結論:令和7年司法試験 短答式試験(民法)第2問(失踪の宣告・不在者の財産管理)でも、AI法令検索「ことのり」の正誤判定は5記述すべて法務省公表の正解と一致しました。導かれる解答は「3」(イとオが誤り)で、法務省公表の正解(3)と一致します。しかも今回は、5つの判定すべてが「検索で取得した条文」だけを根拠に行われており、AIの内部知識に頼った箇所はゼロでした。
本シリーズは、「AIの法令調査はどこまで信頼できるのか」を、答えが公表されている司法試験の問題で1問ずつ検証し、結果を良し悪し含めてそのまま公開する企画です。第1回(第1問・成年後見制度)はこちら。
検証の方法
方法は第1回と同じです。問題の記述ア〜オを1つずつ、「次の記述は、現行法令に照らして正しいですか、誤っていますか。根拠となる条文を挙げて判定してください」という形で本番稼働中のことのりにそのまま入力し、返ってきた判定を法務省公表の「正解及び配点」と照合しました。プロンプトの工夫・再試行・人間による誘導はありません。
第2問の内容(失踪の宣告・不在者の財産管理)
第2問は、失踪の宣告および不在者の財産の管理に関する次のアからオまでの各記述のうち「誤っているものの組み合わせ」を選ぶ問題です(配点2点。出典:法務省「令和7年司法試験 短答式試験問題集[民法]」)。
ア.Aについて失踪宣告がされた後、Aが生存することが明らかとなったにもかかわらず、Aについての失踪宣告が取り消されずにAが死亡したときは、利害関係人は、失踪宣告の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
イ.失踪宣告を受けたAが実際には別の場所で生存していたときは、Aが失踪宣告の後にした不動産の売却は、その効力を生じない。
ウ.Aの生死が7年間明らかでない場合において、Aについて失踪宣告がされたときは、Aは、この7年の期間が満了した時に死亡したものとみなされる。
エ.家庭裁判所が、不在者の財産の管理について必要な処分として管理人を選任した場合には、その後、不在者がその財産を管理することができるようになったときであっても、管理人の権限は、当然には消滅しない。
オ.不在者がその財産の管理人を置いた場合には、その後、不在者の生死が明らかでなくなったときであっても、利害関係人は、管理人の改任を家庭裁判所に請求することができない。
ことのりの判定結果:5記述すべて正解と一致
| 記述 | ことのりの判定 | 挙げた主な根拠条文 | 法務省正解との照合 |
|---|---|---|---|
| ア | 正しい | 民法32条1項 | 一致 |
| イ | 誤り | 民法32条1項後段 | 一致(理由付けに注記・後述) |
| ウ | 正しい | 民法30条1項・31条 | 一致 |
| エ | 正しい | 家事事件手続法147条 | 一致 |
| オ | 誤り | 民法26条 | 一致 |
「誤り」と判定されたのはイとオ。組み合わせは選択肢3となり、法務省公表の正解(3)と一致しました。
ア:生存が判明した後に死亡しても取消しを請求できる → 「正しい」
ことのりは民法32条1項を引き、生存していたことの証明があれば、家庭裁判所は本人または利害関係人の請求により失踪宣告を取り消さなければならないとして「正しい」と判定しました。
イ:宣告後にAがした不動産売却は効力を生じない → 「誤り」
ことのりは民法32条1項後段(失踪宣告の取消しは、宣告後取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない)を引いて、売却の効力が当然に失われるわけではないとして「誤り」と判定。一般の取消しの遡及効を定める民法121条との関係まで整理した上での判定でした。
ウ:7年の期間満了時に死亡したものとみなされる → 「正しい」
ことのりは民法30条1項(普通失踪の要件)と民法31条(死亡とみなされる時期)を正確に引いて「正しい」と判定しました。普通失踪では「宣告の時」ではなく「期間満了の時」に死亡とみなされる、という細かい論点です。
エ:不在者が財産を管理できるようになっても管理人の権限は当然には消滅しない → 「正しい」
ここは民法だけでは答えが出ない記述ですが、ことのりは手続法である家事事件手続法147条(家庭裁判所による「処分の取消しの審判」が必要)まで取得した上で、権限は自動的には消滅しないとして「正しい」と判定しました。民法と手続法をまたいで根拠を探せた点は、今回の検証で特に評価できる動きです。
オ:不在者が置いた管理人の改任を請求できない → 「誤り」
ことのりは民法26条が、不在者の生死が明らかでなくなった場合に利害関係人または検察官が管理人の改任を家庭裁判所に請求できることを明記しているとして「誤り」と判定しました。
正直に書きます:結論は一致、ただし理由付けに留意点
今回の5判定は、第1回で見つかったような「AIの内部知識に頼った古い記載」が一切なく、すべて検索で取得した現行条文に基づいていました。これは検証として理想的な結果です。
一方で、イの理由付けには留意点があります。受験界の標準的な解説では、イが誤りである理由は「失踪宣告は従来の住所を中心とする法律関係について死亡とみなす制度であり、生存する本人の権利能力・行為能力を奪うものではない(だから別の場所でした売却は有効)」と説明されるのが一般的です。ことのりは民法32条1項後段の善意者保護を中心に「効力を生じないとはいえない」という別のルートで同じ結論に到達しました。結論は一致しましたが、AIの理由付けをそのまま答案や実務文書に転用するのではなく、出典リンクから条文・基本書に当たって確認する使い方をおすすめします。
シリーズ累計成績(随時更新)
本記事の時点で、令和7年司法試験 短答式試験(民法)のうち条文知識を問う10問(第1・2・5・14・15・25・28・32・34・36問)・計50記述で同じ検証を行っています。累計成績は次のとおりです。
- 記述単位の正誤判定:50問中47問が法務省正解と一致
- 問題単位(組合せ選択肢の導出):10問中7問正解
正解できなかった3問(第25・28・36問)は、それぞれ性質の異なる興味深い外し方をしており、今後の回で1問ずつ解剖して公開します。うまくいった例だけを選んで載せることはしません。
同じ検索を、あなたの実務の疑問で試せます
「ことのり」なら、調べたいことを日常の言葉で入力するだけで、関連する条文と出典リンク付きのレポートを数十秒で生成できます。本検証で使ったのと同じ本番サービスです。
この問題の論点を実際に検索してみるよくある質問
検証で使ったAIは特別仕様ですか?
いいえ。誰でも使える本番稼働中のことのりに、記述をそのまま入力しただけです。プロンプトの工夫・再試行・人間による誘導は行っていません。同じ文言を入力すれば、どなたでも検証を再現できます。
AIの結論が合っていれば、理由付けも信用してよいですか?
結論と理由付けは分けて確認することをおすすめします。本検証でも、結論は正解と一致したものの、理由付けが標準的な学説の説明と異なるルートだったケースがありました。ことのりの回答には条文への出典リンクが付くので、必ず原文を確認してください。
累計成績はどこで確認できますか?
検証シリーズの各記事に最新の累計成績を掲載しています。本記事時点では10問・50記述で、記述単位47/50、問題単位7/10です。正解できなかった問題も含めてすべて公開します。
出典(一次情報)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。検証結果は記載の問題・時点におけるものであり、すべての検索で同等の結果を保証するものではありません。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。