政府は2026年、予防接種法の改正案を閣議決定し、抗体製剤を予防接種の範囲に含める方針を示しました。これにより、事業者の従業員接種や健康管理の運用にも影響が及ぶ可能性があります。そこで本記事では、改正の動きを機に、現行の予防接種法における「事業者・自治体の役割」「従業員に対する予防接種の取り扱い」「費用負担」「健康被害救済制度」を、条文ベースで整理しました。

結論を先に言えば、予防接種法は国・都道府県・市町村の役割を中心に組み立てられた法律であり、事業者に対して従業員への接種を義務付ける直接の規定はありません。一方で、市町村が行う定期接種・臨時接種で健康被害が生じた場合には、同法に基づく救済制度が用意されています。職域接種など企業が任意で行う接種は、これらの法定接種とは扱いが異なる点に注意が必要です。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。予防接種は人の身体に直接関わる医療行為であり、健康被害救済の判断や職域接種の運用は個別事情によって扱いが変わります。実際に制度を利用したり、社内で職域接種を企画したりする場合は、必ず一次情報(e-Govの条文、厚生労働省の通知)と、医師・弁護士・社会保険労務士など専門家に最終確認をお願いします。

予防接種法の全体像

予防接種法は、感染症の発生およびまん延を予防するために必要な予防接種の実施、費用負担、そして健康被害が発生した場合の救済措置について定めた法律です。予防接種は大きく分けて、市町村長が政令で定める疾病について実施する「定期の予防接種」と、まん延予防上緊急の必要がある場合に行われる「臨時の予防接種」の二種類があります。

市町村長が行う定期の予防接種

市町村長は、A類疾病およびB類疾病のうち政令で定めるものについて、当該市町村の区域内に居住する者であって政令で定めるものに対し、保健所長(または都道府県知事)の指示を受け、期日または期間を指定して予防接種を行わなければならないとされています(予防接種法第5条)。これが、いわゆる「定期接種」の根拠条文です。

臨時に行う予防接種

都道府県知事は、A類疾病およびB類疾病のうち厚生労働大臣が定めるものについて、まん延予防上緊急の必要があると認めるときに、対象者や期間を指定して臨時の予防接種を行うか、市町村長に行うよう指示できます。また厚生労働大臣は、同様の必要があると認めるときに、都道府県知事に対して指示を行うことができます(予防接種法第6条)。新型インフルエンザや新型コロナのような事態に備えた仕組みです。

国・都道府県・市町村の役割

国(厚生労働大臣)の責務

国は、国民が正しい理解の下で予防接種を受けられるよう、啓発と知識の普及を図ること、ワクチンの研究開発推進と供給確保、予防接種事業従事者への研修、健康被害の発生状況や有効性・安全性に関する調査研究などを担います(予防接種法第47条)。臨時接種の実施を都道府県知事や市町村長に指示する権限も国にあります(同法第6条)。

都道府県知事の役割

都道府県知事は、定期の予防接種(A類疾病に係るもの)や臨時の予防接種の対象者に対し、接種を受けることを勧奨します(予防接種法第8条)。また、まん延予防上の緊急性が認められる場合には、自ら臨時接種を実施するか、市町村長に指示することができ、市町村長が実施する際の円滑な実施に協力します(同法第6条)。

市町村長の役割

市町村長は、定期接種の実施主体として、対象者に対して期日や期間を指定し接種を行わなければなりません(予防接種法第5条)。さらに、対象者への勧奨(同法第8条)、臨時接種の実施(同法第6条)、そして健康被害が発生した場合には厚生労働大臣の認定に基づく給付を行う責務(同法第15条)を担います。

予防接種にかかる費用は誰が負担するのか

予防接種に要する費用の支弁主体は、接種の種類ごとに条文で明示されています。定期の予防接種については市町村が、臨時の予防接種については都道府県または市町村が、それぞれ費用を支弁します。また、健康被害救済の給付に要する費用は市町村が支弁します(予防接種法第49条)。

ただし、定期の予防接種または特定B類疾病に係る臨時の予防接種を行った者は、接種を受けた者またはその保護者から政令の定めるところにより実費を徴収できる場合があります。経済的理由によりその費用を負担できないと認められるときは、この限りではないとされ、機会均等への配慮が条文に書き込まれています(予防接種法第52条)。

健康被害救済制度の仕組み

制度の趣旨

健康被害救済の仕組みは、予防接種がA類疾病・B類疾病からの社会の防衛に資するものであること、および予防接種を受けたことによる疾病が医学上の特性を有することを踏まえ、経済的・社会的諸事情の変動と医学の進歩に即応するよう定められるものとされています(予防接種法施行令第8条)。

給付の実施主体と認定

市町村長は、当該市町村の区域内に居住する間に定期の予防接種等を受けた者が疾病にかかり、障害の状態となり、または死亡した場合において、その疾病・障害・死亡が当該定期の予防接種等を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときに給付を行います。厚生労働大臣はこの認定にあたって審議会等の意見を聴取することとされています(予防接種法第15条)。

給付の範囲

A類疾病に係る定期の予防接種等、またはB類疾病に係る臨時の予防接種を受けたことによる疾病・障害・死亡について、次の給付が定められています(予防接種法第16条)。

  • 医療費および医療手当(疾病について医療を受ける者に支給)
  • 障害児養育年金(政令で定める程度の障害状態にある18歳未満の者を養育する者に支給)
  • 障害年金(政令で定める程度の障害状態にある18歳以上の者に支給)
  • 死亡一時金(A類疾病等)または遺族年金・遺族一時金(B類疾病)
  • 葬祭料(葬祭を行う者に支給)

事業者と従業員の予防接種をどう考えるか

事業者に直接の接種義務はない

予防接種法は国民一般を対象とした公衆衛生上の法律であり、事業者に対して従業員への予防接種を義務付ける規定は置かれていません。職域でのインフルエンザ接種のように、企業が福利厚生や感染症対策の一環として任意に推奨・実施する形が一般的です。

従業員が法定の予防接種を受けた場合

従業員が、市町村が実施する定期接種または臨時接種を受けたことによって健康被害を受けた場合は、予防接種法の健康被害救済制度の対象となり得ます(同法第15条同法第16条)。費用を企業が補助しているかどうかにかかわらず、接種そのものが法定の枠組みであれば、給付の判断は厚生労働大臣の認定によって行われます。

企業が任意で実施した法定外の接種の場合

一方、企業が独自に手配した法定外の任意接種(職域接種のうち定期接種・臨時接種に該当しないもの)による健康被害は、原則として予防接種法に基づく救済制度の対象にはなりません。検索結果では、業務に起因すると認められれば労災保険の適用対象となる可能性や、安全配慮義務の観点から企業に適切な情報提供・健康状態の確認などが求められる可能性が指摘されています。なお、新型コロナウイルスワクチンについては、特例的に予防接種法上の臨時接種に位置づけられ、健康被害救済制度の対象とされました。

条文の原文も、その場で確認できます

「うちの会社の職域接種は、健康被害救済制度の対象になるのか」「自治体・事業者それぞれの責任範囲は条文上どこまでか」——気になる論点は、ことのりに質問するとe-Govの条文リンク付きで結果を返します。下のボタンから、今回扱ったテーマでそのまま検索できます。

予防接種法と事業者対応をことのりで調べる

よくある質問

定期の予防接種の費用は、誰が負担するのですか?

予防接種法第49条により、定期の予防接種に要する費用は市町村が支弁します。臨時の予防接種は都道府県または市町村の支弁です。ただし、定期接種または特定B類疾病に係る臨時接種を行った者は、政令の定めにより接種を受けた者またはその保護者から実費を徴収できるとされ、経済的理由で負担できないと認められる場合はこの限りでないとされています(同法第49条第52条)。

会社が福利厚生で行うインフルエンザの職域接種で健康被害が出た場合、予防接種法の救済制度は使えますか?

検索結果の整理によれば、企業が独自に手配・費用負担して実施した予防接種法上の定期接種・臨時接種に該当しない接種による健康被害は、原則として予防接種法に基づく救済制度の対象外とされています。業務に起因すると認められれば労災保険の適用が検討され得るほか、企業の安全配慮義務との関係も論点となり得ます。実際の取扱いは個別事情により異なるため、具体的な救済の可否は専門家への相談が必要です。

健康被害救済の給付には、どのような種類がありますか?

予防接種法第16条では、A類疾病に係る定期の予防接種等またはB類疾病に係る臨時の予防接種を受けたことによる疾病・障害・死亡について、医療費および医療手当、障害児養育年金、障害年金、死亡一時金(A類疾病等)または遺族年金・遺族一時金(B類疾病)、葬祭料の各給付が定められています(同法第16条)。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。