「障害者の雇用義務は従業員37.5人以上から」——障害者雇用の解説でほぼ必ず出てくる数字です。ところが条文にあたると、この37.5人が書かれているのは、雇用義務を定めた条文ではありませんでした。

雇用義務そのものを定める障害者雇用促進法第43条第1項には、「何人以上の事業主」という人数の下限が置かれていません。書かれているのは「その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数……以上であるようにしなければならない」という掛け算の式だけです。一方の37.5人は、同条第7項の報告義務の対象を定めた施行規則第7条に、条文本体として明記されていました。この記事では、(1)雇用義務はどう書かれているか、(2)37.5人はどの条文の数字か、(3)報告はいつどこへ出すのか、(4)罰則の列挙に何が入っていて何が入っていないか、(5)公表はどの段階か、を順に条文で確認します。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。 今回は生検索を4回に分けて実行しました。1回目の検索は「37.5人」の根拠を施行規則第8条と説明しましたが、2回目に条番号を名指しして条文本体を取りに行ったところ、人数を定めているのは第8条ではなく施行規則第7条であることが確定しました(第8条は報告の時期・様式・提出先を定めた条文です)。罰則についても第86条の各号を条文本体のまま取得し、列挙に何が入っていないかまで確認しています。一方で、短時間労働者を何人と数えるかを定める省令の条文本体は取得できていません。そのため本記事では、条文で確認できたことと、行政機関の解説で示されていることを分けて書いています。自社の該当・非該当や実際の数え方は、e-Gov法令検索の最新の条文と、管轄のハローワーク(公共職業安定所)にご確認ください。

雇用義務の本体には、人数が書かれていない

出発点の条文です。障害者雇用促進法第43条第1項は次のように定めています。

(一般事業主の雇用義務等)
第四十三条 事業主(常時雇用する労働者(以下単に「労働者」という。)を雇用する事業主をいい、国及び地方公共団体を除く。次章及び第八十一条の二を除き、以下同じ。)は、厚生労働省令で定める雇用関係の変動がある場合には、その雇用する対象障害者である労働者の数が、その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。第四十六条第一項において「法定雇用障害者数」という。)以上であるようにしなければならない。

読みどころは3つです。

  • 人数の下限が書かれていない——「常時◯人以上の労働者を使用する事業主は」といった書き出しではありません。決まるのは掛け算の結果です。
  • 端数は切り捨て——掛けた結果が1人未満なら、切り捨てられて0人になります。つまり掛け算の結果が1人に届くかどうかが、実質的な分かれ目になります。
  • 文末は「しなければならない」——努力義務ではなく、義務規定の書きぶりです。

では、掛ける相手の「障害者雇用率」はどこにあるのか。同条第2項が政令に委ねています。

2 前項の障害者雇用率は、労働者……の総数に対する対象障害者である労働者……の総数の割合を基準として設定するものとし、少なくとも五年ごとに、当該割合の推移を勘案して政令で定める

その政令が障害者雇用促進法施行令第9条です。条文本体は一行です。

(障害者雇用率)
第九条 法第四十三条第二項に規定する障害者雇用率は、百分の二・七とする。

ここまでで、雇用義務の側は「労働者の数 × 2.7%、1人未満は切り捨て」という式だけで組み立てられていることが分かります。人数の基準は、この段階ではまだ出てきません。なお第43条第2項は「少なくとも五年ごとに」見直すと定めているため、率は改定されます。最新の値は必ずe-Gov法令検索の施行令でご確認ください。

37.5人は、報告義務の条文に書かれている

では「37.5人」はどこから来たのか。同じ第43条の第7項です。

7 事業主(その雇用する労働者の数が常時厚生労働省令で定める数以上である事業主に限る。)は、毎年一回、厚生労働省令で定めるところにより、対象障害者である労働者の雇用に関する状況を厚生労働大臣に報告しなければならない

この項が委ねた「厚生労働省令で定める数」を受けているのが施行規則第7条で、ここに数字が置かれています。

(法第四十三条第七項の厚生労働省令で定める数)
第七条 法第四十三条第七項の厚生労働省令で定める数は、三十七・五人(令別表第二に掲げる法人にあつては、三十三・五人)とする。

見出しがそのまま「法第四十三条第七項の厚生労働省令で定める数」となっている点に注目してください。この37.5人は、条文の位置づけとしては報告義務の対象を画する数字であって、雇用義務が発生する人数として書かれたものではありません。

実務上は両者がほぼ重なるため、行政機関の解説では「従業員37.5人以上の事業主が障害者雇用義務の対象」とまとめて説明されています。それ自体は運用として自然ですが、条文を根拠に社内資料を作るときは、雇用義務は第43条第1項の掛け算、報告義務は第43条第7項+施行規則第7条の37.5人と分けて書いておくほうが、後で条文を確認し直すときに迷いません。

なぜ0.5人という半端な数になるのか

第43条第3項以下には、労働者の数え方の特例が置かれています。短時間労働者については「その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の労働者に相当するものとみなす」とされ、重度身体障害者・重度知的障害者についても、政令で定める数に相当するものとみなす扱いが定められています。実際の頭数ではなく、換算した数で判定する建て方になっているため、基準の側も0.5刻みで書かれているわけです。

ただし、短時間労働者を具体的に何人と数えるかを定める省令の条文本体は、今回の4回の生検索では取得できていません。そのため本記事には換算の具体的な数値を記載していません。自社の労働者数がどう数えられるかは、管轄のハローワークにご確認ください。

報告は、6月1日現在の状況を7月15日までに

報告の時期・様式・提出先を定めているのが施行規則第8条です。人数を定めた第7条とは別の条文であることに注意してください。

(対象障害者の雇用に関する状況の報告)
第八条 法第四十三条第七項に規定する事業主は、毎年、六月一日現在における対象障害者……の雇用に関する状況を、翌月十五日までに、厚生労働大臣の定める様式により、その主たる事業所の所在地を管轄する公共職業安定所……の長に報告しなければならない。

整理すると、(1)基準日は毎年6月1日、(2)期限は翌月15日(7月15日)、(3)提出先は主たる事業所の所在地を管轄するハローワークの長、(4)様式は厚生労働大臣が定めるもの、となります。この報告は、法定雇用率を達成しているかどうかにかかわらず、37.5人以上の事業主に課されています。

罰則の列挙に「入っていないもの」を確認する

罰則は第86条です。条文本体の各号を並べます。

第八十六条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、三十万円以下の罰金に処する。
一 第四十三条第七項、第五十二条第二項、第七十四条の二第七項又は第七十四条の三第二十項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき
二 第四十六条第一項の規定による命令に違反して対象障害者の雇入れに関する計画を作成せず、又は同条第四項の規定に違反して当該計画を提出しなかつたとき。
三 第五十二条第一項の規定による文書その他の物件の提出をせず、又は虚偽の記載をした文書の提出をしたとき。
四 第八十一条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
五 第八十二条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

ここで確認しておきたいのは、列挙に何が入っていないかです。第1号に入っているのは第43条第7項(報告義務)であって、雇用義務そのものを定めた第43条第1項は、どの号にも列挙されていません。つまり条文の建て方としては、法定雇用率の未達成それ自体を直接罰する規定ではなく、報告を出さないことと、行政の命令に従わないこと(第2号)が罰則の対象になっています。

さらに第87条が両罰規定を置いています。「法人……の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第八十五条の四から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する」——行為者個人と法人の双方が対象になる書き方です。

なお第5号に出てくる第82条第2項は、厚生労働大臣または公共職業安定所長が事業主等に対して報告を求め、立入検査を行うことができる規定です。年1回の定期報告とは別に、行政からの個別の求めに応じない場合も罰則の列挙に入っている点は押さえておきたいところです。

未達成のときに実際に起きること——第46条と第47条

直罰がないなら未達成でも何も起きないのか、というとそうではありません。段階を定めているのが第46条です。

(一般事業主の対象障害者の雇入れに関する計画)
第四十六条 厚生労働大臣は、対象障害者の雇用を促進するため必要があると認める場合には、その雇用する対象障害者である労働者の数が法定雇用障害者数未満である事業主……に対して、対象障害者である労働者の数がその法定雇用障害者数以上となるようにするため、厚生労働省令で定めるところにより、対象障害者の雇入れに関する計画の作成を命ずることができる
(中略)
4 事業主は、第一項の計画を作成したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
5 厚生労働大臣は、第一項の計画が著しく不適当であると認めるときは、当該計画を作成した事業主に対してその変更を勧告することができる。
6 厚生労働大臣は、特に必要があると認めるときは、第一項の計画を作成した事業主に対して、その適正な実施に関し、勧告をすることができる。

この計画に何を書くかは施行規則第9条が定めており、計画の始期・終期、雇入れを予定する労働者の数とそのうちの対象障害者の数、雇入れを予定する事業所の名称・所在地などが含まれるとされています。

そして公表を定めているのが第47条で、条文は一文です。

(一般事業主についての公表)
第四十七条 厚生労働大臣は、前条第一項の計画を作成した事業主が、正当な理由がなく同条第五項又は第六項の勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。

条文を素直に読むと、公表の対象は「第46条第1項の計画作成命令を受けて計画を作成した事業主」であり、かつ「その計画についての変更勧告(第5項)または適正な実施の勧告(第6項)に、正当な理由なく従わない」場合に限られています。未達成であることだけを理由に、いきなり企業名が公表される書き方にはなっていません。未達成 → 計画作成命令 → 計画の提出 → 勧告 → それでも従わない場合の公表、という段構えです。

この段構えを踏まえると、罰則の列挙の意味も見えてきます。第86条第2号が対象にしているのは、計画を作成しないこと・提出しないことです。行政の求めに応じて計画を出し、実施していく限りは罰則の列挙に触れない一方、その手続きから外れると罰則と公表の両方が視野に入る、という構造になっています。

今回の調査で確認できたこと/たどれなかったこと

  • 条文本体で確認できたこと——第43条第1項の掛け算と端数切り捨て、第43条第2項が政令に委ねていること、施行令第9条の「百分の二・七」、第43条第7項の報告義務、施行規則第7条の「三十七・五人(令別表第二に掲げる法人にあつては、三十三・五人)」、施行規則第8条の6月1日現在・翌月15日まで・管轄公共職業安定所長、第86条の各号(第43条第1項が列挙に無いこと)、第87条の両罰規定、第46条の第1項・第4項・第5項・第6項、第47条の公表の要件。
  • 今回たどれなかったこと——短時間労働者を何人と数えるかを定める省令の条文本体、重度身体障害者・重度知的障害者の換算数を定める政令の条文本体。いずれも数値を記載していません。また障害者雇用納付金制度(納付金・調整金)については、今回の調査で条文本体を取得していないため本記事では扱っていません。

条文を自分で確かめたいときは

AI法令調査ツール「ことのり」なら、調べたいことを日常の言葉で入力するだけで、障害者雇用促進法第43条や施行規則第7条のような根拠条文と出典リンク付きのレポートを数十秒で生成できます。今回の記事のように、「37.5人を定めているのは施行規則の第何条か」「第86条の列挙に第43条第1項は入っているか」まで、原文にあたって確認できます。

障害者の法定雇用率と報告義務をことのりで調べる

よくある質問

Q1. 障害者の雇用義務が生じるのは従業員何人からですか?

条文の建て方としては、人数そのものでは決まりません。障害者雇用促進法第43条第1項は「その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)以上であるようにしなければならない」と定めており、労働者数に障害者雇用率を掛けた結果が1人以上になるかどうかで決まります。障害者雇用率は障害者雇用促進法施行令第9条で「百分の二・七」と定められています。なお、よく言われる「37.5人」は、同法第43条第7項の報告義務の対象を定めた施行規則第7条の数字です。自社が対象になるかは、管轄のハローワークにご確認ください。

Q2. 「従業員37.5人以上」という基準は、どの条文に書かれていますか?

障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第7条です。条文本体は「法第四十三条第七項の厚生労働省令で定める数は、三十七・五人(令別表第二に掲げる法人にあつては、三十三・五人)とする」と定めています。この第43条第7項は毎年の報告義務を定めた項なので、37.5人は条文上は報告義務の対象を画する数字です。行政機関の解説では、この基準をもって「雇用義務の対象」と説明されることが多く、実務上はほぼ重なりますが、条文の位置づけとしては別のものです。

Q3. なぜ「37.5人」と0.5人という半端な数になるのですか?

障害者雇用促進法第43条第3項は、短時間労働者について「その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の労働者に相当するものとみなす」と定めており、労働者の数え方を実際の頭数とは別に省令へ委ねています。このため常時雇用する労働者の数は必ずしも整数にならず、基準の側も0.5刻みで書かれています。ただし、短時間労働者を具体的に何人と数えるかを定める省令の条文本体は、今回の調査では取得できていません。実際の数え方は管轄のハローワークにご確認ください。

Q4. 障害者雇用状況の報告は、いつまでに、どこへ提出しますか?

障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第8条が「毎年、六月一日現在における対象障害者の雇用に関する状況を、翌月十五日までに、厚生労働大臣の定める様式により、その主たる事業所の所在地を管轄する公共職業安定所……の長に報告しなければならない」と定めています。つまり毎年6月1日時点の状況を、7月15日までに、主たる事業所を管轄するハローワークの長へ提出することになります。

Q5. 報告を出さなかった場合、罰則はありますか?

障害者雇用促進法第86条第1号が「第四十三条第七項……の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき」を挙げており、事業主は30万円以下の罰金に処すると定めています。さらに第87条の両罰規定により、行為者を罰するほか法人にも罰金刑が科されます。報告を出さないことと、虚偽の内容で出すことが、同じ号に並べて書かれている点にご注意ください。

Q6. 法定雇用率を達成できていない場合、それ自体に罰則はありますか?

第86条の各号を条文本体で確認したところ、雇用義務そのものを定めた第43条第1項は列挙に含まれていません。列挙されているのは、第43条第7項の報告義務(第1号)と、第46条第1項の雇入れ計画の作成命令に違反した場合・同条第4項の計画を提出しなかった場合(第2号)です。つまり条文上は、未達成それ自体を直接罰する規定ではなく、行政の命令に従わないことが罰則の対象という建て方になっています。ただし第47条により、勧告に正当な理由なく従わないときは公表の対象になります。

Q7. 企業名が公表されるのは、どの段階ですか?

第47条は「厚生労働大臣は、前条第一項の計画を作成した事業主が、正当な理由がなく、同条第五項又は第六項の勧告に従わないときは、その旨を公表することができる」と定めています。条文上、公表の対象は第46条第1項の計画作成命令を受けて計画を作成した事業主であり、かつ、その計画の変更勧告(第5項)または適正な実施の勧告(第6項)に従わない場合に限られています。未達成であることだけを理由に、いきなり公表される書き方にはなっていません。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

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