会社法の現物出資は、原則として裁判所が選任する検査役の調査が必要ですが、会社法第33条第10項の3つの要件(500万円以下、市場価格のある有価証券、専門家証明)のいずれかを満たせば、検査役調査は不要になります。
このテーマを取り上げたきっかけは、「不動産の現物出資、株主総会決議で可能に 中小・新興後押しへ法改正」というニュースです。中小企業や新興企業の資金調達・組織再編を後押しするため、不動産の現物出資にかかる検査役調査などの手続き負担を軽減する会社法改正の動きが報じられました。改正動向を理解するうえでも、まずは現行の会社法上の現物出資規制と検査役調査の例外を整理しておく必要があると考え、関連する法令を調べました。本記事では、現物出資の基本手続き、検査役調査の目的、そして調査が不要となる3つの要件を、会社法の条文に基づいてやさしく解説します。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。会社法は改正動向や法務省令、登記実務との関係で取扱いが変わることがあり、特に不動産の現物出資は今後の法改正で要件が変わる可能性があります。実際の手続きでは、最終判断は一次情報(e-Gov掲載の条文)と弁護士・司法書士・税理士など専門家にご確認ください。
現物出資とは何か:基本原則と手続きの流れ
現物出資とは、会社の設立時や新株発行時に、金銭以外の財産(不動産、動産、債権、有価証券、知的財産権など)を会社に給付し、その対価として株式の交付を受ける制度です。資金が潤沢でない中小企業や、特定の資産を会社に集中させたい場合に活用されます。
発起人には、引き受けた設立時発行株式について、出資にかかる金銭の全額を払い込むか、金銭以外の財産の全部を給付する義務があります(会社法第34条第1項)。これが現物出資の履行義務にあたります。
設立時における現物出資の手続きは、まず定款に現物出資財産の種類・数量・価額・出資者の氏名などを記載することから始まります。原則として、定款に現物出資に関する記載がある場合、発起人は公証人の認証後遅滞なく、裁判所に対して検査役の選任を申し立てる必要があります(会社法第33条第1項)。検査役による調査を経て、財産の給付が行われ、会社設立登記へと進みます。
検査役調査の目的:なぜ原則として必要なのか
検査役調査は、現物出資される財産の価額が適正かどうかを客観的に評価し、会社財産の充実を確保するための制度です。金銭出資とは異なり、現物出資される財産は評価が恣意的になりやすく、過大評価されれば資本充実の原則が損なわれ、株主や債権者の利益を害するおそれがあります。
会社法第33条第1項は、定款に現物出資に関する事項が記載されている場合、発起人は裁判所に対して検査役の選任を申し立てなければならないと定めています。選任された検査役は必要な調査を行い、その結果を記載した書面または電磁的記録を裁判所に提供して報告します(同条第4項)。裁判所は報告内容を不当と認めた場合、現物出資の価額等を変更する決定をすることができます(同条第7項)。
検査役調査が不要となる3つの要件
会社法第33条第10項は、次のいずれかの要件を満たす場合に、検査役調査を不要とする例外を定めています。
要件1:現物出資財産等の価額の総額が500万円を超えない場合
定款に記載された現物出資財産の価額の総額が500万円を超えない場合、検査役調査は不要となります(会社法第33条第10項第1号)。少額の現物出資であれば、評価の適正性に対するリスクが相対的に低いと判断されるためです。小規模な会社設立や増資で最もよく活用される、最も簡便な免除要件です。
要件2:市場価格のある有価証券の場合
現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券について、定款に記載された価額が、法務省令で定める方法により算定される当該有価証券の市場価格を超えない場合、検査役調査は不要となります(会社法第33条第10項第2号)。市場価格が客観的に形成されている有価証券であれば、その価格をもって適正評価とみなせるためです。
要件3:弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合
現物出資財産等について、定款に記載された価額が相当であることにつき、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明を受けた場合、検査役調査は不要となります(会社法第33条第10項第3号)。
ただし、現物出資財産が不動産である場合は、上記の専門家証明に加えて、不動産鑑定士の鑑定評価も必要になります。客観的な市場価格が存在しない不動産については、より厳格な評価担保が求められているわけです。
専門家証明を行える人の制限
証明者は独立した第三者でなければならず、会社法第33条第11項により、次の者は証明を行うことができません。
- 発起人
- 会社法第28条第2号の財産の譲渡人
- 設立時取締役または設立時監査役
- 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
- 上記に該当する者が社員の半数以上を占める弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人または税理士法人
これは、証明の客観性と独立性を確保するための仕組みです。
実務上の留意点:免除されても評価責任は残る
検査役調査の免除要件を使えば、手続きは大幅に迅速化し、費用も削減できます。しかし注意したいのは、免除を受けても財産評価の適正性に対する責任は、依然として発起人や会社が負うという点です。不当な評価が行われた場合、後日、会社や役員が責任を追及されるリスクがあります。
とくに不動産や知的財産権など、客観的な市場価格がない財産を現物出資する場合は、専門家による証明が有効な選択肢になりますが、証明者の独立性要件(会社法第33条第11項)を厳格に守ることが不可欠です。免除要件は「使える」だけでなく「使い方を間違えない」ことが重要になります。
条文の原文も、その場で確認できます
「会社法第33条第10項の各号は実際にどう書かれているか」「不動産の場合の不動産鑑定士の規定はどこにあるか」など、原文ベースで確認したい場合は、ことのりで条文と出典リンクをまとめて取得できます。
現物出資と検査役調査をことのりで調べるよくある質問
Q1. 現物出資できる財産にはどんなものがありますか?
金銭以外の財産が対象で、具体的には不動産、動産、債権、有価証券、知的財産権などが該当します。会社法第34条第1項は、発起人が引き受けた設立時発行株式について、金銭の払込みに代えて「金銭以外の財産の全部を給付」することを認めており、これが現物出資の根拠規定になります。
Q2. 不動産を現物出資するとき、専門家証明だけで検査役調査を省略できますか?
原則としてはできません。会社法第33条第10項第3号により、弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受ければ検査役調査は免除されますが、不動産の場合はこれに加えて不動産鑑定士の鑑定評価も必要です。不動産は市場価格が一義的に定まらないため、より厳格な評価担保が求められています。
Q3. 検査役調査を免除すれば、評価の責任もなくなりますか?
いいえ、なくなりません。検査役調査の免除はあくまで手続きの簡素化であり、財産評価の適正性に対する責任は発起人や会社が引き続き負います。不当な評価が行われた場合、後日、会社や役員が責任を追及されるリスクがあるため、免除要件を使う場合でも、評価の適正性には十分な注意が必要です。
出典(一次情報)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。