消費税の簡易課税制度は、売上げに係る消費税額に事業ごとの割合を掛けて仕入れに係る消費税額を計算する仕組みで、中小事業者の事務負担を軽くするために置かれた特例です。制度そのものの説明は国税庁のサイトにもありますが、実務でつまずくのはほとんどが「いつまでに届け出るか」のところです。1日過ぎただけで、使えるのは1年後になります。

先に結論を書きます。原則は「使いたい課税期間が始まる前日まで」。その期の途中に出してその期から使えるのは、条文が列挙した4つの場合だけです。その筆頭が、開業した日の属する課税期間です。今回は条文本体に当たって、期限と例外の範囲を確かめました。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。 今回は生検索を3回に分けて実行し、消費税法第37条、消費税法施行令第56条・第57条・第57条の2、消費税法施行規則第17条の条文本体を取得しています。一方で、「やむを得ない事情」に何が当たるかを定めた条文、および承認の判断基準は取得していません。また、2回目の検索では第四種事業のみなし仕入率が施行令第57条第1項に直接列挙されていない旨の説明が地の文に現れたため、率については条文本体に列挙が確認できたものと、国税庁のタックスアンサーで確認できたものを書き分けています。消費税の取扱いは個別の事情で結論が変わります。本記事は制度の説明であり、個別の判断は税理士等の専門家にご確認ください。

原則:使いたい期が始まる前日まで

根拠は消費税法第37条(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)第1項です。条文は、事業者が納税地を所轄する税務署長に届出書を提出した場合について、こう組み立てられています。

…その納税地を所轄する税務署長にその基準期間における課税売上高が五千万円以下である課税期間についてこの項の規定の適用を受ける旨を記載した届出書を提出した場合には、…当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(当該届出書を提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間…について適用する。

読み方はこうなります。届出書を出すと、効き始めるのは「出した期の翌課税期間」から。だから、ある課税期間から簡易課税を使いたいなら、その課税期間が始まる前の期のうちに出しておく必要があります。言い換えると、提出期限は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までです。

個人事業者であれば課税期間は原則として暦年ですから、翌年から使いたければその年の12月31日までに出す、ということになります。法人であれば事業年度の前日までです。確定申告の時期に「今年は簡易課税で」と決めることはできません。決めるのは、その年が始まる前です。ここが実務でいちばん引っかかる点だと思われます。

要件:5,000万円以下であること、免税事業者でないこと

同じ第37条第1項には、届け出る側の条件も書き込まれています。整理すると次のとおりです。

  • 基準期間における課税売上高が5,000万円以下であること。基準期間とは、個人事業者ならその年の前々年、法人ならその事業年度の前々事業年度を指します。判定に使うのは、これから始まる期の売上げの見込みではなく、2期前の実績です。
  • 第9条第1項本文により消費税を納める義務が免除される事業者(免税事業者)でないこと。条文は第37条第1項の主語である「事業者」から、この免税事業者を明文で除いています。
  • 課税期間の初日において恒久的施設を有しない国外事業者でないこと。こちらも同じく、条文の括弧書きで除かれています。

なお、第37条にはこのほかに、調整対象固定資産や高額特定資産の仕入れ等を行った場合に、一定の期間は届出書を提出できないとする定めが置かれています。該当する期間に提出した届出は、その届出がなかったものとみなされます。大きな資産を取得した直後は、この制限に当たっていないかを先に確かめる必要があります。

ここまでの内容の根拠条文と出典リンクは、AI法令調査ツール「ことのり」でご自身でも確かめられます。調べたいことを日常の言葉で入力するだけです。

簡易課税の届出期限の根拠条文をことのりで調べる

例外:その期の途中に出してその期から使えるのは4つだけ

第37条第1項の括弧書きは、「事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間」であればその課税期間から適用する、として政令に投げています。受けているのが消費税法施行令第56条(事業を開始した日の属する課税期間等の範囲)第1項です。条文本体は次のように4つを列挙しています。

法第三十七条第一項に規定する事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間は、次に掲げる課税期間とする。
一 事業者が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間
二 個人事業者が相続により法第三十七条第一項の規定の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合における当該相続のあつた日の属する課税期間(法第十条第一項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間に限る。)
三 法人が合併(合併により法人を設立する場合を除く。)により法第三十七条第一項の規定の適用を受けていた被合併法人の事業を承継した場合における当該合併があつた日の属する課税期間(法第十一条第一項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間に限る。)
四 法人が吸収分割により法第三十七条第一項の規定の適用を受けていた分割法人の事業を承継した場合における当該吸収分割があつた日の属する課税期間(法第十二条第五項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間に限る。)

この4つに共通しているのは、「その課税期間が始まる前に届け出ておくことが、そもそもできなかった場合」だという点です。開業した期は、期が始まる前に事業者として存在していません。相続・合併・吸収分割も、いつ起きるかを前もって決められるものではありません。だから期の途中の提出を認める、という組み立てになっています。

裏を返すと、すでに事業を続けている人が「今期から切り替えたい」と思っても、この4つには当たりません。その場合に使えるのは、原則どおり翌課税期間からです。

なお、第二号から第四号には「消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間に限る」という括弧書きが付いています。承継したという事実だけでは足りず、その課税期間について納税義務が生じていることが条件になっている、という読み方です。ご自身の状況が当てはまるかどうかは、税理士等にご確認ください。

やむを得ない事情があるときの承認は、別に用意されている

期限までに出せなかった場合の救済が、消費税法施行令第57条の2に置かれています。条文の柱書きは、やむを得ない事情があるため届出書を提出できなかった事業者について、納税地を所轄する税務署長の承認を受けたときは、その届出書を期限内に提出したものとみなすという形で書かれています。承認を受けるには、やむを得ない事情がやんだ後、相当の期間内に申請書を提出する必要があります。

ここで注意したいのは、この条文が前の章の4つの例外とは別のルートだという点です。第37条第1項の括弧書きと施行令第56条第1項は、開業した期などについてその期の中に出せばその期から使えるという本来の道筋を定めたもの。第57条の2は、期限に間に合わなかったときに承認を前提として救うものです。今回の生検索では、この2つを混ぜて説明した地の文も現れましたが、条文本体の書き分けに従って整理しています。

そして、何が「やむを得ない事情」に当たるかを定めた条文は、今回の検索では取得できていません。承認するかどうかは税務署長の判断です。出し忘れや事務の遅れがこれに当たると期待して期限を過ぎるのは、避けたほうがよい進め方だと思われます。

みなし仕入率は施行令第57条にある

届出を出したあと、実際の計算に使う割合を定めているのが消費税法施行令第57条です。第1項の条文本体には、事業の区分と率が次のように列挙されています。

一 第一種事業 百分の九十
二 第二種事業 百分の八十
三 第三種事業 百分の七十
(中略)第五種事業 百分の五十/第六種事業 百分の四十

第四種事業については、今回の生検索の地の文が「第57条第1項には直接の記載がなく、第2項・第3項・第5項第六号で言及されている」と説明しており、率は60%とされていました。この率は国税庁のタックスアンサーNo.6505(簡易課税制度)でも同じ数値が示されています。条文の第1項に列挙が確認できた5つと、第四種事業の60%とでは、確認できた根拠の性質が違うため、ここは分けて書いています。

どの事業がどの区分に当たるかは、施行令第57条第5項に定義があります。おおまかには、卸売業が第一種、小売業が第二種、建設業・製造業などが第三種、運輸通信業・金融業・保険業・サービス業(飲食店業を除く)が第五種、不動産業が第六種で、そのいずれにも当たらないもの(飲食店業など)が第四種という組み立てです。具体的な線引きは国税庁のタックスアンサーNo.6509(簡易課税制度の事業区分)に詳しい説明があります。

実務で効いてくるのが施行令第57条第4項です。複数の事業を営む事業者が、売上げを事業の種類ごとに区分していない場合、その区分していない売上げは営んでいる事業のうち最も低いみなし仕入率の事業に区分されることになります。区分の記録を残していないと、不利な側に寄せられる構造です。届出を出したら、日々の売上げを事業区分ごとに分けて記録するところまでが一続きの作業だと考えたほうがよさそうです。

一度選ぶと、原則2年は続く

第37条には、やめ方についての定めもあります。適用を受けた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、適用をやめる旨の届出書を提出することができないという内容です。実質的に、最低2年は簡易課税で計算し続けることになります。事業を廃止した場合は、この制限の例外とされています。

やめるときに出すのは「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」で、提出先は同じく納税地を所轄する税務署長です。この届出書が提出されると、提出があった日の属する課税期間の末日の翌日以後、簡易課税制度の適用は効力を失うとされています。こちらも、やむを得ない事情で期限までに出せなかった場合の承認の特例が施行令第57条の2に用意されています。

この2年という縛りが、選ぶときの判断を重くします。簡易課税は、実際の課税仕入れがいくらあっても計算に直接反映されない仕組みです。そのため、仕入れに係る税額が売上げに係る税額を上回る場面でも、この制度のもとで還付を受けることはできません。設備投資や大きな仕入れの予定がある場合に不利に働くことがあるのは、この構造からです。

届出書に書くこと

記載事項は消費税法施行規則第17条に定めがあります。条文が挙げているのは次のような項目です。

  • 届出者の氏名または名称および納税地(法人番号を有する者にあっては、名称、納税地および法人番号)
  • 届出者の行う事業の内容、および施行令第57条第5項第一号から第六号までに掲げる事業の種類
  • 第37条第1項に規定する翌課税期間の初日

用紙は国税庁のサイトから入手でき、届出書の提出自体に手数料はかかりません。事業の種類を書かせる欄があるのは、前の章で見たみなし仕入率の区分とつながっています。

まとめ:カレンダーに入れるべき日が1つある

条文を追って分かったのは、簡易課税の入口が「期が始まる前日」という1本の線で区切られているということでした。その線の手前で決められなければ、次の機会は1年後です。例外として期の途中の提出が認められているのは、施行令第56条第1項が挙げる4つ——開業・相続・合併・吸収分割——に限られ、いずれも「前もって届け出ることができなかった場合」という共通点がありました。

そして、入ったあとは原則2年続きます。入口の期限と、出口の2年。この2つを先に押さえてから、自社にとって有利かどうかを考える順番になります。有利不利の判断は、売上げの構成と仕入れの見込みによって変わる個別の話です。判断そのものは、税理士等の専門家にご相談ください。本記事で整理したのは、その相談に入る前に知っておくとよい、条文上の枠組みです。

よくある質問

Q1. 期限を1日過ぎてしまいました。もうその期は使えませんか?

原則としてその課税期間には使えません。消費税法第37条第1項は、届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間から適用すると定めており、期限は「適用を受けようとする課税期間の初日の前日」です。1日でも過ぎれば、適用が始まるのは次の課税期間からになります。なお施行令第57条の2に、やむを得ない事情があるため提出できなかった場合に税務署長の承認を受けて期限内に提出したものとみなす特例がありますが、承認を受けるには事情がやんだ後相当の期間内に申請書を出す必要があり、承認するかどうかは税務署長の判断です。出し忘れや事務の遅れがこれに当たるかは個別の判断になりますので、税理士等の専門家にご確認ください。

Q2. 開業したばかりです。最初の期から簡易課税を使えますか?

使える可能性があります。消費税法第37条第1項は、届出書を提出した日の属する課税期間が「事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間」である場合には、その課税期間から適用すると定めています。この政令が施行令第56条第1項で、第一号に「事業者が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」が挙げられています。つまり開業した期については、その期の中に届出書を出せば、その期から適用できる形になっています。ただし免税事業者は第37条第1項の適用対象から明文で除かれているため、課税事業者であることが前提です。

Q3. いったん簡易課税を選ぶと、いつでもやめられますか?

すぐにはやめられません。消費税法第37条は、適用を受けた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、適用をやめる旨の届出書を提出できないと定めています。最低2年は続くという理解になります。やめるときは「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出し、提出があった日の属する課税期間の末日の翌日以後、効力を失います。事業を廃止した場合は、この2年の制限の例外とされています。

Q4. 設備投資を予定していても簡易課税でよいですか?

慎重な検討が必要な場面です。簡易課税は、仕入れに係る消費税額を売上げに係る消費税額に一定の割合を掛けて計算する仕組みですので、実際の課税仕入れがいくらあっても計算には直接反映されません。そのため、仕入れに係る税額が売上げに係る税額を上回る場合でも、この制度のもとで還付を受けることはできません。しかも前の質問のとおり、一度選ぶと原則2年は続きます。大きな設備投資の予定がある場合は、どちらが自社にとって有利かを、税理士等の専門家に確認してから決めることをおすすめします。

Q5. 売上が5,000万円を超えたら、届出は出し直しですか?

届出そのものは残ります。消費税法第37条第1項の要件は、適用を受けようとする課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下であることです。基準期間とは、個人事業者ならその年の前々年、法人ならその事業年度の前々事業年度を指します。基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間は要件を満たさないため簡易課税の計算はできませんが、届出の効力は不適用届出書を出すまで続くとされています。ご自身の数値に基づく判定は個別の話になりますので、税理士等にご確認ください。

Q6. 複数の事業をやっている場合、みなし仕入率はどうなりますか?

原則として、事業の区分ごとにそれぞれのみなし仕入率を適用して計算します。区分と率は施行令第57条に定めがあり、第一種事業が90%、第二種事業が80%、第三種事業が70%、第五種事業が50%、第六種事業が40%と条文に列挙されています。第四種事業は60%で、国税庁のタックスアンサーNo.6505でも同じ率が示されています。注意が要るのは、事業の種類ごとに区分していない売上げがある場合で、施行令第57条第4項により、その売上げは営んでいる事業のうち最も低いみなし仕入率の事業に区分されることになります。日々の売上げを事業区分ごとに分けて記録しておくことが、実務上の要点です。

Q7. 届出書には何を書くのですか?

消費税法施行規則第17条が記載事項を定めています。届出者の氏名または名称および納税地(法人番号を有する者は名称・納税地・法人番号)、届出者の行う事業の内容および施行令第57条第5項第一号から第六号までに掲げる事業の種類、第37条第1項に規定する翌課税期間の初日などが挙げられています。用紙そのものは国税庁のサイトから入手できます。届出書の提出自体に手数料はかかりません。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。消費税の個別の判断は税理士等の専門家にご相談ください。

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