SNSで募集される「送金バイト」を新たに処罰対象とする犯罪収益移転防止法(犯収法)の改正案が報じられています(関連ニュース)。改正の背景にあるのは、マネー・ローンダリング対策の根幹をなす犯罪収益移転防止法そのものです。同法は金融機関だけでなく、行政書士・税理士・司法書士・宅地建物取引業者・貴金属等取扱業者など幅広い「特定事業者」に、本人確認(取引時確認)や疑わしい取引の届出義務を課しています。
この改正の動きを機に、事業者として押さえておくべき犯収法の基本ルール――誰が対象で、何を確認し、何を届け出る必要があるのか――を、一次情報(e-Gov掲載の条文)に基づいて整理します。
本記事は、AI法令調査ツール「法令リサーチ」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。犯罪収益移転防止法はマネー・ローンダリング対策に関わる規制法であり、業種ごとに義務の細かい範囲・確認方法・届出先が異なります。実際の対応は、必ず一次情報(e-Govの条文、所管行政庁のガイドライン・Q&A)および専門家(弁護士・司法書士・税理士・行政書士など)にご確認ください。
犯罪収益移転防止法とは|目的と「特定事業者」
犯罪による収益の移転防止に関する法律は、犯罪による収益が組織的犯罪を助長し、国民生活の安全と平穏を害するおそれがあることから、その移転を防止することを目的とした法律です。
同法が義務を課す「特定事業者」は、銀行・信用金庫・保険会社・金融商品取引業者といった金融機関にとどまらず、宅地建物取引業者、貴金属等取扱業者、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士など、多岐にわたります(犯収法第2条)。これらの事業者は、自らの業務がマネー・ローンダリングに利用されるリスクに応じて、顧客管理を行うことが求められます。
取引時確認(本人確認)の義務
特定事業者は、顧客等との間で「特定業務」のうち一定の取引(特定取引)を行う際に、取引時確認を実施しなければなりません(犯収法第4条)。
取引時確認が必要となる主な取引
- 口座開設、貸金庫契約、信託契約の締結など、継続的な取引関係を設定する取引
- 200万円を超える現金取引(預貯金の受入れ、払出し、送金など)
- 200万円を超える財産の移転を伴う取引
- 特定事業者が行う特定業務のうち、別表に定める取引
- なりすましの疑いがある取引や、マネー・ローンダリング対策が不十分な国・地域に居住する顧客との取引など、厳格な確認が求められる取引
確認すべき4つの事項
犯収法第4条では、次の4点を確認することが求められています。
- 本人特定事項:自然人は氏名・住居・生年月日、法人は名称・本店または主たる事務所の所在地
- 取引を行う目的:顧客等またはその代表者等から申告を受ける方法によります(犯収法施行規則第9条)
- 職業または事業の内容:自然人は職業、法人は事業の内容(犯収法施行規則第10条)
- 法人の実質的支配者:法人顧客の場合、その事業経営を実質的に支配することが可能な関係にある自然人の本人特定事項(犯収法施行規則第11条)
実質的支配者は、原則として法人の議決権の4分の1超を直接または間接に有する自然人、または出資・融資等を通じて支配的な影響力を有する自然人を指します。該当する自然人がいない場合は、法人を代表し業務を執行する自然人(代表取締役等)が実質的支配者とみなされます。
本人確認の方法(対面・非対面・eKYC)
本人特定事項の確認方法は、顧客の区分や取引の態様に応じて定められています(犯収法施行規則第6条、同第7条)。
- 自然人・対面取引:運転免許証、マイナンバーカード、在留カード、パスポートなどの写真付き本人確認書類の提示を受ける方法が一般的です。
- 自然人・非対面取引:本人確認書類の写しの送付を受け、顧客の住居宛てに転送不要郵便物等で取引関係文書を送付する方法。近年はオンラインで完結するeKYC(顔写真と本人確認書類画像の送信、ICチップ情報の読み取りなど)も認められています(金融庁Q&A)。
- 法人:登記事項証明書や印鑑登録証明書などにより名称・所在地を確認し、取引の任に当たる代表者等についても本人特定事項を確認します(犯収法施行規則第12条)。
厳格な取引時確認が必要なケース
なりすましの疑いがある取引、過去に本人特定事項を偽っていた疑いがある顧客との取引、マネー・ローンダリング対策が不十分な国・地域に居住する顧客との取引などでは、通常よりも厳格な取引時確認が求められます(犯収法第4条)。
疑わしい取引の届出義務
特定事業者は、特定業務に係る取引について、収受した財産が犯罪による収益である疑いがある場合、または顧客等が組織的犯罪処罰法第10条の罪・麻薬特例法第6条の罪に当たる行為を行っている疑いがある場合には、速やかに行政庁に届け出る義務があります(犯収法第8条)。
届出義務の対象と判断基準
原則として全ての特定事業者に届出義務がありますが、弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士については、職務上の秘密保持義務との関係で、一部届出義務の例外が設けられています。
疑わしい取引の判断は、取引時確認の結果、取引の態様(規模・頻度・送金先など)、犯罪収益移転危険度調査書の内容、その他主務省令で定める方法を総合的に勘案して行います。
届出事項と届出先
届出には、特定事業者の名称・所在地、取引の年月日・場所、業務内容、財産の内容、顧客の本人特定事項、疑わしいと判断した理由などを記載します(犯収法施行令第16条)。届出先は、業種に応じて金融庁、財務省、経済産業省、国土交通省、警察庁などの主務行政庁となります(JAFIC 警察庁)。行政庁は、届出を受けた場合、速やかに国家公安委員会に通知することとされています。
ティッピングオフの禁止
特定事業者(その役員および使用人を含む)は、疑わしい取引の届出を行おうとすること、または行ったことを、当該届出に係る顧客やその関係者に漏らしてはなりません(犯収法第8条)。これは、捜査活動への支障や、犯罪者による証拠隠滅を防ぐための重要な規定です。
実務で押さえておきたいポイント
- 本人確認のデジタル化への対応:非対面取引の増加に伴いeKYCが普及していますが、技術要件・セキュリティ対策・顧客利便性のバランスをとる必要があります。
- 実質的支配者の特定:複雑な資本関係や海外法人を介する場合は、実質的支配者の特定が難しくなることがあります。
- 疑わしい取引の判断:個別の状況と事業者のリスク評価に依存するため、社内での判断基準と従業員への周知徹底が重要です。
- 行政文書の確認:金融庁・警察庁(JAFIC)・国税庁が公表するガイドラインやQ&Aは、実務上の指針として重要です(JAFIC Q&A①、JAFIC Q&A②、金融庁Q&A、国税庁(税理士向け))。
条文の原文も、その場で確認できます
「自分の業種は特定事業者に該当するのか」「どの取引から取引時確認が必要なのか」――気になる論点を入力するだけで、e-Govの条文リンク付きで論点整理ができます。
犯罪収益移転防止法と本人確認義務を法令リサーチで調べるよくある質問
Q1. どんな事業者が「特定事業者」に該当しますか?
銀行・信用金庫・保険会社・金融商品取引業者などの金融機関に加え、宅地建物取引業者、貴金属等取扱業者、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士など、多岐にわたる業種が犯収法第2条で特定事業者として列挙されています。自社が該当するかは、条文の別表および所管行政庁のガイドラインで確認することをおすすめします。
Q2. 取引時確認では具体的に何を確認すればよいですか?
犯収法第4条に基づき、(1)本人特定事項(自然人なら氏名・住居・生年月日、法人なら名称・所在地)、(2)取引を行う目的、(3)職業または事業の内容、(4)法人の場合は実質的支配者の本人特定事項、の4点を確認する必要があります。確認方法は犯収法施行規則第6条以下に定められています。
Q3. 「疑わしい取引の届出」をしたことを顧客に伝えてもよいですか?
伝えてはいけません。特定事業者およびその役員・使用人は、疑わしい取引の届出を行おうとすること、または行ったことを、当該届出に係る顧客やその関係者に漏らしてはならないと定められています(ティッピングオフの禁止、犯収法第8条)。捜査活動への支障や証拠隠滅を防ぐための重要な規定です。
出典(一次情報)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律(e-Gov法令検索)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(e-Gov法令検索)
- 🔗 犯罪収益移転防止法におけるオンラインで完結可能な本人確認方法に関する金融機関向けQ&A(金融庁)
- 🔗 金融庁Q&A(PDF)
- 🔗 JAFIC Q&A(260306qa.pdf/警察庁)
- 🔗 JAFIC Q&A(25062402qa.pdf/警察庁)
- 🔗 疑わしい取引の届出と届出先行政庁(JAFIC 警察庁)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律等(国税庁)
- 🔗 犯罪収益移転防止法改正案 SNSの送金バイトも処罰対象に(関連ニュース)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。