デジタル庁が、国や自治体が保有する行政データを認定を受けた民間事業者に提供できるようにする法改正案の検討を進めていると報じられました。AI開発やサービス創出への活用促進が目的とされており、行政データの民間開放は、中小企業・士業がAIやデータ活用ビジネスを検討するうえで重要な論点になります。
そこで本記事では、現行制度において「国や自治体が保有する行政データを民間事業者が利用する際の法的根拠と手続き、遵守すべき義務」を、官民データ活用推進基本法および個人情報保護法の条文をもとに整理しました。個人情報を含まないデータの取り扱い、個人情報を含む場合の「行政機関等匿名加工情報」制度、そして事業者側に求められる義務までを一気通貫で確認できます。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。行政データ・個人情報の取り扱いは、対象データの性質や所管機関の運用によって適用関係が異なります。実際の申請・契約に際しては、必ずe-Gov等の一次情報および所管行政庁・弁護士等の専門家に確認してください。最終判断は一次情報と専門家にご確認ください。
行政データ活用の法的枠組み
行政データの民間利用を検討するときは、まず「そのデータが個人情報を含むか」で適用される法令が分かれます。個人情報を含まないデータは官民データ活用推進基本法第11条に基づくオープンデータとしての利用が中心となり、個人情報を含むデータは個人情報の保護に関する法律第69条による利用・提供制限を前提としつつ、「行政機関等匿名加工情報」制度の活用が主な選択肢になります。
オープンデータ推進の位置づけ
官民データ活用推進基本法第11条第1項は、国及び地方公共団体に対し、自らが保有する官民データについて、個人・法人の権利利益や国の安全等が害されることのないようにしつつ、国民がインターネット等を通じて容易に利用できるよう必要な措置を講ずることを求めています。政府には、施策実施のため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずる義務が同法第7条で規定されています。
個人情報を含む行政データの利用制限
行政機関等が保有する個人情報については、個人情報の保護に関する法律第69条第1項により、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために自ら利用し又は提供することが原則禁止されています。同条第2項で本人の同意がある場合や統計作成・学術研究目的など一定の例外が認められていますが、民間事業者が行政機関から個人情報そのものの提供を受けることは、原則として本人同意や法令上の根拠がない限り困難です。
行政機関等匿名加工情報の利用手続き
個人情報を含む行政データを民間で活用するための中核的な制度が「行政機関等匿名加工情報」です。個人情報保護法第112条および同法第118条に基づき、事業に活用しようとする民間事業者は、行政機関の長等に対して提案を行うことができます。
提案書に記載する事項
個人情報保護法第112条第2項により、提案は個人情報保護委員会規則で定めるところにより書面で行い、次の事項を記載する必要があります。
- 提案をする者の氏名又は名称及び住所(法人等の場合は代表者の氏名)
- 提案に係る個人情報ファイルの名称
- 提案に係る行政機関等匿名加工情報の本人の数
- 加工の方法を特定するに足りる事項
- 利用の目的及び方法、当該情報が用いられる事業の内容
- 事業の用に供しようとする期間
- 漏えい防止その他適切な管理のために講ずる措置
- その他個人情報保護委員会規則で定める事項
また、同条第3項により、提案者が同法第113条に定める欠格事由に該当しないことを誓約する書面や、事業が新たな産業の創出等に資するものであることを明らかにする書面等を添付する必要があります。
審査と契約締結
提案を受けた行政機関の長等は内容を審査し、個人情報保護法第115条に基づき、行政機関等匿名加工情報の利用に関する契約を締結することができます。契約の締結は、個人情報の保護に関する法律施行規則第61条により、提案時に提出した書類をもって行うものとされています。
民間事業者が遵守すべき義務
官民データ活用推進基本法上の努力義務
官民データ活用推進基本法第6条は、事業者に対し、基本理念にのっとって自ら積極的に官民データ活用の推進に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する官民データ活用の推進に関する施策に協力するよう努めることを求めています。オープンデータの利用に際しては、各機関が定める利用規約を遵守することが実務上の前提となります。
匿名加工情報の取扱いに係る義務
行政機関等匿名加工情報を利用する契約を締結した民間事業者は、個人情報保護法第123条に定める義務を遵守する必要があります。同条第2項は、提供を受けた匿名加工情報を取り扱うにあたり、削除された記述等や個人識別符号、加工方法に関する情報を取得したり、他の情報と照合したりして本人を識別することを禁じています。同条第3項では、個人情報保護委員会規則で定める基準に従い、漏えいの防止その他適切な管理のための必要な措置を講ずることが求められており、同条第4項により委託先にもこれらの義務が準用されます。
個人情報取扱事業者としての一般的義務
民間事業者が自ら取得した個人情報と組み合わせて活用するケースなど、個人情報を取り扱う場面では、個人情報取扱事業者として個人情報保護法上の一般的な義務が課されます。特に個人データを第三者に提供する際には、個人情報保護法第27条第1項により、原則として本人の同意が必要となります。
実務での留意点
行政データの活用を検討する際には、次の点に留意する必要があります。
- 対象データが個人情報を含むか否かで、適用法令・手続き・義務が大きく異なるため、性質の見極めが最初の分岐点になります。
- 匿名加工情報を扱う場合は、加工方法の選定、再識別化リスクの評価、安全管理措置の実装が必要で、専門的な知識と技術が求められます。
- 国だけでなく地方公共団体もオープンデータ推進の取り組みを進めており、各自治体のウェブサイトや担当部署に問い合わせることで、利用可能なデータや手続きに関する具体的な情報を得ることができます。
条文の原文も、その場で確認できます
本記事で引用した条文や関連する規定は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索し、出典付きで確認できます。実務での確認や社内資料作成にお役立てください。
行政データの民間開放をことのりで調べるよくある質問
Q1. 個人情報を含まない行政データを民間で使う場合、どんな法的根拠に基づきますか?
官民データ活用推進基本法が基本枠組みとなります。同法第11条第1項に基づき、国及び地方公共団体は、国民がインターネット等を通じて容易に利用できるよう必要な措置を講ずることとされており、この枠組みのもとで各機関が公開する利用規約に従って活用することが実務上の前提となります。
Q2. 行政機関等が保有する個人情報の提供を受けたい場合、どのような手続きになりますか?
個人情報保護法第69条第1項により、利用目的以外での自らの利用・提供は原則禁止されているため、個人情報そのものの提供を受けることは、本人同意や法令上の根拠がない限り原則困難です。実務上は、同法第112条・第118条に基づく行政機関等匿名加工情報としての提案・契約が主な選択肢となります。
Q3. 匿名加工情報の提供を受けた事業者は、どんな行為が禁止されていますか?
個人情報保護法第123条第2項により、提供された匿名加工情報の取扱いにあたり、削除された記述等や個人識別符号、加工方法に関する情報を取得したり、他の情報と照合したりして本人を識別することは禁止されています。あわせて同条第3項で漏えい防止等の適切な管理措置が、同条第4項で委託先への準用が定められています。
出典(一次情報)
- 🔗 官民データ活用推進基本法 第11条(e-Gov法令検索)
- 🔗 官民データ活用推進基本法 第6条(e-Gov法令検索)
- 🔗 官民データ活用推進基本法 第7条(e-Gov法令検索)
- 🔗 個人情報の保護に関する法律 第69条(e-Gov法令検索)
- 🔗 個人情報の保護に関する法律 第112条(e-Gov法令検索)
- 🔗 個人情報の保護に関する法律 第115条(e-Gov法令検索)
- 🔗 個人情報の保護に関する法律 第118条(e-Gov法令検索)
- 🔗 個人情報の保護に関する法律 第123条(e-Gov法令検索)
- 🔗 個人情報の保護に関する法律 第27条(e-Gov法令検索)
- 🔗 個人情報の保護に関する法律施行規則 第61条(e-Gov法令検索)
- 🔗 オープンデータ|デジタル庁
- 🔗 総務省|ICT利活用の促進|オープンデータの推進(政府全体の取組)
- 🔗 総務省|情報公開
- 🔗 行政データを認定制で民間に開放、デジタル庁が法改正案 AI開発など促進(Google News)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。