2024年問題を背景に成立した「改正物流法」について、中小企業316人を対象とした実態調査が実施されました(改正物流法に関する中小企業実態調査の実施(Google News))。改正物流法では運送事業者だけでなく、貨物を発注する「荷主」側の中小企業にも責務が明確化されており、自社が対応の対象になるのか判断に迷う事業者も少なくありません。
そこで本記事では、「改正物流法」と通称される一連の法令(貨物自動車運送事業法・物資の流通の効率化に関する法律)について、荷主企業に課される義務を条文ベースで整理しました。配慮義務・努力義務・特定荷主としての追加義務という3段階の構造を押さえることで、自社に必要な実務対応が見えてきます。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。物流関連法令は政令・主務省令や運用ガイドラインで具体的な基準が定められる部分が多く、自社が「特定荷主」に該当するかどうかや報告様式の詳細などは個別の確認が必要です。最終判断は必ず一次情報(e-Gov法令検索など)と、弁護士・行政書士など専門家にご確認ください。
「改正物流法」とはどの法律を指すのか
「改正物流法」は通称であり、正式な法令名ではありません。実務上は、荷主・運送事業者の責務強化を内容とする貨物自動車運送事業法と物資の流通の効率化に関する法律の改正を中心とした一連の法改正を指しています。荷主企業の義務は、この2つの法律にまたがって規定されている点が特徴です。
貨物自動車運送事業法における荷主の責務
第64条:運送事業者への「配慮義務」
貨物自動車運送事業法第64条は、荷主は貨物自動車運送事業者が同法または同法に基づく命令を遵守して事業を遂行できるよう、必要な配慮をしなければならないと定めています。ここでいう「荷主」には、運送を委託した者(再委託を含む)、運送される貨物を運送事業者から他人のために受け取る者、運送される貨物を運送事業者に他人のために引き渡す者が含まれます。
第65条:荷主への勧告と公表
貨物自動車運送事業法第65条は、運送事業者の法令違反が「荷主の指示に基づき行われたことが明らかであるとき」、または「主として荷主の行為に起因するものであると認められ、かつ、当該運送事業者に対する命令または処分のみでは再発防止が困難であると認められるとき」に、国土交通大臣が荷主に対し再発防止の措置を勧告できると定めています。この勧告は公表されることになっており、企業イメージへの影響を考慮する必要があります。
第65条の2:無許可等事業者への委託禁止
貨物自動車運送事業法第65条の2では、無許可で一般貨物自動車運送事業を経営する者、無許可で特定貨物自動車運送事業を経営する者、無登録で貨物軽自動車運送事業を経営する者に対し、貨物の運送を委託してはならないと定めています。委託先が正規の許可・登録を受けた事業者であるかの確認は、荷主側の基本的な実務対応となります。
物資の流通の効率化に関する法律における荷主の努力義務
第42条:第一種荷主・第二種荷主の努力義務
物資の流通の効率化に関する法律第42条は、運送を委託する「第一種荷主」と、運転者から貨物を受け取り・引き渡す「第二種荷主」に対し、運転者の荷待ち時間等の短縮および一回の運送ごとの貨物重量の増加を図るための努力義務を課しています。具体的には次のような措置が求められます。
- 貨物の受渡し日時・時間帯の決定:運送事業者が他の貨物との積合せ等により積載効率を高められるよう、受渡し日時・時間帯を決定する。一度に多数の貨物自動車が集中しないよう配慮する。
- 荷役の効率化:運転者に荷役を行わせる場合、パレット等の荷役効率化資材の利用を可能にする措置や、運転者の荷役を省力化する措置を講じる。
- 協力義務:第二種荷主は、第一種荷主が受渡し日時・時間帯について協議を申し出た場合、必要な協力を行う。
なお、荷待ち時間については荷主が管理する施設またはその周辺の場所におけるものに、荷役等時間については荷主が管理する施設におけるものに限定されており、荷主が直接管理できない範囲までは対象とされていません。
第43条・第44条:判断基準と指導・助言
同法第43条では、荷主の判断基準となるべき事項を荷主事業所管大臣が主務省令で定めるとされており、第44条では同大臣が必要に応じて荷主に指導・助言ができると規定されています。努力義務の具体的水準は主務省令で示される点に注意が必要です。
「特定荷主」に指定された場合の追加義務
第45条:特定第一種荷主・特定第二種荷主の指定
物資の流通の効率化に関する法律第45条では、一定規模以上の荷主を「特定荷主」として指定します。年間の貨物合計重量が政令で定める基準重量以上である第一種荷主は「特定第一種荷主」、第二種荷主は「特定第二種荷主」として指定されます。基準を下回り、今後も基準以上となることがないと認められる場合には、指定の取消しを申し出ることができます。
第46条:中長期的な計画の作成
同法第46条により、特定荷主は定期に、荷待ち時間等の短縮や貨物重量増加に関する中長期的な計画を作成し、荷主事業所管大臣に提出しなければなりません。
第47条:物流統括管理者の選任
同法第47条は、特定荷主に対し、指定を受けた後速やかに「物流統括管理者」を選任し、氏名・役職を荷主事業所管大臣に届け出ることを義務付けています。物流統括管理者は、計画作成、事業運営方針の作成、管理体制整備等を統括管理する者で、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者でなければなりません。
第48条:定期の報告
同法第48条では、特定荷主は指定を受けた日の属する年度の翌年度以降、毎年度、第42条に規定する措置の実施状況を荷主事業所管大臣に報告しなければならないとされています。
中小企業における実務対応のポイント
荷主側に求められる対応は、規模により段階的です。まず全ての荷主は、貨物自動車運送事業法の配慮義務(第64条)と無許可事業者への委託禁止(第65条の2)を守る必要があります。運送契約の締結時や運送指示時に無理な納期・運送条件を設定しないこと、委託先が許可・登録を受けた正規の事業者であるかを確認することが、最低限の実務対応となります。
次に、運送を委託する第一種荷主、または運転者と直接やり取りする第二種荷主は、物資の流通の効率化に関する法律第42条の努力義務として、受渡し時間帯の調整やパレット化など、荷待ち・荷役の負担を軽減する措置を検討する必要があります。さらに政令で定める基準重量以上の貨物を扱う場合は「特定荷主」として、計画作成・物流統括管理者の選任・定期報告という具体的義務が追加されます。
条文の原文も、その場で確認できます
本記事で取り上げた配慮義務・努力義務・特定荷主の追加義務について、関連条文の原文と一次情報を「ことのり」でまとめて確認できます。
改正物流法と荷主義務をことのりで調べるよくある質問
Q1. 当社は自社で運送を行わない発注側の中小企業ですが、改正物流法の対象になりますか?
運送事業者に貨物の運送を委託している場合、貨物自動車運送事業法第64条の荷主の配慮義務、および物資の流通の効率化に関する法律第42条の第一種荷主としての努力義務の対象となります。委託していなくても、運転者から貨物を受け取ったり引き渡したりする立場であれば、第二種荷主として同条の努力義務の対象となります。
Q2. 「特定荷主」かどうかは何で決まりますか?
同法第45条により、年度の貨物の合計重量が政令で定める基準重量以上である第一種荷主または第二種荷主が、荷主事業所管大臣により特定荷主に指定されます。具体的な基準重量は政令で定められるため、自社が該当するかは政令および主務省令の最新の規定を確認する必要があります。
Q3. 荷主が国から勧告を受けるのはどのような場合ですか?
貨物自動車運送事業法第65条に基づき、運送事業者の法令違反が「荷主の指示に基づき行われたことが明らかであるとき」または「主として荷主の行為に起因するものであると認められ、かつ、当該運送事業者に対する命令または処分のみでは再発防止が困難であると認められるとき」に、国土交通大臣から勧告を受ける可能性があります。勧告は公表されるため、運送計画や納期設定の段階から運送事業者の負担に配慮した運用が求められます。
出典(一次情報)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。