ストーカー規制法の改正議論が動いています。悪質な加害者へのGPS装着など、監視・接近防止の実効性を高める措置が検討されており、被害者保護の強化が焦点になっています。従業員や顧客からストーカー被害の相談を受けた企業・士業事務所にとって、現行法の禁止行為・警告・禁止命令の手続や、事業者に求められる努力義務は、平時から押さえておきたい知識です。

この記事では、ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」)の条文を土台に、(1)規制される「つきまとい等」「位置情報無承諾取得等」の内容、(2)警察本部長等による警告と公安委員会による禁止命令等の手続、(3)事業者・雇用者に求められる努力義務と警察による援助制度、を出典付きで整理します。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。ストーカー規制法は個人の身体・自由・名誉に関わるYMYL領域の法令であり、被害の状況・行為の態様によって適用条文や取り得る手続は大きく異なります。実際の被害相談・申出・命令手続にあたっては、必ず一次情報(e-Gov法令検索の条文本文)と、警察・弁護士等の専門家にご確認のうえ最終判断をお願いします。

1. ストーカー規制法が目指すもの

ストーカー規制法第1条は、ストーカー行為を処罰し、相手方に対する援助の措置を定めることで、個人の身体・自由・名誉に対する危害の発生を防止し、国民の生活の安全と平穏に資することを目的としています。行政上の措置(警告・禁止命令等)、刑事罰、被害者支援がひとつの法律に組み合わされているのが特徴です。

2. 規制される行為の中身

2-1. 「つきまとい等」8類型

同法第2条は、「つきまとい等」を、特定の者に対する恋愛感情や、それが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その者や配偶者・直系親族・同居親族・社会生活上密接な関係にある者に対し行う行為と定義しています。具体的には次の8類型です。

  1. つきまとい、待ち伏せ、進路妨害、住居・勤務先・学校等の見張り、押し掛け、付近のうろつき
  2. 行動を監視していると思わせる事項の告知または知り得る状態に置くこと
  3. 面会・交際など義務のないことの要求
  4. 著しく粗野または乱暴な言動
  5. 電話をかけて何も告げない、または拒否されたにもかかわらず連続して電話・文書・FAX・電子メール等を送信する行為
  6. 汚物・動物の死体など著しく不快または嫌悪の情を催させる物の送付・知り得る状態に置くこと
  7. 名誉を害する事項の告知または知り得る状態に置くこと
  8. 性的羞恥心を害する事項の告知や、関連する物品の送付・知り得る状態に置くこと

2-2. 「位置情報無承諾取得等」

同じく第2条では、承諾を得ずに位置情報記録・送信装置や位置特定用識別情報送信装置を用いて位置情報を取得したり、これらの装置を無断で取り付ける行為を「位置情報無承諾取得等」として規制しています。GPS機器を用いた行為はここに含まれます。

2-3. 不安を覚えさせる行為の禁止

第3条は、何人も、つきまとい等または位置情報無承諾取得等をして、相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならないと定めています。この第3条違反が、後述の警告・禁止命令等の起点になります。

2-4. ストーカー行為と罰則

第2条は「つきまとい等」または「位置情報無承諾取得等」を同一の者に対し反復して行うことを「ストーカー行為」と定義しています。ストーカー行為をした者は、第18条により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処されます。

3. 警告の手続(警察本部長等)

第4条により、警視総監・道府県警察本部長・警察署長(以下「警察本部長等」)は、第3条違反があり、かつ行為者がさらに反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、相手方の申出または職権で、「反復して当該行為をしてはならない」旨を警告することができます。

3-1. 申出のしかた

同法施行規則第1条により、警告の申出は警告申出書の提出によって行います。口頭で申し出た場合は、警察職員が代書して受理する扱いです。

3-2. 警告の方法・通知

警告は原則として警告書の交付により行われます(施行規則第2条)。緊急を要し書面交付のいとまがないときは口頭でも可能ですが、その場合も可能な限り速やかに警告書を交付します。警告を行った場合、警察本部長等は速やかにその内容・日時を相手方(行為者)に通知しなければなりません(第4条)。警告をしなかった場合も、その旨と理由を申出者に書面で通知します(施行規則第3条)。

3-3. 調査権限と管轄

第13条は、警察本部長等が警告のために必要な限度で、行為者や関係者に対し報告・資料の提出を求めたり、質問したりできることを定めています。管轄は、相手方の現在または行為時の住所・居所、行為者の現在の住所、または行為が行われた地を管轄する警察本部長等となります(第14条)。

4. 禁止命令等の手続(公安委員会)

第5条は、都道府県公安委員会が、第3条違反があり、かつ反復のおそれがあると認めるときに、相手方の申出または職権で、行為者に対して「反復して当該行為をしてはならないこと」や、その防止に必要な事項を命じることができると定めています。

4-1. 申出のしかた

禁止命令等の申出は、施行規則第4条により、禁止命令等申出書の提出で行います。口頭申出時は警察職員が代書して受理する取扱いです。

4-2. 聴聞の原則と緊急時の例外

禁止命令等は、行政手続法に基づく聴聞を行うことが原則です。ただし、相手方の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害されることを防止するため緊急の必要があると認められる場合は、聴聞や弁明の機会の付与を経ずに命令を出すことができます。この場合、命令後15日以内に意見の聴取を行う必要があります(第5条)。

4-3. 効力・延長

禁止命令等の効力は、命令の日から1年間です。公安委員会は、期間経過後も継続の必要があると認めるときは、相手方の申出または職権で有効期間を1年間延長することができ、この延長は繰り返し可能です(第5条)。

4-4. 通知と送達

禁止命令等を行ったときは、速やかに相手方(行為者)に通知しなければなりません。命令をしなかった場合も、その旨と理由を申出者に書面で通知します(施行規則第5条)。送達は、原則として国家公安委員会規則で定める禁止等命令書等の書類を送達して行われ(施行規則第10条)、住所・居所が不明な場合は電子計算機を用いた公示送達によることができます(施行規則第13条)。

4-5. 違反した場合の罰則

第19条により、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金、禁止命令等に違反してつきまとい等または位置情報無承諾取得等を行いストーカー行為をした者も同様に処罰されます。警告のみで済ませられなかった段階では、罰則の水準も一段引き上がる構造です。

5. 事業者(会社・士業)の努力義務と留意点

ストーカー規制法は、事業者に直接的な「義務」を課してはいませんが、実務上重要な複数の努力義務・配慮規定を置いています。

5-1. 雇用者の援助努力義務

第9条は、ストーカー行為等が行われている場合、その相手方を雇用する者は、当該相手方に対する援助に努めるものと定めています。従業員がストーカー被害に遭っているとき、企業として支援に努めることが法律上明記されているという点は押さえておく必要があります。

5-2. 関係事業者の再発防止努力義務

同じく第9条は、ストーカー行為等に係る役務の提供を行った関係事業者に対し、相手方からの求めに応じてストーカー行為等が行われることを防止する措置を講じるよう努めるものとしています。

5-3. 特定相手方情報の提供禁止

第6条は、何人も、ストーカー行為等をするおそれがある者であることを知りながら、その者に対して相手方の氏名・住所その他の特定相手方情報を提供してはならないと定めています。警察本部長等は、そのような提供を行うおそれがある者に対し、提供を行わないよう求めることができます。会社・士業事務所が保有する従業員名簿や顧客情報の取扱いにも直結する規定です。

5-4. 国・地方公共団体等の個人情報管理

第8条は、ストーカー行為等に係る相手方の保護・捜査・裁判等に職務上関係のある者は、その職務にあたり、相手方の安全確保と秘密保持に十分配慮しなければならないと定めています。

6. 警察等による被害者援助と行政の支援

6-1. 警察本部長等による援助の内容

第7条により、警察本部長等は、相手方から被害を自ら防止するための援助を受けたい旨の申出があり、相当と認めるときは必要な援助を行います。国家公安委員会規則で定める具体的な援助は施行規則第16条で次のように整理されています。

  • 被害防止交渉を円滑に行うために必要な事項の連絡
  • 加害者の氏名・住所その他の連絡先の教示
  • 被害防止交渉に関する助言
  • 被害防止活動を行う民間団体等の紹介
  • 被害防止交渉を行う場所として警察施設の利用
  • 防犯ブザーなど被害防止に資する物品の教示または貸出し
  • 警告、禁止命令等またはその延長処分の実施を明らかにする書面の交付

また第7条第2項は、援助にあたって関係行政機関・関係の公私の団体と緊密な連携を図るよう努めなければならないとしています。

6-2. 国・地方公共団体による支援

第9条は、国および地方公共団体に対し、女性相談支援センターその他適切な施設による支援、民間の施設における滞在についての支援、公的賃貸住宅への入居についての配慮に努めるべきことを定めています。事業者としては、こうした公的な受け皿があることを従業員や依頼者に情報提供できるよう、平時から把握しておくと役立ちます。

6-3. 実態把握・啓発・調査研究

第11条は、国および地方公共団体に対し、ストーカー行為等の実態把握、人材の養成、教育活動・広報活動による知識の普及・啓発、民間の自主的な組織活動との連携協力に努めるよう定めています。加えて第10条は、加害者を更生させる方法や相手方の心身の健康を回復させる方法に関する調査研究の推進にも努めるべきことを規定しています。

7. 事業者としてどこまで整えておくか

ストーカー規制法上、事業者の義務は「努力義務」にとどまりますが、第9条の援助努力義務や、第6条の特定相手方情報の提供禁止は、社内の相談体制・情報管理体制と直結しています。相談窓口や連絡経路を明確にし、従業員・依頼者の個人情報が加害者側に流れないよう管理する仕組みを、平時から整えておくことが実務上の出発点になります。個別事案での申出書の書き方や、緊急時の禁止命令等の要否判断は、警察や弁護士等の専門家に相談のうえ進めてください。

条文の原文も、その場で確認できます

ストーカー規制法の禁止行為・警告・禁止命令の手続や、事業者に求められる努力義務の該当条文は、AI法令調査ツール「ことのり」でそのまま検索・出典リンク付きで確認できます。事案対応前の下調べにお使いください。

ストーカー規制法の基本をことのりで調べる

よくある質問

Q1. 警告と禁止命令等は、どのように違うのですか?

警告は第4条に基づく警察本部長等の措置で、「さらに反復して当該行為をしてはならない旨」を告げるものです。これに対し禁止命令等は第5条に基づく都道府県公安委員会の措置で、反復禁止に加えて「防止に必要な事項」を命じることができ、原則として聴聞を経て行われ、効力は1年間で延長も可能です。命令違反には第19条により重い罰則(2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金)が科されます。

Q2. 従業員がストーカー被害を訴えてきたら、会社は法律上何をしなければなりませんか?

第9条は、ストーカー行為等の相手方を雇用する者に対し、相手方への援助に努めるものと定めています。援助の具体的内容は法定されていませんが、被害の把握と相談対応、加害者側への情報流出防止(第6条の特定相手方情報提供禁止と整合する情報管理)、警察の援助制度(第7条)や公的支援(第9条)への案内などが、努力義務を果たす具体的方策として想定されます。個別の対応は弁護士等の専門家に相談してください。

Q3. 被害者本人は、警察にどのような援助を求められますか?

第7条および施行規則第16条により、被害防止交渉のための連絡、加害者の氏名・住所等の教示、被害防止交渉に関する助言、民間支援団体の紹介、警察施設の利用、防犯ブザー等の物品の教示・貸出し、警告・禁止命令等の実施を明らかにする書面の交付など、複数の援助を申し出ることができます。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

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