「元請から一式でもらった工事を、そのまま付き合いのある会社に回してよいか」——建設業ではよく出てくる場面です。丸投げは禁止と聞いたことはあるが、発注者が承諾すればよいとも聞く。どちらが正しいのか。今回は条文本体に当たって、禁止の範囲と例外の境目を確かめました。

先に結論を書きます。禁止も例外も、条文にはっきり書かれていました。ただし「発注者の承諾があればよい」という例外が消える場面が2つあり、その2つは建設業法の中と外に分かれて置かれていました。1つは政令、もう1つは別の法律です。そして罰則の条文を開くと、そこに一括下請負は入っていませんでした。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。 今回は生検索を5回に分けて実行し、建設業法第22条・第28条・第29条の3・第29条の4・第29条の5・第47条、建設業法施行令第6条の4、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第14条の条文本体を取得しています。一方で、どこからが「一括」に当たるかの判断基準を定めた条文は取得できませんでした。この点は国土交通省が示す運用上の基準として書き分けています。本記事の事実・条文・出典は、この5回の生検索の実結果に基づきます。最終的な判断は、e-Gov法令検索の最新の条文と、許可行政庁または専門家にご確認ください。

禁止は2つの向きでかかっている(建設業法第22条第1項・第2項)

丸投げを禁じているのは建設業法第22条(一括下請負の禁止)です。第1項と第2項は、次のように書かれています。

(一括下請負の禁止)
第二十二条 建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない。

読むときに落としやすいのが、名あて人が第1項と第2項で違うことです。第1項は「建設業者」、つまり許可を受けた業者に向けて「出してはならない」と定めています。第2項は「建設業を営む者」に向けて「受けてはならない」と定めています。出す側だけでなく受ける側も、そして許可の有無にかかわらず、条文の対象になっている書き方です。

もう一つ、第1項の「いかなる方法をもつてするかを問わず」という一句にも意味があります。契約書の形を工夫すればよい、という逃げ道を先に塞いでいる文言です。

例外はある。ただし条件は2つ(同条第3項)

「発注者が承諾すればよい」と言われるのは、同じ条の第3項です。

3 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない

条件は2つです。

  • 政令で定める「重要な建設工事」ではないこと
  • 元請負人が「あらかじめ」発注者の書面による承諾を得ていること

「あらかじめ」と書かれている以上、着手してから事後に承諾をもらう形は条文が想定していません。また承諾を得るのは元請負人で、承諾するのは発注者です。下請同士の合意ではありません。

なお、書面に代えて電子的な方法で承諾を通知することは同条第4項が認めており、手続の詳細は建設業法施行令第6条の5建設業法施行規則第13条の18第13条の19に置かれています。あらかじめ方法の種類と内容を示すこと、相手方から電磁的方法によらない旨の申出があったときは使えないことなどが定められています。

ここまでの内容の根拠条文と出典リンクは、AI法令調査ツール「ことのり」でご自身でも確かめられます。調べたいことを日常の言葉で入力するだけです。

一括下請負の禁止と例外をことのりで調べる

例外が消える場面①:共同住宅の新築(施行令第6条の4)

では、例外から外される「多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの」とは何か。政令を開くと、条文は一文でした。建設業法施行令第6条の4です。

(一括下請負の禁止の対象となる多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事)
第六条の四 法第二十二条第三項の政令で定める重要な建設工事は、共同住宅を新築する建設工事とする。

ここが今回いちばん確かめてよかった点です。法律側の言い回しからは、学校・病院・商業施設のような「多数の者が利用する施設」が広く入りそうに読めます。ところが政令が名指ししているのは、共同住宅の新築工事の1つだけでした。

この読み方は2つの向きで効きます。

  • 共同住宅の新築工事は、発注者がどれだけ承諾しても一括下請負にできない——例外の入口がそもそも閉じています。
  • それ以外の民間工事は、書面の事前承諾があれば第22条第1項・第2項の適用が外れうる——「丸投げは絶対に違法」と一般化すると、条文より厳しい理解になります。

政令の見出しが「一括下請負の禁止の対象となる…重要な建設工事」となっている点にも注意してください。法律本文では「以外の建設工事である場合において」と裏返して使われる定めなので、政令に挙がっている工事=例外を使えない工事という関係になります。

例外が消える場面②:公共工事(入札契約適正化法第14条)

もう1つは、建設業法の外にありました。公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入札契約適正化法)第14条です。

(一括下請負の禁止)
第十四条 公共工事については、建設業法第二十二条第三項の規定は、適用しない。

一文で、例外規定そのものを外しています。公共工事では、工事の種類が何であっても、発注者が承諾しても、一括下請負は認められません。共同住宅かどうかを考える必要もなくなります。第22条第3項が適用されない以上、第1項・第2項の禁止がそのまま残るからです。

実務で怖いのは、この定めが建設業法の条文を読んでいるだけでは出てこないことです。建設業法第22条を開いて第3項まで読み、「承諾があればよい」と理解して止まると、公共工事で足をすくわれます。建設業法第28条第1項の本文でも、この法律は「入札契約適正化法」という略称で引かれており、2つの法律が組みで運用されていることがうかがえます。

罰則の列挙に、一括下請負は入っていなかった

次に、違反したらどうなるかです。罰則条文建設業法第47条を開いて各号を確認しました。第1項の柱書は「次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する」となっており、列挙されているのは次のようなものでした。

  • 第3条第1項に違反して許可を受けないで建設業を営んだとき
  • 第16条に違反して下請契約を締結したとき
  • 第28条第3項・第5項による営業停止の処分に違反して建設業を営んだとき
  • 第29条の4第1項による営業の禁止の処分に違反したとき

第22条は、この列挙に入っていませんでした。一括下請負をしたこと自体を直接罰する条文は、今回取得した範囲では見当たりません。

では何も起きないのかというと、逆です。効いてくるのは監督処分の側で、建設業法第28条(指示及び営業の停止)第1項第4号が名指ししています。

四 建設業者が第二十二条第一項若しくは第二項又は第二十六条の三第九項の規定に違反したとき。

この号に当たると、国土交通大臣または都道府県知事は当該建設業者に必要な指示をすることができます。指示に従わないときなどは、同条第3項・第5項により1年以内の期間を定めて営業の全部または一部の停止を命じられます。そしてその営業停止に違反して営業すれば、今度は第47条第1項第3号に入り、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金になります。

つまり罰則は、行政処分を1段階挟んで効いてくる設計です。当サイトでこれまで確認してきた労災保険の徴収法第46条、アルコールチェックの道路交通法第119条の2、特定電子メール法第34条、消防法の防火管理者の第42条と同じ形で、義務の条文が罰則の列挙に無いことは「罰則が無い」を意味しないという読み方がここでも当てはまりました。

処分は、会社の中だけで終わらない

営業停止まで進んだ場合に何が起きるかも、条文に書かれていました。

  • 第29条の4(営業の禁止)第1項——営業停止を命ずる場合、法人であればその役員等と、処分の原因である事実について相当の責任を有する政令で定める使用人に対しても、同じ期間・同じ範囲の営業を新たに始めることが禁止されます。処分の日前60日以内に役員等であった者を含むと書かれており、直前に役員を降りても外れない作りです。
  • 第29条の5(監督処分の公告等)——営業停止等の処分をしたときは公告しなければならないとされ、国土交通省と都道府県に置かれる建設業者監督処分簿に登載して公衆の閲覧に供することも定められています。
  • 第29条の3第1項——営業停止を命じられても、処分を受ける前に締結した請負契約に係る工事は施工を継続できます。ただし処分を受けた後2週間以内にその旨を注文者に通知しなければなりません。同条第3項により、公益上必要があるときは施工の差止めを命じられることもあります。

罰金の額だけを見て軽重を測ると、この部分を見落とします。営業停止は事業そのものを止め、公告と監督処分簿で外からも見える形になり、役員個人にも及びます。

どこからが「一括」かは、条文には書かれていない

最後に、実務でいちばん迷う点に触れておきます。第22条第1項は「一括して他人に請け負わせてはならない」と定めるだけで、工事の何割を出したら一括に当たるのか、という線引きは条文に書かれていません

国土交通省は、元請負人が施工に実質的に関与しているかどうかで判断するという基準を示しており、工事の企画・調整・工程管理・品質管理・安全管理・技術指導などを自ら行っているかが問われる、と説明されています。ただしこれは条文本体の定めではなく、行政の解釈・運用として示されているものです。今回の生検索でも、判断基準の中身を定めた条文は取得できませんでした。本記事では条文として扱っていません。

言い換えると、条文が決めているのは「禁止されること」と「例外が使えるかどうか」までで、個別の工事が一括に当たるかどうかの判定は運用に委ねられています。ここが不安な場合は、許可行政庁(都道府県知事許可であれば都道府県の建設業担当課)に、工事の内容と自社の関与のしかたを具体的に示して確認するのが確実です。

まとめ:確認する順番

条文本体で確認できた範囲を、実務で使う順に並べます。

  • まず公共工事かどうかを見る——公共工事なら、そこで終わりです。承諾があっても一括下請負はできません(入札契約適正化法第14条)
  • 次に共同住宅の新築かどうかを見る——該当すれば、承諾があってもできません(建設業法施行令第6条の4)
  • どちらでもなければ、発注者の書面による事前承諾を得る——「あらかじめ」が条文の文言です(建設業法第22条第3項)。電子的な方法は第4項・施行令第6条の5・施行規則第13条の18/第13条の19の手続によります
  • 受ける側も対象になることを確認する——第22条第2項は「建設業を営む者」に向けた禁止です
  • 違反の効き方を理解しておく——直罰ではなく、第28条第1項第4号の指示から営業停止(同条第3項・第5項)へ、営業停止違反で第47条第1項第3号の3年以下・300万円以下へ
  • 処分の広がりも見ておく——役員等への営業禁止(第29条の4)、公告と監督処分簿(第29条の5)、注文者への2週間以内の通知(第29条の3)
  • 「一括」に当たるかの判定は条文にない——実質的関与の基準は行政の運用。迷ったら許可行政庁に確認する

個別の工事についての判断、承諾書の書き方や様式、自社の許可区分ごとの取扱いは、許可行政庁または建設業に詳しい専門家にご確認ください。

よくある質問

Q1. 発注者の書面による承諾があれば、工事を丸投げしてもよいのですか?

条件つきで、建設業法第22条第1項・第2項の適用が外れます。同条第3項は「前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない」と定めています。ポイントは2つで、①政令で定める重要な建設工事ではないこと、②承諾が「あらかじめ」、つまり事前であることです。工事が始まってから承諾をもらう形は、条文の書き方に合いません。なお、これは公共工事には使えません(入札契約適正化法第14条)。

Q2. 政令で定める「重要な建設工事」とは、どの工事のことですか?

建設業法施行令第6条の4が定めています。条文は「法第二十二条第三項の政令で定める重要な建設工事は、共同住宅を新築する建設工事とする」の一文だけで、挙げられているのは共同住宅の新築工事の1つです。法律側の言い回しが「多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事」なので、学校や病院や商業施設も入っていそうに読めますが、政令が名指ししているのは共同住宅の新築のみでした。逆にいえば、共同住宅の新築工事については、発注者が書面で承諾しても一括下請負は認められません。

Q3. 市や県から受けた工事でも、発注者が承諾すれば丸投げできますか?

できません。公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入札契約適正化法)第14条は「公共工事については、建設業法第二十二条第三項の規定は、適用しない」と定めています。例外規定そのものを外す一文です。つまり公共工事では、発注者が承諾しようとしまいと、工事の種類が何であろうと、一括下請負は認められません。この定めが建設業法の中ではなく別の法律に置かれている点に注意してください。

Q4. 一括下請負をすると、いくらの罰金ですか?

今回確認した範囲では、一括下請負をしたこと自体を直接罰する条文は見当たりませんでした。建設業法第47条第1項が列挙しているのは、無許可営業(第3条第1項違反)、第16条違反の下請契約、営業停止処分違反、営業禁止処分違反などで、第22条は入っていません。効いてくるのは監督処分の側です。第28条第1項第4号が「建設業者が第二十二条第一項若しくは第二項…の規定に違反したとき」を指示処分の対象として名指ししており、指示に従わないときなどは同条第3項・第5項により1年以内の営業停止を命じられます。その営業停止に違反して営業した場合は、第47条第1項第3号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。

Q5. 下請として工事をまるごと引き受けた側も違反になりますか?

建設業法第22条第2項は「建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない」と定めており、受ける側にも禁止がかかっています。第1項が「建設業者」を名あて人にしているのに対し、第2項は「建設業を営む者」と書かれています。監督処分の側でも、第28条第1項第4号は第22条第1項と第2項の両方を挙げています。丸投げは、出す側と受ける側の両方が条文の対象になっている構造です。

Q6. 承諾は口頭やメールでもよいですか?

条文は「書面による承諾」と定めています(建設業法第22条第3項)。そのうえで同条第4項が、政令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法による通知を認めています。手続の詳細は建設業法施行令第6条の5、建設業法施行規則第13条の18・第13条の19に定められており、あらかじめ方法の種類と内容を示して承諾を得ることや、相手方から電磁的方法によらない旨の申出があったときは電磁的方法を使えないことが定められています。口頭での了解は条文が想定している形ではありません。

Q7. 元請が現場に出ていれば、大部分を下請に出しても一括下請負にはなりませんか?

条文は「いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない」と定めるだけで、どこからが「一括」かの線引きは書かれていません。国土交通省は、元請負人が施工に実質的に関与しているかどうかで判断するという基準を示しています(一括下請負の判断基準)。ただしこれは条文本体の定めではなく行政の解釈・運用として示されているもので、今回の生検索でも、判断基準の中身を定めた条文は取得できませんでした。個別の工事について迷う場合は、許可行政庁(都道府県知事許可であれば都道府県の建設業担当課)にご確認ください。

Q8. 一括下請負で処分を受けると、会社以外にも影響がありますか?

建設業法第29条の4第1項は、営業停止を命ずる場合に、法人であればその役員等と処分の原因である事実について相当の責任を有する政令で定める使用人に対しても、同じ期間、同じ範囲の営業を新たに始めることを禁止すると定めています(処分の日前60日以内に役員等であった者を含みます)。また第29条の5は、営業停止等の処分をしたときは公告しなければならないこと、建設業者監督処分簿に登載して公衆の閲覧に供することを定めています。処分が会社の中だけで終わらない作りになっています。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

関連する「使い方」ページ

関連する法令コラム