携帯電話不正利用防止法は、携帯音声通信事業者や端末等の貸与業者に対して、契約締結時・譲渡時・貸与時の本人確認、本人確認記録の作成と3年間の保存を義務付け、違反には拘禁刑や罰金を科す法律です。事業者が義務を怠った場合は2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、利用者側が本人特定事項を偽った場合は50万円以下の罰金など、関係者ごとに罰則が定められています。
2026年6月、「データSIMも本人確認義務化へ、詐欺撲滅へ多回線契約に『上限』」というニュースが報じられ、データ通信専用SIMにも本人確認を広げ、1人あたりの回線数にも上限を設ける方向で議論が進んでいます。これは特殊詐欺などへの悪用を防ぐためのものですが、議論の前提となる現行法の本人確認義務や罰則を整理しておかないと、制度改正の影響範囲を読み違えてしまいます。そこで本記事では、中小通信代理店や法人契約担当者の方を想定し、現行の携帯電話不正利用防止法における事業者の義務と罰則を、条文ベースで解説します。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。携帯電話不正利用防止法は、改正や省令・ガイドラインの見直しが行われる分野です。本人確認方法の細目(運転免許証以外の手段、オンライン本人確認など)は総務省令で定められており、実務対応の細部は変更される可能性があります。最終的な判断は、必ず一次情報(e-Govの条文・総務省の公表資料)および弁護士等の専門家にご確認ください。
1. 携帯電話不正利用防止法とはどんな法律か
正式名称は「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」です。携帯電話等が匿名で利用されることによって犯罪に悪用されることを防ぐため、携帯音声通信事業者や、通話可能端末設備等を有償で貸与する業者(貸与業者)に、契約者等の本人確認を義務付けています(第3条、第10条)。
本人確認の対象事項である「本人特定事項」は、自然人の場合は氏名・住居・生年月日、法人の場合は名称・本店または主たる事務所の所在地と定められています。本人確認は、運転免許証の提示を受ける方法その他、総務省令で定める方法によって行います(第3条)。
2. 事業者の本人確認義務が発生する3つの場面
2-1. 役務提供契約を締結するとき
携帯電話不正利用防止法第3条は、携帯音声通信事業者が役務提供契約を締結するに際して、相手方の本人確認を行うことを義務付けています。会社の代表者が会社のために契約を締結するなど、契約の任に当たっている自然人が相手方と異なる場合は、相手方(法人)に加えて、その代表者等についても本人確認が必要です。
また、相手方および代表者等は、本人確認を行う事業者に対して本人特定事項を偽ってはならないとされています。法人契約を扱う担当者にとっては、「契約名義の法人」と「実際に手続きを行う代表者・担当者」の双方で確認資料を揃える必要がある点が実務上のポイントです。
2-2. 譲渡・名義変更が発生するとき
第5条は、通話可能端末設備または契約者特定記録媒体(通話可能端末設備等)の譲渡や、役務提供契約上の地位の承継に基づき契約者の名義を変更する場面での本人確認義務(譲渡時本人確認)を定めています。新たに役務提供を受けようとする譲受人等について、契約締結時と同じ方法で本人確認を行う必要があり、第3条第2項から第4項までの規定が準用されます。
2-3. 端末等を有償で貸与するとき
第10条は、通話可能端末設備等を有償で貸与することを業とする貸与業者に対し、貸与契約の締結に際して相手方の本人確認(貸与時本人確認)を行わずに通話可能端末設備等を交付してはならないと定めています。確認すべき本人特定事項は自然人・法人ともに契約締結時と同じで、代表者等が契約する場合の規定も準用されます。
3. 本人確認記録の作成と3年間の保存義務
第4条は、本人確認を行ったときに、速やかに本人特定事項その他の事項を記録した「本人確認記録」を作成することを義務付けています。さらに、本人確認記録は役務提供契約が終了した日から3年間保存しなければなりません。貸与業者についても、第10条第2項により貸与時本人確認記録の作成・保存義務が準用されています。
記録の作成漏れや、契約終了後すぐに廃棄してしまった場合は、後述のとおり罰則の対象になります。契約管理システムや書庫の運用ルールを、「契約終了日+3年」を起点に設計しておくことが実務的な対応になります。
4. 事業者が義務に違反した場合の罰則
4-1. 貸与業者の本人確認・記録義務違反
第22条は、貸与業者の義務違反に対する罰則を定めています。次のいずれかに該当する場合、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科とされています。
- 本人確認を行わずに通話可能端末設備等を交付したとき
- 貸与時本人確認記録を作成せず、または虚偽の記録を作成したとき
- 貸与時本人確認記録を保存しなかったとき
4-2. 命令違反と両罰規定
第6条は、譲渡時本人確認義務に関する第5条の規定による命令に違反した者に対して、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科を定めています。さらに、法人の代表者や代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても罰金刑が科される両罰規定が設けられています。事業者としては、現場担当者個人の問題にとどまらず、法人自体が罰金刑を受けるリスクがある点を意識する必要があります。
5. 利用者側の不正行為に対する罰則
5-1. 本人特定事項を偽った場合
相手方または代表者等が、本人確認を行う事業者に対して本人特定事項を偽った場合、50万円以下の罰金に処されます(第3条、罰則規定)。
5-2. 不正な譲渡・譲受
第21条は、自己が契約者となっていない通話可能端末設備等を他人に譲渡した者、および相手方が契約者でないことを知って譲り受けた者を、50万円以下の罰金に処すると定めています。これらの行為を「業として」行った場合は、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科に重くなります。
5-3. 業としての有償譲渡・譲受
第20条は、第7条第1項の規定に違反して業として有償で通話可能端末設備等を譲渡した者、および相手方が違反していることを知って業として有償で譲り受けた者を、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科に処すると定めています。
5-4. 不正な交付を受けたことを知っていた者
第22条は、貸与業者が本人確認義務に違反して通話可能端末設備等を交付していることを知って、その交付を受けた者を、50万円以下の罰金に処すると定めています。
6. 実務でおさえておきたいポイント
条文を整理すると、事業者の実務対応として確認しておきたい点は次のとおりです。
- 契約締結時・譲渡(名義変更)時・貸与時の3場面で、本人確認手続きが漏れなく走るフローになっているか
- 法人契約の際、契約者である法人と、契約の任に当たる代表者等の双方の確認資料を取得・保管しているか
- 本人確認記録を、契約終了日から3年間保存できるルール・システムになっているか
- 従業員教育として、本人確認の省略や記録の不作成が両罰規定により法人自体への罰金刑につながり得ることを共有しているか
冒頭で触れたデータSIMへの本人確認拡大と多回線契約の上限設定は、今後の改正動向によって、対象となる契約や上限管理の方法に新しい義務が加わる可能性があります。現行法の枠組みを土台に、改正の議論を継続的にフォローすることが重要です。
条文の原文も、その場で確認できます
本記事で引用した条文は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果に基づいています。条文の文言や関連規定をその場で確認したい方は、以下のリンクからどうぞ。
携帯電話不正利用防止法と本人確認義務をことのりで調べるよくある質問
Q1. 本人確認記録は契約終了後、いつまで保存する必要がありますか。
第4条により、本人確認記録は役務提供契約が終了した日から3年間保存しなければなりません。貸与業者の貸与時本人確認記録についても、第10条を通じて同様の作成・保存義務が準用されています。保存を怠った場合は罰則の対象となります。
Q2. 法人契約の場合、本人確認は誰について行えばよいですか。
第3条は、相手方が法人の場合、名称および本店または主たる事務所の所在地を本人特定事項としています。さらに、会社の代表者が会社のために契約を締結するなど、契約の任に当たっている自然人が相手方と異なるときは、相手方である法人に加え、その代表者等についても本人確認が必要です。
Q3. 従業員が本人確認手続きを怠った場合、会社にも罰則がありますか。
第6条第3項などの両罰規定により、法人の代表者や代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほかに、その法人または人に対しても罰金刑が科されることがあります。現場担当者個人の問題にとどまらず、法人としての責任を負う可能性があります。
出典(一次情報)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。