令和8年度のエイジフレンドリー補助金の受付が始まり、高年齢労働者の労働災害防止に向けた「リスクアセスメントを踏まえた職場環境改善」や運動指導等の取組が補助対象として整理されました(関連ニュース)。この補助金の背景には、労働安全衛生法第62条の2に基づく事業者の努力義務と、規則上のリスクアセスメント実施義務があります。だからこそ、補助金活用の前提として「高年齢労働者の安全配慮義務とリスクアセスメント」の中身を一度押さえておく必要があると考え、関連する法令を「ことのり」で実際に調べました。

この記事では、中小企業が高年齢労働者を雇用するときに求められる労働安全衛生法上の安全配慮義務と、リスクアセスメントの実施・記録・周知の要件を、条文ベースで整理します。エイジフレンドリー補助金の対象として整理された「リスクアセスメントを踏まえた対策」がなぜ重要なのか、その法的根拠も合わせて確認できます。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。労働安全衛生に関する法令は、業種・作業内容・労働者の状態によって運用が変わることがあり、また厚生労働省の指針や通達も随時更新されます。実際の対応にあたっては、必ず一次情報(e-Govの条文・厚生労働省の指針)をご確認いただき、最終的な判断は労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

高年齢労働者への安全配慮義務の基本枠組み

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。事業者は、労働者が安全に働けるよう必要な配慮をする「安全配慮義務」を負っており、特に高年齢労働者については、その心身の条件や特性に配慮した安全衛生対策が求められます。

中高年齢者への適正配置の努力義務(第62条)

労働安全衛生法第62条は、事業者に対し、中高年齢者その他労働災害の防止上特に配慮を必要とする者について、その心身の条件に応じて適正な配置を行うよう努めるべきことを定めています。視力や聴力の低下、運動能力の変化などを考慮して、無理のない作業内容や作業場所を割り当てることが想定されています。

高年齢者の労働災害防止のための措置(第62条の2)

労働安全衛生法第62条の2では、事業者は、高年齢者の労働災害防止を図るため、高年齢者の特性に配慮した「作業環境の改善」「作業の管理」「その他の必要な措置」を講ずるよう努めなければならないとされています。また、厚生労働大臣は、これらの措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を公表することとされています。

この指針が「高年齢労働者の労働災害防止のための指針」であり、安全衛生管理体制の確立、職場環境の改善、健康・体力状況の把握、健康・体力状況に応じた対応、安全衛生教育の5つの柱で構成され、その中でリスクアセスメントの実施が明記されています。

関連する努力義務・義務

  • 労働安全衛生法第59条:労働者を雇い入れたとき、または作業内容を変更したときは、業務に関する安全または衛生のための教育を行う義務。
  • 労働安全衛生法第65条の3:労働者の健康に配慮し、従事する作業を適切に管理するよう努める義務。

リスクアセスメントの実施義務の中身

リスクアセスメントは、潜在的な危険源を特定し、リスクを評価し、そのリスクを低減するための措置を講じる一連のプロセスです。労働安全衛生規則において、特定の危険性または有害性のある化学物質等を取り扱う業務について義務付けられています。高年齢労働者の雇用に際しては、その特性を考慮したリスクアセスメントの実施が重要となります。

実施時期(規則第34条の2の7)

労働安全衛生規則第34条の2の7は、リスクアセスメントを次の時期に行うものと定めています。

  • リスクアセスメント対象物を原材料等として新規に採用し、または変更するとき。
  • リスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う業務に係る作業の方法または手順を新規に採用し、または変更するとき。
  • 上記以外で、危険性または有害性等について変化が生じ、または生ずるおそれがあるとき。

高年齢労働者の就業は、労働者の特性の変化に該当し、リスクアセスメントの実施または見直しの契機となり得ます。

実施方法

同条では、リスクアセスメントは以下のいずれかの方法、またはこれらの併用により行うものとされています。

  • 当該リスクアセスメント対象物が労働者に及ぼす危険または健康障害のおそれの程度と、当該危険または健康障害の程度を考慮する方法。
  • 当該労働者がリスクアセスメント対象物にさらされる程度と、当該リスクアセスメント対象物の有害性の程度を考慮する方法。
  • 上記に準ずる方法。

結果の記録・保存・周知(規則第34条の2の8)

労働安全衛生規則第34条の2の8では、事業者はリスクアセスメントを行ったときに、次の事項を記録し、次にリスクアセスメントを行うまでの期間(最長3年間)保存するとともに、業務に従事する労働者に周知させなければなりません。

  • リスクアセスメント対象物の名称
  • 業務の内容
  • リスクアセスメントの結果
  • 結果に基づき講ずる危険または健康障害を防止するための措置の内容

周知は、作業場への掲示、書面交付、電子媒体での提供などにより行います。

努力義務と義務の違い、中小企業への適用

労働安全衛生法第62条および第62条の2に規定される高年齢労働者への配慮義務は「努めなければならない」という努力義務規定です。ただしこの努力義務は、事業者が安全配慮義務を果たす上での具体的な指針となり、これを怠った結果として労働災害が発生した場合には、民事上の損害賠償責任や、場合によっては刑事責任を問われる可能性もあります。

一方、労働安全衛生規則第34条の2の7同第34条の2の8のリスクアセスメントの実施義務は、規則上明確に義務付けられており、努力義務ではなく、違反した場合には罰則の対象となる可能性があります。

中小企業であることによる労働安全衛生法上の適用除外や軽減措置は、原則としてありません。事業規模にかかわらず、労働者の安全と健康を確保するための基本的な義務は同様に適用されます。ただし、具体的な対策の実施においては、企業の規模や業種、高年齢労働者の人数や業務内容に応じて、実情に合わせた柔軟な対応が想定されています。

実務で押さえたい5つのポイント

1. 高年齢労働者の特性の理解と個別対応

高年齢労働者は、身体機能の変化(視力、聴力、筋力、平衡感覚の低下など)や疾病の罹患リスクの増加といった特性を持つ一方で、豊富な経験や知識、高い職業意識といった強みも持ち合わせています。個々の高年齢労働者の健康状態、体力、経験、スキルを把握し、それに応じた業務内容や作業環境を検討することが重要です。

2. リスクアセスメントの実施と見直し

高年齢労働者が従事する業務について、労働安全衛生規則第34条の2の7に基づきリスクアセスメントを実施します。特に、高年齢労働者の特性を考慮した危険源(転倒、墜落、重量物取扱、高所作業、夜間作業など)を特定し、リスクを評価します。リスク低減措置は、危険源の除去 → 代替 → 工学的対策 → 管理的対策 → 個人用保護具の使用、の優先順位で検討します。

3. 作業環境・作業方法の改善

労働安全衛生法第62条の2同第65条の3を踏まえ、通路の段差解消、手すりの設置、十分な照明の確保、作業台の高さ調整、温度・湿度の適切な管理などの作業環境改善と、作業負荷の軽減、作業手順の簡素化、休憩時間の確保、複数人での作業体制の導入などの作業方法の見直しを進めます。

4. 安全衛生教育の徹底

労働安全衛生法第59条に基づき、高年齢労働者に対しても業務内容に応じた安全衛生教育を定期的に実施します。新しい機械や設備、作業方法を導入する際には、十分な教育と訓練が必要です。高年齢労働者の経験や知識を活かし、若年労働者への安全指導役として育成することも有効です。

5. 相談体制の整備

高年齢労働者が健康や安全に関する不安を気軽に相談できる体制を整備し、必要に応じて産業医や保健師、外部の専門機関と連携することが望まれます。

条文の原文も、その場で確認できます

労働安全衛生法や労働安全衛生規則の関連条文は、e-Govの一次情報で読むのが確実です。「ことのり」では、自社の状況に合わせた質問文をそのまま投げて、関連条文と出典リンクを一度にまとめて確認できます。

高年齢労働者の安全配慮義務をことのりで調べる

よくある質問

労働安全衛生法第62条の2は努力義務ですが、守らなくても問題ないのでしょうか?

労働安全衛生法第62条の2は「努めなければならない」と定めた努力義務規定です。ただし、この努力義務は事業者が安全配慮義務を果たす上での具体的な指針となるものであり、これを怠った結果として労働災害が発生した場合には、民事上の損害賠償責任や、場合によっては刑事責任を問われる可能性があるとされています。「努力義務だから守らなくてよい」と捉えることは適切ではありません。

高年齢労働者を新たに雇い入れる際は、リスクアセスメントをやり直す必要がありますか?

労働安全衛生規則第34条の2の7では、危険性または有害性等について「変化が生じ、または生ずるおそれがあるとき」にリスクアセスメントを行うものとされています。高年齢労働者の就業は労働者の特性の変化に該当し、リスクアセスメントの実施または見直しの契機となり得ます。配置転換や作業内容の変更、健康状態の変化があった場合にも、速やかに見直すことが望まれます。

リスクアセスメントの結果は、どのように保存・周知すればよいですか?

労働安全衛生規則第34条の2の8では、リスクアセスメント対象物の名称、業務の内容、リスクアセスメントの結果、結果に基づき講ずる措置の内容を記録し、次にリスクアセスメントを行うまでの期間(最長3年間)保存することが求められています。あわせて、業務に従事する労働者に対し、作業場への掲示、書面交付、電子媒体での提供などの方法で周知させる必要があります。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。