「白ナンバーの社用車でもアルコールチェックが義務になった」——そう聞いて、自社が対象なのかどうかが分からないまま検知器を買うか迷っている、という相談をよく聞きます。今回は、この義務がどの条文から出てきて、どこまでが義務で、守らなかったらどうなるのかを、条文本体に当たって確かめました。

先に結論を書きます。義務の中身(検知器を使う・記録を1年保存する)は施行規則にはっきり書かれていました。対象になる台数も同じく施行規則に明記されていました。ところが罰則の条文を開いてみると、そこに列挙されているのは「選任しなかったこと」と「命令に従わなかったこと」だけで、「アルコールチェックをしなかったこと」は入っていませんでした。この構造を知っておくと、社内で何から整えるべきかの順番が変わります。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。 今回は生検索を4回に分けて実行し、道路交通法第74条の3・第119条の2・第120条・第121条、道路交通法施行規則第9条の8・第9条の9・第9条の10・第9条の13の条文本体を取得しています。一方で、「自動車の使用者」「使用の本拠」を定義する条文や、リース車・従業員のマイカーの数え方を定める条文は取得できませんでした。これらは警察庁・警視庁の資料による説明として書き分けています。本記事の事実・条文・出典は、この4回の生検索の実結果に基づきます。最終的な判断は、e-Gov法令検索の最新の条文と、所轄の警察署または専門家にご確認ください。

義務の出どころは1本の条文(道路交通法第74条の3)

アルコールチェックの義務は、単独の条文として存在しているわけではありません。出発点は道路交通法第74条の3で、ここが安全運転管理者という役職を置くことを定めています。第1項はこう始まります。

(安全運転管理者等)
第七十四条の三 自動車の使用者(…)は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、…安全運転管理者を選任しなければならない

続く第2項が、その安全運転管理者が行う業務を定めています。ただし業務の中身はここには書かれておらず、「内閣府令で定めるもの」として委ねられています。つまり道路交通法の本体を読んでも、アルコールチェックという言葉は出てきません。

実際の中身は道路交通法施行規則第9条の10にあります。第6号と第7号が、今回の主題そのものです。

六 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国家公安委員会が定めるものをいう。次号において同じ。)を用いて確認を行うこと。
七 前号の規定による確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること。

読むときに落としやすいのが、ここに3つの義務が畳み込まれている点です。①運転前と運転後の両方で確認すること、②目視等の確認に加えて検知器を使うこと(「ほか」と書かれているので、どちらか一方ではありません)、③記録を1年間保存し、検知器を常時有効に保持すること。③の「常時有効に保持」は、買って置いておけばよいという話ではなく、使える状態を保つことまで求めている書き方です。

そして重要なのは、この義務がかかるのは「安全運転管理者を選任する義務がある事業所」だけだということです。義務の入口は、アルコールチェックではなく選任義務の側にあります。

自社が対象かどうかは、台数で決まる(施行規則第9条の8)

では、その入口となる台数はどこにあるか。道路交通法施行規則第9条の8です。条文は短く、次の3項だけです。

(安全運転管理者等の選任を必要とする自動車の台数)
第九条の八 法第七十四条の三第一項の内閣府令で定める台数は、乗車定員が十一人以上の自動車にあつては一台、その他の自動車にあつては五台とする。
2 法第七十四条の三第四項の内閣府令で定める台数は、二十台とする。
3 前二項及び第九条の十一の台数を計算する場合においては、大型自動二輪車一台又は普通自動二輪車一台は、それぞれ〇・五台として計算するものとする。

整理するとこうなります。

  • 定員11人以上の車(マイクロバス等)を1台でも使っていれば、その時点で選任義務が生じます。
  • それ以外の車(定員10人以下の乗用車・貨物車)は5台以上で選任義務が生じます。
  • バイクは0.5台として数えます。乗用車4台とバイク2台なら、4+1.0で5台となり、義務が生じる計算です。
  • 第2項は副安全運転管理者の話で、20台以上の場合に選任が必要になります(法第74条の3第4項)。

もう一つ、条文の文言で見落とされやすいのが「使用の本拠ごとに」です。会社単位ではなく、事業所・営業所などの拠点ごとに数える書き方になっています。全社で6台あっても、3台ずつ2拠点に分かれていれば、拠点ごとの判定です。

では、リース車や従業員のマイカーはどう数えるのか。ここが実務でいちばん迷うところですが、今回の生検索では「自動車の使用者」や「使用の本拠」を定義する条文本体を取得できませんでした。警察庁や警視庁の資料では、所有権がどこにあるかではなく実質的に運行を管理・支配しているかで判断するとされ、リース車は原則として台数に含め、従業員のマイカーも業務に継続的・反復的に使わせ、会社が運行を管理していれば含めると説明されています。ただしこれは条文の帰結ではなく行政の解説によるものなので、本記事では条文として扱っていません。自社の数え方は所轄の警察署の交通課にご確認ください。

ここまでの内容の根拠条文と出典リンクは、AI法令調査ツール「ことのり」でご自身でも確かめられます。調べたいことを日常の言葉で入力するだけです。

社用車のアルコールチェック義務をことのりで調べる

罰則の列挙に、アルコールチェックは入っていなかった

ここが今回いちばん確かめたかった点です。「義務化された」と聞けば、守らなかったときの罰則があるはずだと考えます。罰則条文を開いてみました。道路交通法第119条の2です。

第百十九条の二 第七十四条の三(安全運転管理者等)第一項若しくは第四項の規定に違反し、又は同条第六項若しくは第八項の規定による公安委員会の命令に従わなかつたときは、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

この条文が名指ししているものを並べると、次の4つだけです。

  • 第74条の3第1項——安全運転管理者を選任しなかったこと
  • 第74条の3第4項——副安全運転管理者を選任しなかったこと
  • 第74条の3第6項の命令に従わなかったこと(解任命令)
  • 第74条の3第8項の命令に従わなかったこと

業務の内容を定める第2項は、この列挙に入っていません。 アルコールチェックの義務は第2項から施行規則第9条の10へつながるものなので、「チェックをしなかったこと」自体を直接罰する条文は、今回取得した範囲では見当たりませんでした第120条第121条の条文本体も取得して各号を確認しましたが、第74条の3に関して挙がっているのは第120条第2項第3号の第5項(届出義務)違反=5万円以下の罰金だけでした。

誤解のないように書き添えます。これは「やらなくてよい」という意味ではまったくありません。条文の作りはこうなっています。

  • アルコールチェックは、安全運転管理者の業務として法令上の義務です(施行規則第9条の10第6号・第7号)。
  • 業務が行われていないことを理由に、公安委員会が解任命令(第6項)や命令(第8項)を出すことができます。
  • その命令に従わなければ、第119条の2の50万円以下の罰金の対象になります。

つまり罰則は、行政の命令を1段階挟んで効いてくる設計です。直接の罰則がないから軽い、と読むのは危険で、むしろ是正措置が入る余地を残した作りだと理解するほうが実務に合います

そしてもう一つ、はるかに重い条文が別にあります。道路交通法第75条第1項第3号は、自動車の使用者が運転者に対して酒気帯び運転をすることを命じ、または容認することを禁じています。これに当たると、酒に酔った状態の場合は道路交通法第117条の2第2項第1号により5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、一定量以上のアルコールを保有する状態の場合は道路交通法第117条の2の2第2項第2号により3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされています。アルコールチェックを整えておくことは、この「容認していない」ことを示す備えでもあります。

誰を選任できるか(施行規則第9条の9)

選任が必要と分かったら、次は人選です。要件は道路交通法施行規則第9条の9に書かれています。誰でもよいわけではありません。

(安全運転管理者等の要件)
第九条の九 法第七十四条の三第一項の内閣府令で定める要件は、次に掲げるものとする。
一 二十歳(副安全運転管理者が置かれることとなる場合にあつては、三十歳)以上の者であること。
二 自動車の運転の管理に関し二年(自動車の運転の管理に関し公安委員会が行う教習を修了した者にあつては、一年以上実務の経験を有する者又は自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者で、次のいずれにも該当しないものであること。
 イ 法第七十四条の三第六項の規定による命令により解任され、解任の日から二年を経過していない者
 ロ 法第百十七条、法第百十七条の二…の違反行為をした日から二年を経過していない者

年齢要件の書き方が独特です。原則は20歳以上ですが、副安全運転管理者を置く事業所(=20台以上)では30歳以上になります。規模が大きくなるほど、安全運転管理者に求められる年齢が上がる建て方です。

実務経験は「自動車の運転の管理に関し2年以上」。運転歴ではなく管理の経験である点に注意してください。公安委員会が行う教習を修了すれば1年に短縮されます。副安全運転管理者のほうは同条第2項で、20歳以上・管理の実務経験1年以上または運転経験3年以上と、やや緩やかです。

欠格事由も条文に書かれています。解任命令で解任されてから2年、および列挙された違反行為の日から2年は選任できません。なお道路交通法施行規則第9条の13は、選任の届出の際にこの要件を備える者であることを証するに足りる書類を添付することを求めています。人選の段階で確認しておかないと、届出で戻る流れになります。

まとめ:確認する順番

条文本体で確認できた範囲を、実務で使う順に並べます。

  • まず台数を数える——拠点(使用の本拠)ごとに、定員11人以上なら1台、その他は5台、バイクは0.5台(施行規則第9条の8第1項・第3項)
  • 20台以上なら副安全運転管理者も——同条第2項、法第74条の3第4項
  • リース車・マイカーの扱いは条文本体では確認できなかった——実質的な運行管理で判断するという行政の説明がある。所轄の警察署に確認する
  • 人を選ぶ——20歳以上(副管理者を置くなら30歳以上)、管理の実務経験2年(教習修了なら1年)、欠格事由なし(施行規則第9条の9)
  • 届け出る——法第74条の3第5項。要件を証する書類を添付(施行規則第9条の13)。違反は5万円以下の罰金(法第120条第2項第3号)
  • 運転前後にチェックする——目視等に加えて検知器で確認(施行規則第9条の10第6号)
  • 記録して1年保存し、検知器を有効に保つ——同条第7号
  • 罰則の構造を理解しておく——50万円以下の罰金(法第119条の2)が直接かかるのは選任義務違反と命令違反。チェック不実施は命令を挟んで効いてくる

自社の台数の数え方、届出の様式や提出先、個別の事案の判断は、事業所の所在地を管轄する警察署の交通課にご確認ください。

よくある質問

Q1. 社用車が3台しかありません。アルコールチェックは義務ですか?

台数によります。道路交通法施行規則第9条の8第1項は、安全運転管理者の選任が必要になる台数を「乗車定員が十一人以上の自動車にあつては一台、その他の自動車にあつては五台」と定めています。定員10人以下の乗用車・貨物車だけであれば5台以上、マイクロバスのような定員11人以上の車があれば1台で選任義務が生じます。同条第3項により、大型自動二輪車・普通自動二輪車は1台を0.5台として数えます。アルコールチェックは安全運転管理者の業務として義務づけられているものなので、選任義務がない事業所には道路交通法上の義務としては及びません。ただし酒気帯び運転の禁止(第65条第1項)は台数に関係なく誰にでもかかります。

Q2. アルコールチェックをしなかったら罰則はありますか?

今回確認した範囲では、アルコールチェックを行わなかったこと自体を直接罰する条文は見当たりませんでした。道路交通法第119条の2は、第74条の3第1項(選任義務)・第4項(副安全運転管理者の選任義務)の違反と、第6項・第8項の公安委員会の命令に従わなかったことを列挙して50万円以下の罰金としており、業務の内容を定める第2項はこの列挙に入っていません。もっとも、業務が行われていないことを理由に公安委員会が解任命令(第6項)や命令(第8項)を出し、それに従わなかった場合は第119条の2の対象になります。実際の運用は所轄の警察署にご確認ください。

Q3. 目視で確認すれば、アルコール検知器は使わなくてもよいですか?

条文は両方を求めています。道路交通法施行規則第9条の10第6号は「当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器…を用いて確認を行うこと」と定めており、目視等での確認に加えて検知器を使うという書き方です。どちらか一方ではありません。使用する検知器は「国家公安委員会が定めるもの」とされています。同条第7号は、確認の内容を記録して1年間保存すること、および検知器を常時有効に保持することも求めています。

Q4. リース車や従業員のマイカーも台数に入りますか?

道路交通法第74条の3第1項は「自動車の使用者」が「使用の本拠ごとに」選任すると定めていますが、今回の生検索では「使用者」や「使用の本拠」を定義する条文本体は取得できませんでした。警察庁・警視庁の資料では、所有権がどこにあるかではなく実質的に運行を管理・支配しているかで判断され、リース車は原則として台数に含め、従業員のマイカーも業務に継続的・反復的に使用させ会社が運行を管理していれば含める、と説明されています。これは条文の帰結ではなく行政の解説によるものです。自社の数え方は所轄の警察署の交通課にご確認ください。

Q5. 安全運転管理者は誰でもなれますか?

要件が道路交通法施行規則第9条の9第1項に定められています。20歳以上(副安全運転管理者を置く事業所では30歳以上)であること、自動車の運転の管理に関し2年以上の実務経験があること(公安委員会が行う教習を修了した者は1年以上)、または公安委員会が同等以上の能力を有すると認定した者であることが挙げられています。あわせて欠格事由があり、解任命令により解任され2年を経過していない者と、条文に列挙された違反行為をした日から2年を経過していない者は選任できません。

Q6. 記録はどのくらい残せばよいですか。紙でもよいですか?

道路交通法施行規則第9条の10第7号は「前号の規定による確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること」と定めています。保存期間は1年間です。記録の様式や媒体について条文に定めはなく、今回の生検索でも様式を定める条文は取得していません。紙かデータかを含め、具体的な整え方は所轄の警察署の案内をご確認ください。

Q7. 届出を出していませんでした。罰則はありますか?

道路交通法第74条の3第5項が選任等の届出を定めており、これに違反した場合は第120条第2項第3号により5万円以下の罰金とされています。選任そのものをしていない場合の第119条の2(50万円以下の罰金)とは条文も金額も別です。「選任していないこと」と「届け出ていないこと」は、条文上は別の違反として扱われています。

Q8. 運転者が直行直帰で、対面で確認できません。

今回の生検索では、対面によらない確認方法を定めた条文本体は取得できませんでした。道路交通法施行規則第9条の10第6号が求めているのは「目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認を行うこと」までで、確認の方法や場所を定める文言はこの号にはありません。運用上の取扱いは警察庁や各都道府県警察の資料で案内されていますので、所轄の警察署の交通課にご確認ください。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

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