公正取引委員会中部事務所が2025年度の下請法違反勧告件数を6件と、過去最多になったと公表しました(下請法違反勧告最多6件、公取委中部が昨年度実績を公表、法改正で相談も増加(Google ニュース))。法改正に伴う相談件数も増えており、発注側・受注側の双方で「何をやってはいけないのか」「何をやらなければならないのか」を改めて確認する重要性が高まっています。
そこで本記事では、下請法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)における親事業者の4つの義務と11の禁止行為を、条文の一次情報にリンクを張りながら整理します。中小企業・個人事業主の実務担当者が、日常の取引で「これは大丈夫か」と迷ったときに立ち戻れる整理を目指しました。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。下請法の適用範囲や個別行為の該当性は、取引金額・委託内容・当事者の資本金区分によって判断が分かれます。実際の取引にあたっては、必ず条文の原文と公正取引委員会・中小企業庁のガイドラインを確認し、判断に迷う場合は弁護士等の専門家にご相談ください。最終判断は一次情報と専門家に確認してください。
下請法とは何を守る法律か
下請法は、親事業者(委託事業者)が下請事業者(中小受託事業者)に対し、優越的な立場を利用して不当な取扱いをすることを防ぐための法律です。取引条件の透明化と代金支払の適正化を通じて、下請事業者が安心して事業活動を行える環境を整えることを目的としています。
親事業者に課される規制は大きく分けて、①「やらなければならないこと」=義務と、②「やってはいけないこと」=禁止行為の2本柱で構成されています。
親事業者の4つの義務
① 書面交付義務
下請法第4条は、親事業者に対し、下請事業者に製造委託等を行った場合、直ちに、給付の内容・製造委託等代金の額・支払期日・支払方法その他の事項を、書面または電磁的方法で明示することを義務付けています。口頭発注のまま作業に入らせることは認められません。
② 支払期日を定める義務
下請法第3条により、製造委託等代金の支払期日は、給付を受領した日から起算して60日の期間内、かつできる限り短い期間内に定めなければなりません。支払期日を定めなかった場合や、この規定に反して定めた場合には、受領日から60日を経過した日の前日が支払期日とみなされます。
③ 書類作成・保存義務
下請法第7条は、親事業者に対し、下請事業者の給付、給付の受領、代金の支払その他の事項について記載・記録した書類または電磁的記録を作成し、保存することを義務付けています。取引の透明性を確保し、紛争時に事実関係を確認する根拠となります。
④ 支払期日までに代金を支払う義務
①〜③に加え、定めた支払期日までに製造委託等代金を支払うこと自体も基本的な義務です。下請法第5条は、支払期日の経過後も代金を支払わないこと(支払遅延)を明確に禁止行為として位置付けています。
親事業者の11の禁止行為
下請法第5条は、親事業者が行ってはならない行為を具体的に列挙しています。以下の11類型は、下請事業者の利益を不当に害するおそれのある行為として整理されています。
1. 受領拒否
下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むことは禁止されています。
2. 支払遅延
製造委託等代金を支払期日の経過後も支払わないことは禁止されます。手形による支払いや、金銭および手形以外の支払手段で、支払期日までに現金化が困難なものを使用することも含まれます。
3. 下請代金の減額
下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減じる行為は禁止です。
4. 返品
下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、給付を受領した後に下請事業者にその物を引き取らせる行為は禁止です。
5. 買いたたき
下請事業者の給付と同種または類似の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い代金額を不当に定めることは禁止されています。
6. 購入・利用強制
正当な理由がないのに、自己の指定する物を強制して購入させ、または役務を強制して利用させることは禁止です。
7. 報復措置
下請事業者が公正取引委員会等に親事業者の違反事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすることは禁止されています。
8. 原材料等の対価の早期徴収
自己に対する給付に必要な原材料等を自己から購入させた場合に、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、その原材料等を用いる給付に対する代金支払期日より早い時期に、支払うべき代金額から原材料等の対価を控除し、または対価を支払わせる行為は禁止です。
9. 経済上の利益の提供要請
自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることは禁止されています。
10. やり直し
下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、給付の内容を変更させ、または給付を受領した後に給付をやり直させることは禁止です。
11. 一方的な代金決定
下請事業者の給付に関する費用の変動その他の事情が生じた場合において、下請事業者が代金額に関する協議を求めたにもかかわらず、協議に応じず、または協議において必要な説明もしくは情報の提供をせず、一方的に代金額を決定することは禁止されています。
実務で押さえておきたいポイント
実務上、「下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに」「不当に」といった条文の文言をどう判断するかが論点になります。たとえば「買いたたき」では、同種または類似の給付に対する通常の対価をどう把握するかが問われるため、市場価格や過去の取引実績の把握が欠かせません。
また、書面交付義務については、記載事項の漏れや不明確さがないよう、発注書テンプレートの整備と社内チェックの仕組みが有効です。支払期日についても、受領日を起点に60日以内という上限を意識した経理オペレーションの設計が求められます。
条文の原文も、その場で確認できます
本記事で紹介した条文の原文や、下請法に関連するその他の規定も、「ことのり」で検索するとe-Govの該当条文へのリンク付きで確認できます。
下請法の義務と禁止行為をことのりで調べるよくある質問
Q1. 発注書は口頭やメール本文だけでもよいのですか?
下請法第4条は、親事業者に対して、給付の内容・代金額・支払期日・支払方法その他の事項を、書面または電磁的方法によって「直ちに」明示することを義務付けています。したがって、記載事項が揃っていない口頭発注や、必要事項を欠いた連絡だけで作業に入らせることは、書面交付義務との関係で問題になり得ます。
Q2. 支払期日は「翌々月末」など長めに設定してもよいのですか?
下請法第3条は、支払期日を、給付を受領した日から起算して60日の期間内、かつできる限り短い期間内に定めることを求めています。60日を超える設定は認められず、仮に支払期日を定めなかった場合や規定に反して定めた場合には、受領日から60日を経過した日の前日が支払期日とみなされます。
Q3. 下請事業者から値上げの相談があったのに応じないと違反になりますか?
下請法第5条は、下請事業者の給付に関する費用の変動その他の事情が生じた場合において、下請事業者が代金額に関する協議を求めたにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明・情報提供をせずに一方的に代金額を決めたりすることを禁止行為として挙げています(一方的な代金決定)。値上げ自体を受け入れる義務は条文上明記されていませんが、協議に応じずに一方的に決定する対応は禁止行為に該当するおそれがあります。
出典(一次情報)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。