結論:令和7年司法試験 短答式試験(民法)第1問(成年後見制度)の記述ア〜オを、AI法令検索「ことのり」に1つずつ判定させたところ、5記述すべての正誤判定が法務省公表の正解と一致しました。5つの判定から組み合わせると、第1問の解答は「3」(イとウが誤り)となり、これも法務省公表の正解(3)と一致します。
本シリーズは、「AIの法令調査はどこまで信頼できるのか」を、答えが公表されている司法試験の問題で1問ずつ検証し、結果を良し悪し含めてそのまま公開する企画です。第1回の今回は、一致した結果だけでなく、解説文の一部に法改正前の古い記載が見つかったことも正直に記録します。
検証の方法
検証のルールはシンプルです。
- 対象は、法務省が問題・正解とも公表している令和7年司法試験 短答式試験(民法)第1問
- 問題の記述ア〜オを1つずつ、「次の記述は、現行法令に照らして正しいですか、誤っていますか。根拠となる条文を挙げて判定してください」という形で、本番稼働中のことのりにそのまま入力
- 返ってきた判定を、法務省公表の「正解及び配点」と照合。プロンプトの工夫・再試行・人間による誘導はなし
短答式の組合せ問題は「ア〜オのうち誤っているもの2つの組み合わせ」を選ぶ形式のため、5記述の判定がすべて正しければ、自動的に正しい選択肢が導けることになります。
第1問の内容(成年後見制度)
第1問は、成年後見制度に関する次のアからオまでの各記述のうち「誤っているものの組み合わせ」を選ぶ問題です(配点2点。出典:法務省「令和7年司法試験 短答式試験問題集[民法]」)。
ア.家庭裁判所が任意後見監督人を選任して任意後見契約の効力が生ずる場合において、本人が成年被後見人であるときは、家庭裁判所は、本人に係る後見開始の審判を取り消さなければならない。
イ.家庭裁判所が本人以外の者の請求により保佐開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
ウ.成年後見人が保佐開始の審判を受けたときは、成年後見人の法定代理権は、消滅する。
エ.家庭裁判所が特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をしたときであっても、被補助人は、その法律行為を自らすることができる。
オ.検察官は、後見開始の審判を請求することができる。
ことのりの判定結果:5記述すべて正解と一致
| 記述 | ことのりの判定 | 挙げた主な根拠条文 | 法務省正解との照合 |
|---|---|---|---|
| ア | 正しい | 任意後見契約法4条2項 | 一致 |
| イ | 誤り | 民法11条、家事事件手続法130条 | 一致 |
| ウ | 誤り | 民法12条・19条ほか | 一致(注記あり・後述) |
| エ | 正しい | 民法876条の9・15条 | 一致 |
| オ | 正しい | 民法7条 | 一致 |
「誤り」と判定されたのはイとウ。組み合わせは選択肢3となり、法務省公表の正解(3)と一致しました。以下、各記述の判定内容を見ていきます。
ア:任意後見が始まると法定後見は取り消される → 「正しい」
ことのりは任意後見契約に関する法律4条2項を引き、任意後見監督人を選任する場合に本人が成年被後見人であるときは、家庭裁判所はその本人に係る後見開始の審判を取り消さなければならない、として「正しい」と判定しました。論点の中心となる条文をピンポイントで引き当てています。
イ:保佐開始の審判に本人の同意が必要 → 「誤り」
ことのりは民法11条に本人の同意を要件とする規定がないことを指摘して「誤り」と判定。さらに、家庭裁判所には本人の陳述を聴く義務があること(家事事件手続法130条1項1号)、保佐人に代理権を付与する審判には本人の同意が必要であることまで切り分けて言及しました。「同意が必要なのは審判そのものではなく代理権付与」という、この記述のひっかけポイントを正面から見抜いた形です。
ウ:成年後見人が保佐開始の審判を受けたら法定代理権は消滅する → 「誤り」
ことのりは、民法19条が定める審判相互の調整はあくまで保護を受ける「本人」についての規定であり、後見人という「代理人」側の資格を直接定めるものではないことを整理した上で、法定代理権が当然に(自動的に)消滅するわけではないとして「誤り」と判定しました。結論は法務省正解と一致しています。ただし、この解説には後述のとおり課題も見つかりました。
エ:補助人に代理権が付与されても本人は自分で行為できる → 「正しい」
ことのりは民法876条の9による代理権付与は補助人に権限を与えるだけで、被補助人自身の行為能力を制限するものではないとして「正しい」と判定。同意権の付与(民法15条以下)とは別物である、という制度の構造を踏まえた説明でした。
オ:検察官は後見開始の審判を請求できる → 「正しい」
ことのりは民法7条が申立権者として検察官を明記していることを引いて「正しい」と判定しました。
正直に書きます:見つかった課題
ウの判定は結論こそ正解と一致しましたが、解説の一部に「民法847条には、被保佐人は後見人となることができないと規定されている」という記載がありました。これは令和元年の法改正(成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律)より前の古い内容で、現行の民法847条にはこの欠格事由はありません。
注目すべきは、ことのり自身がこの箇所について「この条文は参考情報に記載がないため学習データに基づく情報です」と注記を付けていたことです。つまり、検索で取得した条文に基づく部分と、AIの内部知識に頼った部分が区別されており、後者にだけ古い記載が混ざっていました。これは「AIの回答は出典リンクから一次情報を必ず確認する」という使い方が大切である実例であり、ことのりが全回答にe-Gov法令検索へのリンクを付けている理由そのものです。
シリーズ累計成績(随時更新)
2026年6月12日更新:令和7年司法試験 短答式試験(民法)のうち条文知識を問う10問(第1・2・5・14・15・25・28・32・34・36問)・計50記述で同じ検証を行っています。累計成績は次のとおりです。
- 記述単位の正誤判定:50問中47問が法務省正解と一致
- 問題単位(組合せ選択肢の導出):10問中7問正解
外した3問(第25・28・36問)も含めて、すべての問題を今後のコラムで順次公開していきます。うまくいった例だけを選んで載せることはしません。続き:第2回(第2問・失踪宣告と不在者財産管理)。
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「ことのり」なら、調べたいことを日常の言葉で入力するだけで、関連する条文と出典リンク付きのレポートを数十秒で生成できます。本検証で使ったのと同じ本番サービスです。
この問題の論点を実際に検索してみるよくある質問
なぜ司法試験の問題で検証するのですか?
司法試験の短答式試験は、法務省が問題と正解を公表している数少ない「答え合わせができる」法律問題だからです。AIの回答を客観的な正解と照合することで、検索精度を誰でも再現可能な形で確認できます。
AIの法令調査は間違えることはありますか?
あります。本検証でも、正誤の結論は一致したものの、解説の一部に法改正前の古い記述が混ざったケースがありました。だからこそ、ことのりは回答に必ずe-Gov法令検索など一次情報へのリンクを付け、原文をすぐ確認できる設計にしています。
検証はどのように行ったのですか?
法務省公表の問題の記述ア〜オを1つずつ、本番稼働中のことのりにそのまま入力し、返ってきた正誤判定を法務省公表の「正解及び配点」と照合しました。プロンプトの工夫や再試行はしていません。検証に使った検索は、どなたでも同じ文言で再現できます。
出典(一次情報)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。検証結果は記載の問題・時点におけるものであり、すべての検索で同等の結果を保証するものではありません。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。