みがあること、学生でないことという要件をすべて満たす短時間労働者は、企業単位で健康保険の被保険者となる。

根拠条文:健康保険法附則3条(任意特定適用事業所)
ことのりは『誤り』と判定しましたが、公式正答は『正しい』です。本問は令和6年度試験(第56回・2024年8月実施)で、当時の適用拡大制度では、被保険者数が常時100人以下の企業でも、労使合意(同意対象者の2分の1以上と事業主の合意等)に基づき申出をすれば『任意特定適用事業所』として短時間労働者を企業単位で適用できる仕組みが整えられていました(日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」)。所定労働時間20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生でないという4要件も現行の適用要件と一致します。ことのりは、令和6年10月改正で特定適用事業所の要件が『50人超』に変わった点や、施行時期の細部を厳しく突き合わせて『誤り』と判断しましたが、令和6年8月時点の制度に照らせば全体としては正しい記述でした。

選択肢B:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)

記述:保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。厚生労働大臣は、この指導をする場合において、常に厚生労働大臣が指定する診療又は調剤に関する学識経験者を立ち会わせなければならない。

根拠条文:健康保険法73条
これが公式正答(=誤っている肢)です。健保法73条1項の指導受諾義務は正しいものの、73条2項では『指導を行う場合において、必要があると認めるときは、学識経験者を立ち会わせる』とされており、『常に』ではありません。ことのりも73条2項の文言に照らして『後半の常にが誤り』として『誤り』と正しく判定しました。

選択肢C:ことのりの判定「誤り」(公式と不一致)

記述:国庫は、毎年度、予算の範囲内において健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担することになっており、健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。また、その国庫負担金は概算払いをすることができる。

根拠条文:健康保険法151条・健康保険法施行令50条・51条
ことのりは『誤り』と判定しましたが、公式正答は『正しい』です。国庫負担の基本原則は健保法151条に定められ、健康保険組合への交付額の算定基準(被保険者数)や概算払いの取扱いは健康保険法施行令(50条・51条)に定められています。ことのりは、法本体(151条)の条文には到達したものの、施行令の該当条までは十分に拾えず『提供された条文からは直接的な根拠を見出せない』として『誤り』と判断してしまいました。『根拠が見当たらないから誤り』はAIが陥りやすい落とし穴で、実際は下位法令に規定がある論点で外しやすい傾向があります。

選択肢D:ことのりの判定「正しい」(公式と一致)

記述:協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、厚生労働大臣が選任する会計監査人である公認会計士又は監査法人から監査を受けなければならない。

根拠条文:健康保険法7条の29
全国健康保険協会の財務諸表等に関する会計監査人監査の規定(健保法7条の29)と一致します。ことのりも7条の29を引いて『完全に正しい』と判定し、公式(誤りではない)と一致しました。

選択肢E:ことのりの判定「正しい」(公式と一致)

記述:厚生労働大臣は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等、介護納付金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用を含む。)に充てるため、健康保険法第155条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合から拠出金を徴収する。

根拠条文:健康保険法173条
日雇拠出金の徴収に関する健保法173条1項の規定と一致します。ことのりも173条を引いて『正しい』と判定し、公式(誤りではない)と一致しました。

この結果から言えること

  • ことのりは、唯一の誤り肢B(『必要があるとき』ではなく『常に』学識経験者を立ち会わせるとする点)を、健保法73条2項の文言に照らして正しく見抜けました。
  • 一方で、正しい記述A(100人以下企業の任意特定適用事業所)と記述C(国庫負担金)も『誤り』と余分に判定してしまいました。Aは令和6年10月改正の要件変更を厳しく当てはめすぎ、Cは施行令に定めがある取扱いを『条文本体に見当たらない』として否定してしまいました。
  • 教訓は明確です。『誤っているものはどれか』形式では、AIが安全側に振れて複数の記述を『誤り』としてしまうと、正解を1つに絞れず外すことがあります。とくに『条文本体に見当たらないから誤り』という判断は、施行令・施行規則・附則に規定がある論点で誤りやすいため、下位法令まで確認する必要があります。
  • 本記事は、うまくいった回だけでなく外した回も隠さず公開するシリーズ方針に沿うものです。

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よくある質問

AIが『誤り』と言ったら本当に誤りですか?

必ずしもそうではありません。本検証の記述A・Cのように、AIは根拠条文が見当たらないと安全側に振れて『誤り』と判定することがあります。施行令・施行規則・附則にも規定がないか一次情報で確認してください。

『誤っているものはどれか』形式でAIを使うコツは?

各記述の判定結果を鵜呑みにせず、AIが『誤り』と判定した理由を1つずつ根拠条文(e-Gov)と突き合わせるのが有効です。特に施行令・施行規則にまたがる論点は、法本体だけを見るAIが外しやすいので注意してください。

出典(一次情報)