結論:令和6年度 司法書士試験 午後の部 第13問(不動産登記法(登記の申請人・相続人への遺贈))で、ことのりは5記述のうち公式正解と一致したのは4記述で、記述ウを取りこぼしました。導かれる組合せも「アウオ」となり、公式正解「アオ」に絞り込めませんでした。本シリーズの「外した回」です。うまくいった回だけでなく、外した回も隠さず公開します。

本記事は、AI法令検索「ことのり」(本番稼働中のサービスそのもの)に実際に検索を実行させた結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した検証記録です。試験問題および正解は、法務省が公表する司法書士試験の問題・正解から引用しています。本記事は特定の試験対策・法的助言を目的とするものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の条文や一次情報、必要に応じて専門家にご確認ください。

検証の方法

第13問は、不動産登記法(登記の申請人・相続人への遺贈)に関するアからオまでの5つの記述のうち「正しいものの組合せ」を選ぶ問題です。方法はシリーズ共通で、各記述を1つずつ、「次の記述は、現行法令に照らして正しいですか、誤っていますか。根拠となる条文を挙げて判定してください」という形で本番稼働中のことのりにそのまま入力し、返ってきた判定を法務省公表の正解と照合しました。プロンプトの工夫・再試行・人間による誘導はありません。

ことのりの判定結果:5記述中4記述が一致(記述ウを取りこぼし)

記述ことのりの判定挙げた主な根拠条文公式正解との照合
記述ア正しい不動産登記法69条○ 一致
記述イ誤り不動産登記法93条・法60条○ 一致
記述ウ正しい不動産登記法63条3項× 不一致
記述エ誤り不動産登記法100条・法60条○ 一致
記述オ正しい不動産登記法60条○ 一致

各記述の解説

記述ア:ことのりの判定「正しい」(公式と一致)

記述:抵当権者Bの死亡時に抵当権が消滅する旨の定めの登記がされている場合に、Bの死亡により抵当権が消滅したときは、Aは単独で当該抵当権の設定登記の抹消を申請することができる。

根拠条文:不動産登記法69条
権利が人の死亡により消滅した場合の登記の抹消は登記権利者が単独で申請できます(法69条)。ことのりは『正しい』と判定し、公式正解(正しい記述)と一致しました。

記述イ:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)

記述:元本確定前の根抵当権の債務者Bが破産手続開始の決定を受け、Cが被担保債権を代位弁済したときは、Cは単独で根抵当権の移転登記と元本確定登記を申請することができる。

根拠条文:不動産登記法93条法60条
元本の確定の登記は一定の場合に根抵当権の登記名義人が単独で申請できますが(法93条)、代位弁済による根抵当権の移転の登記までCが単独で申請できるわけではありません。元本確定前の根抵当権には随伴性がなく(民法398条の7)、移転登記は原則どおり共同申請(法60条)が必要です。Cが単独で両登記を申請できるとする記述は誤りで、ことのりも『誤り』と判定し、公式正解と一致しました。

記述ウ:ことのりの判定「正しい」(公式と不一致)

記述:地上権の登記名義人Aが、その地上権を相続人Bに遺贈する旨の遺言を作成して死亡したときは、Bは単独で、遺贈を登記原因とする地上権の移転登記を申請することができる。

根拠条文:不動産登記法63条3項
ことのりは、相続人への遺贈であれば単独申請が認められるという一般論に引っ張られ『場合により正しい』と判定しましたが、公式正解は『誤り』です。令和3年改正で新設された相続人に対する遺贈の単独申請(法63条3項)の対象は、条文上『所有権の移転の登記』に限られます。本記述は『地上権』の移転登記であるため同項の対象外で、原則どおり共同申請が必要です。よってBは単独では申請できず、記述は誤り。ことのりはこの『所有権限定』という改正のピンポイントの限定を捉えきれませんでした。

記述エ:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)

記述:受託者B及びCのうちBが受託者を辞任しその任務が終了した場合に、Cは単独でBの任務終了による権利の変更登記を申請することができる。

根拠条文:不動産登記法100条法60条
受託者が複数いて一人の任務が終了した場合に、他の受託者が単独で変更登記を申請できる例外(法100条)は、任務終了が死亡・後見/保佐開始・破産・合併以外の解散・解任命令による場合に限られ、『辞任』はこの列挙事由に含まれません。よって辞任で任務終了した本記述では同条の単独申請は使えず、原則どおり共同申請(法60条)が必要です。Cは単独で申請できず誤りで、ことのりも『誤り』と判定し公式正解と一致しました。これは記述ウの『所有権限定』と同型の、限定要件のひっかけです。

記述オ:ことのりの判定「正しい」(公式と一致)

記述:所有権移転登記手続を行う旨の公正証書が作成された場合でも、Bは当該公正証書を添付情報として提供したとしても、単独で所有権移転登記を申請することはできない。

根拠条文:不動産登記法60条
公正証書は確定判決と異なり単独申請の根拠とはならないため、共同申請が必要です。ことのりは『正しい(単独では申請できない)』と判定し、公式正解と一致しました。

この結果から言えること

  • ことのりが外した記述ウは、令和3年改正で新設された『相続人への遺贈の単独申請』が“所有権”に限定されているという、改正のピンポイントの論点でした。
  • ことのりは『包括遺贈・特定遺贈』という改正前からの一般的な枠組みで場合分けし、改正で加わった“所有権限定”の一語を捉えきれずに『場合により正しい』と答えました。これは、条文の大枠は理解していても、最新の改正で加わった限定要件を見落とすという弱点が表れた例です。
  • 教訓は明確です。AIの判定はそのまま信じず、必ず根拠条文(出典リンク)で、とくに改正部分の要件まで確認すること。本記事はうまくいった回だけでなく、外した回も隠さず公開するシリーズ方針に沿うものです。

シリーズ累計成績(随時更新)

▶ 司法書士・検証シリーズの一覧を見る

司法書士試験(不動産登記法など)の条文知識を問う問題で同じ検証を進めています。うまくいった回だけを選んで載せることはせず、外した問題も隠さず解剖して公開します。

同じ検索を、あなたの実務の疑問で試せます

「ことのり」なら、調べたいことを日常の言葉で入力するだけで、関連する条文と出典リンク付きのレポートを数十秒で生成できます。本検証で使ったのと同じ本番サービスです。

ことのりを無料で試す

よくある質問

AIは法改正に対応できていますか?

ことのりは毎日の法令データ更新で改正条文に追従しますが、本検証のように、改正で加わった細かな限定要件(例:単独申請が“所有権”に限られる点)を判定で見落とすことがあります。最終確認は必ず条文の出典リンクで行ってください。

司法書士の実務で登記の申請人の判断はどう使いますか?

単独申請の可否は登記実務の要です。ことのりで関連条文・先例の所在を素早く確認し、改正部分や単独申請の可否は条文と専門家で最終確認するのが安全です。

出典(一次情報)