不動産取引の本人確認をめぐり、2025年(令和7年)2月28日施行の犯罪収益移転防止法(以下「犯収法」)施行規則改正を受けて、事業者向けの対応サービスが相次いで登場しています。直近では、PICKが改正内容に対応した本人確認サービスを提供開始したことが報じられました。
そこで本記事では、不動産業者・金融機関・貴金属取扱業者・士業など「特定事業者」に幅広く関わる取引時確認(本人確認)義務の基本を、犯収法本体および施行令・施行規則の条文にあたって整理しました。確認事項・対象取引・厳格な確認が求められるケース・不要となるケースを一気に俯瞰できるようにしています。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。犯収法はマネー・ローンダリング対策の中核をなす法令であり、施行規則レベルでの改正も頻繁に行われます。個別取引で確認方法を判断される際は、必ず一次情報(e-Gov 掲載の最新条文・警察庁 JAFIC の公表資料)および専門家(弁護士・司法書士・所管官庁)にご確認ください。
犯収法の取引時確認とは
犯収法は、テロ資金供与対策およびマネー・ローンダリング対策を目的とし、特定事業者に対して顧客の本人確認(取引時確認)、取引記録の作成・保存、疑わしい取引の届出などを義務付けています。
中核の根拠条文は犯収法第4条で、特定事業者が顧客等との間で「特定業務」のうち「特定取引」を行う際に、主務省令で定める方法により顧客等の確認を行うことを義務付けています。
誰が「特定事業者」に該当するか
犯収法別表に掲げられる事業者、具体的には金融機関、不動産取引業者、貴金属等取扱業者、カジノ事業者などが該当します。ただし、弁護士等については犯収法第4条により一部の義務が免除されます。
確認する4つの事項
特定事業者が顧客等について確認しなければならないのは、原則として次の4つです(犯収法第4条)。
1. 本人特定事項
自然人であれば氏名・住居・生年月日、法人であれば名称・本店または主たる事務所の所在地を確認します。
2. 取引を行う目的
顧客が当該取引を行う目的を確認します。
3. 職業・事業の内容
自然人の場合は職業、法人の場合は事業の内容を確認します。
4. 法人の実質的支配者の本人特定事項
顧客が法人で、事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者(実質的支配者)がいるときは、その者の氏名・住居・生年月日も確認します。
本人特定事項の確認方法
本人特定事項の確認方法は、犯収法施行規則第6条に、自然人・法人それぞれ詳細に定められています。主な方法は次のとおりです。
- 本人確認書類の提示を受ける方法
- 本人確認書類の写しと取引関係文書の送付を組み合わせる方法
- ICチップ付き本人確認書類の情報を読み取る方法
- オンラインでの本人確認(eKYC)
令和7年2月28日施行の施行規則改正では、ICチップ付き本人確認書類の利用や非居住外国人等の本人確認方法など、具体的な確認方法の変更が行われています。改正内容の解釈については、警察庁 JAFIC 公表のパブリックコメントQ&Aに整理されています。
対象となる「特定取引」の代表例
取引時確認の対象は、特定事業者ごとに犯収法施行令第7条で列挙されています。以下は代表例です。
金融機関等
預金・貯金の受入れ、信託契約の締結、保険契約の締結、有価証券の取得・貸借、金銭の貸付け、前払式支払手段記録口座の開設のほか、電子決済手段の交換等(10万円超)、暗号資産の交換等(10万円超)、現金・小切手等の受払い(200万円超。ただし為替取引や自己宛小切手振出を伴う現金受払いは10万円超)、預金等払戻し(10万円超)、両替(200万円超)などが含まれます。
不動産取引業者
不動産の売買契約の締結、またはその代理・媒介が対象になります。冒頭のニュースが取り上げていた分野です。
貴金属等取扱業者
代金の額が200万円を超える貴金属等の売買契約の締結が対象です。
カジノ事業者
特定資金移動業務・特定資金受入業務に係る口座開設、特定資金貸付契約の締結、チップの交付・付与・受領(30万円超)、カジノ関連金銭受払取引(30万円超)、カジノ行為関連景品類の提供(30万円超)などが対象です。
厳格な顧客管理が求められる取引
犯収法第4条第2項および施行令第12条は、次のいずれかに該当する取引について、通常の確認事項に加えて資産および収入の状況の確認を求めています。
- なりすましの疑いがある取引:過去の取引時確認に係る顧客等になりすましている疑いや、過去に確認事項を偽っていた疑いがある場合
- 特定国等との取引:マネー・ローンダリング対策の整備が十分でないと認められる国・地域(例:イラン、北朝鮮)に居住・所在する顧客等との取引、または特定国等への財産移転を伴う取引
- PEPs(外国の重要な公的地位にある者)との取引:外国の元首、政府・中央銀行等の重要な地位にある者や過去にその地位にあった者、その家族、実質的に支配する法人との取引
この場合の本人特定事項の確認方法は施行規則第14条に定められており、通常より厳格な方法(例:別の本人確認書類の追加提示や送付)が求められる場合があります。資産・収入状況の確認は、源泉徴収票、確定申告書、預貯金通帳、貸借対照表、損益計算書などの書類で行います。
取引時確認が不要となる取引
簡素な顧客管理が許容される取引
犯収法施行規則第4条に列挙される、犯罪収益移転の危険性が低いと認められる取引(特定の保険契約、取引所市場での取引、国・地方公共団体との取引、子会社等との取引など)は、簡素な顧客管理が許容されます。
少額取引
犯収法施行令第15条により、次の取引は取引時確認の対象外となります。
- 財産移転を伴わない取引
- 価額が1万円以下の財産の移転に係る取引
- 200万円以下の両替
- カジノ事業者における30万円以下の金銭両替
- 200万円以下の貴金属等の売買 など
取引時確認と一緒に押さえておく義務
確認記録の作成・保存
特定事業者は、取引時確認を行った場合、その記録を作成し7年間保存する義務があります(犯収法第4条)。取引時確認と並ぶ犯収法の重要義務です。
疑わしい取引の届出
顧客の取引において収受する財産が犯罪収益である疑いがある場合や、顧客等が組織的な犯罪行為を行っている疑いが認められる場合は、速やかに主務大臣等に届け出る義務があります。
なりすまし・虚偽申告の禁止
顧客等および代表者等は、特定事業者が取引時確認を行う際に、確認に係る事項を偽ってはなりません(犯収法第4条)。
条文の原文も、その場で確認できます
「うちの取引は特定取引に当たるか」「200万円超の判定はどう扱うか」といった実務判断では、条文本文と施行規則を横断して確認する必要があります。ことのりなら、関連条文の原文リンク付きで一次情報を辿れます。
犯収法の本人確認義務をことのりで調べるよくある質問
不動産取引ではどのような取引が本人確認の対象になりますか?
犯収法施行令第7条により、不動産取引業者では不動産の売買契約の締結またはその代理・媒介が特定取引として本人確認の対象になります。売買の当事者だけでなく、媒介・代理を行う場合も対象です。
本人確認の際、確認する事項は氏名・住所・生年月日だけでよいですか?
いいえ、本人特定事項(自然人であれば氏名・住居・生年月日)に加えて、取引を行う目的、職業・事業の内容、そして顧客が法人の場合は実質的支配者の本人特定事項まで確認する必要があります(犯収法第4条)。厳格な顧客管理が必要な取引では、さらに資産および収入の状況の確認も加わります。
取引時確認の記録はどのくらい保管する必要がありますか?
犯収法第4条により、取引時確認を行った場合はその記録を作成し、7年間保存する義務があります。取引時確認と並んで犯収法の重要な義務ですので、記録様式や保存方法についても整備が必要です。
出典(一次情報)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条(e-Gov)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令 第7条(e-Gov)
- 🔗 同施行令 第12条(厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引等)
- 🔗 同施行令 第15条(少額の取引等)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第4条(簡素な顧客管理を行うことが許容される取引)
- 🔗 同施行規則 第6条(顧客等の本人特定事項の確認方法)
- 🔗 同施行規則 第14条(厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引に際して行う確認の方法)
- 🔗 政府広報オンライン「犯罪収益移転防止法に基づく本人確認の概要」
- 🔗 経済産業省「郵便物受取サービス業者向けQ&A」(PDF)
- 🔗 警察庁 JAFIC「犯収法施行規則改正(令和7年2月28日施行)に関するパブリックコメントQ&A」(PDF)
- 🔗 起点ニュース:犯収法改正で変わる不動産取引の本人確認(Google News)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。