2025年10月、改正GX推進法による排出量取引制度の本格化を受けて、食品事業者を含む中小企業もCO2排出量の算定・報告や排出枠取引への対応が迫られているとのニュースが報じられました。中小事業者にとって「自社が対象になるのか」「具体的に何をしなければならないのか」は気になるところです。

そこで、改正GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)の条文を一次情報で確認し、排出量取引制度の対象事業者の範囲算定報告義務の内容排出枠の割当て・保有・取引のルールを整理しました。本記事を読むことで、自社がGX推進法の届出対象に該当するかの目安と、対象となった場合に求められる手続きの全体像を把握できます。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。GX推進法は段階的に施行されており、実施指針や省令の詳細は今後追加・改訂される可能性があります。自社の具体的な対応を判断する際は、必ず一次情報(e-Govの条文)および環境関連法令に詳しい専門家にご確認ください。

1. GX推進法の排出量取引制度とは

GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)は、日本の脱炭素化を加速するための法的枠組みで、その中核の一つに排出量取引制度が位置づけられています。企業の自主的な排出削減目標の設定と、排出枠の割当て・取引を通じて、市場メカニズムによる効率的な温室効果ガスの削減を目指す仕組みです。

制度の対象となるのは主に「脱炭素成長型投資事業者」で、対象事業者には排出量の算定・報告義務排出実績量に応じた排出枠の保有義務が課されます。なお、発電事業に係る「特定事業者排出枠」については別途GX推進法第27条に規定があり、本記事で扱う脱炭素成長型投資事業者排出枠とは区別されます。

2. 対象事業者の範囲

2-1. 届出義務の基準は「年度平均排出量10万トン以上」

事業活動に伴う二酸化炭素の年度平均排出量が政令で定める量以上である事業者は、毎年度、経済産業大臣への届出義務を負います(GX推進法第33条)。ここでいう「年度平均排出量」とは、当該年度の前三年度中の各年度ごとの排出量を平均した量を指します。

この政令で定める量は、同法施行令第2条により10万トンと定められています。つまり、年度平均で10万トン以上のCO2を排出する事業者が、届出義務の対象となります。

2-2. 届出に必要な事項

GX推進法第33条では、届出事業者は以下の事項を経済産業大臣に届け出ることとされています。

  • 名称、代表者氏名、本店所在地
  • 事業分野、事業活動内容
  • 二酸化炭素の年度平均排出量
  • 当該年度における排出目標量およびその設定の基礎となる事項
  • その他経済産業省令で定める事項

また、届出に際しては、排出目標量が政令で定める方法により適切に設定されていることについて、あらかじめ登録確認機関の確認を受ける必要があります。

2-3. 密接関係者との共同届出

発行済株式の全部を有する株式会社など、当該事業者と密接な関係を有する者と一体的に脱炭素成長型経済構造への移行に資する投資を行う場合、共同で届出を行うことが可能です。この場合、密接関係者の二酸化炭素排出量は、届出を行う事業者の排出量とみなされます(GX推進法第33条)。

3. 算定報告義務の内容

3-1. 排出実績量の報告

脱炭素成長型投資事業者は、割当年度の翌年度において、割当年度における排出実績量その他経済産業省令で定める事項を、経済産業大臣、環境大臣、および当該事業者の事業所管大臣に報告しなければなりません(GX推進法第35条)。

3-2. 算定方法は「実施指針」による

報告に係る排出実績量は、政令で定める方法により適切に算定されていることについて、登録確認機関の確認を受ける必要があります。具体的な算定方法については、同法施行令第5条により実施指針で定める排出実績量の算定方法によるものとされています。

3-3. 確認結果報告書の添付

GX推進法第35条に基づき、登録確認機関が確認した結果を記載した報告書を、排出実績量の報告に添付する必要があります。これにより、排出量取引制度の透明性と信頼性が確保される仕組みです。

4. 排出枠の取扱い

4-1. 排出枠は原則「無償割当」

経済産業大臣は、届出内容が実施指針に照らして適切であると認めた脱炭素成長型投資事業者に対し、届出に係る排出目標量を基礎として、脱炭素成長型投資事業者排出枠を無償で割り当てるものとされています(GX推進法第34条)。割当ては、法人等保有口座に排出枠の増加を記録することにより行われ、経済産業大臣はその旨を事業者に通知します。

4-2. 翌年度1月31日時点での保有義務

経済産業大臣は、脱炭素成長型投資事業者が報告した排出実績量に相当する排出枠の量を通知します。事業者は、この通知された量の排出枠を、割当年度の翌年度の1月31日に、その法人等保有口座において保有しなければなりません(GX推進法第36条)。実排出量に応じた排出枠の確保が義務付けられているということです。

4-3. 排出枠の取引は可能、ただし投機目的は禁止

脱炭素成長型投資事業者排出枠は、保有する者の間で取引の対象とすることができます。これにより、排出削減コストの低い事業者が排出枠を売却し、コストの高い事業者が購入することで、市場メカニズムを通じた効率的な排出削減が促進されます。

ただし、GX推進法第38条は、排出枠は投機的取引の対象とされてはならないと明確に規定しています。排出枠市場の健全性を維持し、本来の目的である排出削減への貢献を確保するための制限です。

4-4. 排出枠口座簿による管理

経済産業大臣は、排出枠の取得、保有、移転を管理するため、「排出枠口座簿」を作成し、法人等保有口座などを開設します(GX推進法第45条)。脱炭素成長型投資事業者排出枠の帰属は、この排出枠口座簿の記録により定まるものとされています(GX推進法第46条)。

5. 中小事業者・食品事業者が押さえておくべきポイント

条文を読み解くと、現時点でGX推進法に基づく届出義務の直接対象となるのは、年度平均CO2排出量が10万トン以上の事業者です(施行令第2条)。多くの中小食品事業者にとっては、この基準を直接超えるケースは限定的と考えられます。

一方で、制度の運用や実施指針は段階的に整備されていく見込みであり、今後の制度設計や運用状況によっては、サプライチェーン上の取引先からの算定協力依頼など、間接的な影響を受ける可能性があります。自社が直接の届出対象かどうかは、年度平均排出量と政令の閾値(施行令第2条)に照らして確認することが第一歩となります。

条文の原文も、その場で確認できます

本記事で引用したGX推進法の各条文や施行令は、AI法令調査ツール「ことのり」で原文を直接確認できます。自社の状況に当てはめて条文を読み込みたい方は、ぜひご活用ください。

GX推進法と排出量取引をことのりで調べる

よくある質問

Q1. 自社がGX推進法の届出義務の対象になるかは、何を見て判断すればよいですか?

事業活動に伴う二酸化炭素の年度平均排出量(前三年度中の各年度ごとの排出量の平均)が、政令で定める量以上かどうかが基準です(GX推進法第33条)。具体的な閾値は施行令第2条により10万トンと定められています。自社の排出量がこの水準を超えるかが判断の出発点になります。

Q2. 排出枠は購入する必要がありますか?無償でもらえるのですか?

脱炭素成長型投資事業者排出枠は、届出内容が実施指針に照らして適切と認められた場合、排出目標量を基礎として無償で割り当てられますGX推進法第34条)。ただし、実排出量が割当量を超える場合、不足分を他の事業者から取引で取得する必要が生じることになります(同法第36条)。

Q3. 排出枠は自由に売買して値上がり益を狙ってもよいのですか?

排出枠は保有者間で取引することはできますが、GX推進法第38条により投機的取引の対象とされてはならないと明確に規定されています。排出削減目的の枠組みであり、純粋な値上がり益を狙う取引は制度の趣旨に反するものとして禁止されています。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。