選挙シーズンに企業アカウントで候補者や政党について投稿・リポストする際、公職選挙法や情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)に抵触するリスクが指摘されています。選挙偽情報対策として法改正の議論が進んでいる旨のニュースを受け、企業SNS運用担当者・広報担当者が押さえるべき現行ルールを、条文ベースで整理しました。

この記事では、企業のSNS投稿・拡散に関わる公職選挙法の主要規制(発信者情報表示義務、有料広告の原則禁止、電子メール利用の限定、誹謗中傷防止の努力義務など)と、情報流通プラットフォーム対処法(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)における選挙期間中の特例の関係を、e-Govの一次情報に紐づけて解説します。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。選挙運動該当性の判断や表示義務の具体的な運用は個別事情により変わります。最終判断は一次情報と専門家(弁護士・選挙管理委員会等)に確認してください。

企業SNS運用と選挙・政治投稿を規律する2本の法律

企業がSNSで選挙・政治に関する投稿や拡散を行う場合、主に次の2つの法律が関係します。

  • 公職選挙法:選挙運動の自由と公正を確保するための規制。インターネットを利用した選挙運動についても、2013年改正以降、詳細な規定が置かれています。
  • 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(いわゆる情報流通プラットフォーム対処法/旧プロバイダ責任制限法):SNSなどでの権利侵害情報について、プロバイダの責任範囲と発信者情報の開示等を定める法律。

企業が特定の候補者・政党を支持または反対する目的でSNS投稿を行う場合、公職選挙法上の「選挙運動」と評価される可能性があり、同法の各種規制が及びます。

公職選挙法上、企業SNS投稿で押さえるべきポイント

インターネット選挙運動の適正利用に関する努力義務

公職選挙法第142条の7は、選挙に関しインターネット等を利用する者に対し、公職の候補者への悪質な誹謗中傷など、表現の自由を濫用して選挙の公正を害することがないよう、インターネット等の適正な利用に努めるべき義務を課しています。企業アカウントで政治的な意見や候補者評価を投稿する際は、この努力義務を踏まえ、誹謗中傷や虚偽情報の拡散にあたる投稿・リポストを避ける必要があります。

発信者情報(電子メールアドレス等)の表示義務

インターネットを利用した選挙運動では、発信者の透明性が求められます。

  • 公職選挙法第142条の3は、選挙運動のために使用する文書図画をウェブサイト等(SNSを含む)で頒布する者に対し、電子メールアドレスその他の連絡先情報が受信者の端末画面に正しく表示されるようにしなければならないと定めています。
  • 公職選挙法第142条の5は、選挙期間中にウェブサイト等を利用して特定候補者の「当選を得させないための活動」を行う場合にも、同様に発信者の電子メールアドレス等を正しく表示することを求めています。

企業アカウントが選挙運動に該当する投稿を発信する場合、これらの表示義務を守る必要があります。

電子メールによる選挙運動用文書図画の頒布制限

公職選挙法第142条の4は、電子メールを利用した選挙運動用文書図画の頒布ができる主体を、公職の候補者や政党等に限定しています。一般の企業が、選挙運動用のメールマガジン等を配信することは原則として認められません。あわせて、送信できる主体にも、受信者の同意取得や、氏名・名称、通知先の表示などの義務が課されています。

有料広告の原則禁止

公職選挙法第142条の6は、選挙運動のための候補者氏名や政党名等を表示した広告を、有料でインターネット等に掲載させることを原則として禁止しています。例外として、衆議院の候補者届出政党や名簿届出政党等、参議院の名簿届出政党等など一部の政治団体には、選挙運動期間中に限り自らの選挙運動のための広告を有料で掲載させることが認められています。

企業が広告主として、特定候補者や政党を支持・反対する内容の有料広告をSNSに出稿することは、原則として禁止されるため注意が必要です。

ウェブサイト等による文書図画頒布の特例

公職選挙法第142条は、選挙運動のために頒布できる文書図画の種類・数量を厳しく制限していますが、同法第142条の3により、ウェブサイト等を利用する方法(電子メールを除く)による頒布は原則として自由に行うことができます。企業がSNSに選挙関連の投稿を行う場面は、この規定が適用される領域にあたります。

公務員等の地位利用による選挙運動の禁止

公職選挙法第136条の2は、国や地方公共団体の公務員、行政執行法人等の役員・職員などが、その地位を利用して選挙運動を行うことを禁止しています。企業そのものへの直接規制ではありませんが、公務員を兼業する従業員がいる場合や、公務員に対して不当な影響力を及ぼす可能性のある行為には注意が必要です。

禁止を免れる行為の制限

公職選挙法第146条は、選挙運動期間中、著述・演芸等の広告その他いかなる名義であっても、第142条・第143条の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名やシンボル・マーク、政党名等を表示した文書図画を頒布・掲示することを禁じています。企業SNSで政治的内容を扱う際は、名目上は広告や情報発信であっても、実質的に選挙運動の禁止規定を潜脱する形になっていないかを確認する必要があります。

罰則

公職選挙法第243条は、第142条の規定に違反して文書図画を頒布した場合、第142条の4第2項または第6項に違反して選挙運動用電子メールを送信した場合、第142条の6に違反して広告を掲載させた場合など、一定の違反行為について2年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を定めています。

情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)との関係

企業は主に「発信者」の立場

特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律は、インターネット上の情報流通により権利が侵害された場合について、プロバイダ(特定電気通信役務提供者)の損害賠償責任の範囲や、発信者情報開示のルールを定めています。企業がSNSに投稿する場面では、企業自身は「発信者」の立場に立つのが一般的で、投稿内容が権利侵害と評価されると、削除や発信者情報の開示請求の対象になり得ます。

選挙運動期間中の情報に関する特例

特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第4条は、選挙運動の期間中に頒布された文書図画に係る情報(特定文書図画)について、プロバイダが送信防止措置を講じた場合の免責に関する特例を定めています。具体的には、特定の候補者等の名誉を侵害する情報について、公職選挙法上の表示義務(第142条の3第3項または第142条の5第1項)に違反して発信者の電子メールアドレス等が正しく表示されていない場合、プロバイダは発信者への同意照会を経ずに送信防止措置を講じても、必要な限度で行われたものと認められる限り、発信者に対して損害賠償責任を負わないとされています。

企業SNS運用の観点では、公職選挙法上の表示義務を怠ると、投稿がプラットフォーム側の判断で速やかに削除される余地が広がることを意味しており、公選法上の義務履行の重要性を示す規定と言えます。

実務で注意したいポイント

  • 「選挙運動」該当性の見極め:特定候補者の当選または落選を目的とする行為かどうかで判断されます。一般的な政策論評と選挙運動の線引きは曖昧なケースもあり、慎重な判断が求められます。
  • 企業アカウントとしての公平性:特定の候補者・政党を支持または反対する投稿は、顧客・取引先・従業員の信頼に影響する可能性があります。
  • 従業員個人アカウントの取り扱い:個人発信であっても企業の公式見解と誤解されるリスクがあります。SNS利用ガイドラインの整備が有効です。
  • プラットフォーム独自ルール:各SNSは政治的コンテンツや選挙関連投稿に独自のポリシーを定めています。法令だけでなく規約遵守も必要です。

条文の原文も、その場で確認できます

公職選挙法や情報流通プラットフォーム対処法の該当条文は、AI法令調査ツール「ことのり」で出典リンク付きで確認できます。社内でSNS運用ルールを整備する前の一次確認にご活用ください。

企業SNSと選挙運動規制をことのりで調べる

よくある質問

企業アカウントで候補者への応援投稿をリポストしただけでも規制対象になりますか?

特定の候補者の当選を目的とした行為と評価されると、公職選挙法上の「選挙運動」に該当し、同法第142条の3に基づく発信者情報の表示義務などが及ぶ余地があります。単なる意見表明との線引きは事案ごとの判断となるため、慎重な検討が必要です。

企業が選挙期間中に候補者や政党名を出したSNS広告を有料で出稿することはできますか?

公職選挙法第142条の6により、選挙運動のために候補者の氏名や政党名等を表示した広告を、有料でインターネット等に掲載させることは原則として禁止されています。有料広告が認められるのは、衆議院の候補者届出政党や参議院の名簿届出政党等など、一部の政党その他の政治団体に限られます。

公職選挙法上の表示義務を守らないと、SNS側に投稿を消されやすくなりますか?

特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第4条は、選挙期間中に頒布された名誉侵害情報について、公職選挙法上の表示義務に違反して発信者情報が正しく表示されていない場合、プロバイダが発信者への同意照会なしに送信防止措置を講じても、一定の要件のもとで損害賠償責任を負わないと定めています。表示義務を怠ると、削除されるリスクが相対的に高まる構造となっています。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

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