パソコンや車、不動産といった「お金以外の財産」を出資して会社をつくる——これが現物出資です。結論からいうと、会社設立時の現物出資には原則として裁判所が選任する検査役の調査が必要ですが、会社法第33条第10項が定める3つの場合に当たれば、この調査は不要になります。そして、そのうち「弁護士等の証明」を使う場合に誰が証明できないかを定めているのが同条第11項です。

本記事では、e-Gov法令検索で公開されている会社法第33条・第46条・第52条・第93条・第94条・第207条と、会社法施行規則第6条の条文に基づいて、設立時(第33条)と増資時(第207条)で免除要件がどう違うのか、免除されたあとに何が残るのかを整理します。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。現物出資の評価や登記添付書類の実務は、財産の種類・金額・登記所の取扱いによって異なります。実際の判断にあたっては、必ずe-Gov法令検索の最新の条文と法務局の案内、必要に応じて司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。

まず原則:現物出資には検査役の調査が必要(会社法第33条第1項)

発起人は、定款に第28条各号に掲げる事項(現物出資や財産引受けなど、いわゆる変態設立事項)についての記載または記録があるときは、会社法第33条第1項により、第30条第1項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならないとされています。

申立てがあった場合、裁判所は不適法として却下する場合を除き検査役を選任します(同条第2項)。選任された検査役は必要な調査を行って裁判所に報告し、裁判所は現物出資財産等の価額が不当であると認めたときは、これを変更する決定をすることができます(同条第4項、第7項)。

この手続きが置かれている理由は明快です。現物出資の価額が過大に評価されると、実態より少ない財産しか会社に入っていないのに資本だけが大きく見えることになり、債権者や他の株主が害されるおそれがあるためです。裁判所を巻き込む厳格な手続きである反面、時間も費用もかかるため、実務では次に見る免除規定に当てはめられるかどうかが最初の検討ポイントになります。

会社法第33条第10項:検査役の調査が不要になる3つの場合

会社法第33条第10項は、次のいずれかに当たる場合について、その現物出資財産等に係る事項は第1項の検査役の調査を要しないと定めています。

第1号:定款記載の価額の総額が500万円を超えない場合

現物出資財産等について定款に記載され、または記録された価額の総額が500万円を超えない場合は、検査役の調査が不要になります。少額の現物出資であれば、価額の過大評価が会社に与える影響が限定的であるという考え方に基づく簡略化措置です。中小企業の設立実務でもっともよく使われるのがこの第1号です。

注意したいのは、基準になるのが個々の財産の価額ではなく「総額」である点です。定款に複数の現物出資財産を記載する場合は、その合計額で判断することになります。

第2号:市場価格のある有価証券で、定款価額が市場価格を超えない場合

現物出資財産等のうち市場価格のある有価証券について、定款に記載・記録された価額が、当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定される価額を超えない場合も、当該有価証券について検査役の調査は不要です。客観的な市場価格が存在する以上、あらためて検査役が価額を調べる必要性が低い、という整理です。

ここでいう法務省令の算定方法は、会社法施行規則第6条(検査役の調査を要しない市場価格のある有価証券)に規定されています。同条は、法第30条第1項の認証の日における当該有価証券を取引する市場での最終の価格(その日に売買取引がない場合や市場の休業日に当たる場合は、その後最初に成立した売買取引の価格)と、当該有価証券が公開買付け等の対象であるときの公開買付け等に係る契約における価格のうち、いずれか高い額をもって有価証券の価格とする方法を定めています。

第3号:弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合

現物出資財産等について定款に記載・記録された価額が相当であることについて証明を受けた場合も、その証明を受けた現物出資財産等については検査役の調査が不要になります。証明をすることができるのは、条文上、弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人です。

ただし、現物出資財産等が不動産である場合には、これらの専門家の証明に加えて、不動産鑑定士の鑑定評価も必要とされています。不動産は評価に高い専門性を要するため、鑑定評価が上乗せされている形です。

金額の上限がないため、500万円を超える現物出資を検査役の調査なしで行いたい場合の中心的な手段になります。一方で、次に見る第11項の制限にかかると、その証明は使えません。

会社法第33条第11項:証明をすることができない者

第10項第3号の証明は、あくまで第三者による客観的な評価であることが前提です。そこで会社法第33条第11項は、次に掲げる者は同項第3号の証明をすることができないと定めています。

  • 第1号:発起人——現物出資の当事者であり、価額の決定に直接の利害を持つ立場です。
  • 第2号:第28条第2号の財産の譲渡人——会社の成立後に譲り受けることを約した財産(財産引受け)の譲渡人も、価額について利害関係を持ちます。
  • 第3号:設立時取締役または設立時監査役——後述のとおり価額の相当性を調査する側に立つ者であり、自ら証明することはできません。
  • 第4号:業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者——専門家としての業務停止期間中の者を除く趣旨です。
  • 第5号:第1号から第3号までに掲げる者が半数以上を占める法人——弁護士法人・監査法人・税理士法人であっても、社員の半数以上が上記に当たる場合は、実質的に利害関係者による証明と同視されます。

実務では、顧問税理士が発起人や設立時取締役に名を連ねていないか設立予定会社の関係者が過半を占める法人ではないかを先に確認しておくと、証明書の作り直しを避けられます。

免除されても残る義務:設立時取締役等による調査(第46条・第93条)

検査役の調査が免除されても、価額の適正性チェックがゼロになるわけではありません。会社法第46条は、発起設立において、設立時取締役(監査役設置会社である場合は設立時取締役および設立時監査役)が選任後遅滞なく、第33条第10項第1号・第2号に掲げる場合における現物出資財産等について定款に記載・記録された価額が相当であることなどを調査しなければならないと定めています。調査の結果、法令・定款に違反する事項や不当な事項があると認めたときは、発起人にその旨を通知しなければならないとされています。

募集設立の場合も同様で、会社法第93条(設立時取締役等による調査)が、設立時取締役等に対し、第33条第10項第1号・第2号の場合の価額の相当性や、同項第3号の証明が相当であることなどの調査を義務づけ、その結果を創立総会に報告することを求めています。

また、設立時取締役等の全部または一部が発起人である場合には、会社法第94条(設立時取締役等が発起人である場合の特則)により、創立総会の決議によって、第93条第1項各号に掲げる事項を調査する者を別に選任することができます。選任された者は必要な調査を行い、その結果を創立総会に報告しなければなりません。ここでも「自分で自分を調査させない」という発想が貫かれています。

価額が不足していたときの責任(会社法第52条)

免除規定を使うかどうかを検討するうえで見落とせないのが、会社法第52条(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)です。

同条第1項は、株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が、定款に記載・記録された価額(定款の変更があった場合は変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、会社に対し連帯してその不足額を支払う義務を負うと定めています。

もっとも第2項により、検査役の調査を経た場合や、発起人・設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合には、この責任は免れるとされています。裏を返せば、検査役の調査を省略した場合は「注意を怠らなかったこと」を自ら立証しなければならない場面があり得る、ということです。

さらに第3項は、第33条第10項第3号の証明をした者(証明者)も、価額が著しく不足するときは発起人等と連帯して不足額を支払う義務を負うとしつつ、証明者がその証明をするについて注意を怠らなかったことを証明した場合はこの限りでないと定めています。証明する側にも責任が及ぶ設計になっている点は、専門家に依頼する際にも押さえておきたいところです。

増資のとき(募集株式の発行)は第207条第9項

ここまでは会社設立時の話です。会社成立後に募集株式を発行して現物出資を受ける場合、根拠条文は変わります。会社法第207条第1項は、株式会社が第199条第1項第3号に掲げる事項(金銭以外の財産を出資の目的とする旨等)を定めたときは、募集事項の決定の後遅滞なく、現物出資財産の価額を調査させるため、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならないと定めています。

そのうえで同条第9項は、次の場合には検査役の調査を要しないとしています。

  • 募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が、発行済株式の総数の10分の1を超えない場合(当該引受人が給付する現物出資財産の価額について)
  • 現物出資財産について定められた価額の総額が500万円を超えない場合
  • 市場価格のある有価証券について定められた価額が、法務省令で定める方法により算定される市場価格を超えない場合
  • 価額が相当であることについて弁護士・公認会計士・税理士等の証明(不動産である場合は不動産鑑定士の鑑定評価も)を受けた場合
  • 現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る)であって、その価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合

設立時の第33条第10項と比べると、「発行済株式総数の10分の1以下」と「弁済期到来の金銭債権(デット・エクイティ・スワップ)」の2つが増えているのが大きな違いです。第207条でも、証明をすることができない者の制限は設けられており、証明を行う専門家は取締役や募集株式の引受人といった利害関係者であってはならないとされています。

なお、新株予約権が行使されて現物出資が行われる場合についても、会社法第284条が同様の検査役調査とその免除を定めています(同条第9項)。

e-Govで会社法第33条の原文を確認する方法

会社法の条文原文は、総務省が運営するe-Gov法令検索で誰でも無料で確認できます。第33条は会社法(平成17年法律第86号)第33条へのリンクから直接開けます。第10項の3つの場合と第11項の各号は、条文を目で追ったほうが確実です。あわせて、第46条第93条の調査義務、第52条の不足額責任、増資時の第207条、有価証券の算定方法を定める会社法施行規則第6条まで読むと、制度の全体像がつかめます。

設立登記の添付書類として何を求められるかは、選んだ免除要件によって変わります(弁護士等の証明書、不動産鑑定評価書など)。具体的な必要書類は管轄の法務局および依頼先の司法書士にご確認ください。

条文の原文も、その場で確認できます

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現物出資の検査役調査をことのりで調べる

よくある質問

会社法33条10項で検査役の調査が不要になるのはどんな場合ですか?

会社法第33条第10項は、(1)現物出資財産等について定款に記載・記録された価額の総額が500万円を超えない場合(第1号)、(2)市場価格のある有価証券について定款に記載・記録された価額が法務省令で定める方法により算定される市場価格を超えない場合(第2号)、(3)価額が相当であることについて弁護士・弁護士法人・弁護士外国法事務弁護士共同法人・公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は加えて不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合(第3号)に、検査役の調査を要しないと定めています。

会社法33条11項では誰が価額の証明をできないとされていますか?

会社法第33条第11項は、第10項第3号の証明をすることができない者として、発起人(第1号)、第28条第2号の財産の譲渡人(第2号)、設立時取締役または設立時監査役(第3号)、業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者(第4号)、第1号から第3号までに掲げる者が半数以上を占める法人(第5号)を挙げています。

検査役の調査が免除されれば、ほかの調査も不要になりますか?

いいえ。第33条第10項第1号・第2号に該当する場合や第3号の証明を受けた場合であっても、設立時取締役(監査役設置会社では設立時取締役および設立時監査役)は、選任後遅滞なく、その価額が相当であることや証明が相当であることを調査しなければならないとされています(会社法第46条第93条第1項)。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

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