「賃金台帳って何年とっておけばいいんだろう」。書類の整理をしていて手が止まる場面です。調べると3年と書いてある記事と5年と書いてある記事の両方が出てきて、かえって混乱した方も多いと思います。

結論から言うと、どちらも間違いではありません労働基準法第109条の条文そのものは「五年間」ですが、同法第143条が「当分の間」これを「三年間」と読み替えると定めているためです。この記事では、ことのりで実際に検索した結果と条文をもとに、保存期間・起算日・記載事項・罰則を順に整理します。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。法令は改正されることがあり、事業場の実態によって当てはめが変わります。実際の判断にあたっては、必ず最新の条文や所轄労働基準監督署の案内、必要に応じて社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

条文は「五年間」、実際に求められるのは「三年間」

労働基準法第109条(記録の保存)は、次のように定めています。

第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

一方で、同法第143条には次の読み替え規定があります。

第百四十三条 第百九条の規定の適用については、当分の間、同条中「五年間」とあるのは、「三年間」とする。

この2つを重ねると、現時点で法令上求められる保存期間は3年間ということになります。「5年」と書かれた解説は条文の本則を指しており、「3年」と書かれた解説は第143条の読み替え後の実際の義務を指している、という関係です。

注意したいのは「当分の間」という書き方です。これは恒久的な措置ではなく、将来的に原則の5年間へ戻される可能性を含んでいます。社内の保存ルールを決めるのであれば、はじめから5年保存にしておくほうが、改正のたびに運用を作り直さずに済みます。

なお、第143条は保存期間だけでなく、第115条の賃金請求権の消滅時効についても同様の読み替えを定めています。今回の調査結果では、賃金請求権の時効も「当分の間」5年から3年に読み替えられており、退職手当の請求権は引き続き5年間と整理されています。未払い賃金を争われたときに支払いの事実を示すのが賃金台帳ですから、保存期間と時効の期間が揃っているのは偶然ではありません。書類を捨てた直後に請求が来る、という事態を避けるためにも、時効の期間を下回る保存は避けたいところです。

いつから数えるのか(施行規則第56条)

「3年」と分かっても、いつから3年なのかが分からなければ運用できません。起算日は労働基準法施行規則第56条が書類の種類ごとに定めています。

第五十六条 法第百九条の規定による記録を保存すべき期間の計算についての起算日は次のとおりとする。
一 労働者名簿については、労働者の死亡、退職又は解雇の日
二 賃金台帳については、最後の記入をした日
三 雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日
四 災害補償に関する書類については、災害補償を終わつた日
五 賃金その他労働関係に関する重要な書類については、その完結の日

さらに同条第2項に、実務でつまずきやすい例外があります。賃金台帳または賃金その他労働関係に関する重要な書類については、当該記録に係る賃金の支払期日が第1項第2号または第5号の日より遅い場合には、その支払期日を起算日とすると定められています。

今回の調査結果では、たとえば3月分の賃金が4月25日に支払われた場合、その4月25日が起算日になると整理されています。締め日や記入日ではなく、支払日のほうが遅ければ支払日から数える、という理解になります。月末締め翌月払いの会社では、この差が1か月ぶんずれる点に注意してください。

労働者名簿の起算日が「退職の日」である点も見落とされがちです。在職中の従業員の名簿は保存期間のカウントが始まっておらず、退職してからが3年です。10年勤めた方の名簿であれば、実質的には13年ぶん手元に残ることになります。

そもそも何を書くのか:労働者名簿(施行規則第53条)

労働基準法第107条は、使用者は各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならないと定めています。記入すべき事項に変更があった場合は、遅滞なく訂正する必要があります。

この「厚生労働省令で定める事項」の中身が労働基準法施行規則第53条です。

  1. 性別
  2. 住所
  3. 従事する業務の種類
  4. 雇入の年月日
  5. 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)
  6. 死亡の年月日及びその原因

つまり労働者名簿には、第107条の氏名・生年月日・履歴に加えて、上記6項目を記載することになります。ただし同条には緩和規定があり、常時30人未満の労働者を使用する事業においては、第3号(従事する業務の種類)の記入を要しないとされています。小規模な事業場では1項目減る、ということです。

そもそも何を書くのか:賃金台帳(施行規則第54条)

労働基準法第108条は、使用者は各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項および賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を、賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならないと定めています。年に一度まとめて作るものではなく、給与計算のたびに記入していく帳簿だという点が条文から読み取れます。

記載事項は労働基準法施行規則第54条が定めており、労働者各人別に次を記入します。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 法第33条もしくは法第36条第1項の規定によって労働時間を延長し、もしくは休日に労働させた場合、または午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域または期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数および深夜労働時間数
  7. 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
  8. 法第24条第1項の規定によって賃金の一部を控除した場合には、その額

同条には、実務でよく問い合わせのある例外も置かれています。

  • 賃金の種類のなかに通貨以外のもので支払われる賃金がある場合は、その評価総額を記入する
  • 日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)については、第3号(賃金計算期間)の記入を要しない
  • 法第41条各号のいずれかに該当する労働者および法第41条の2第1項の規定により労働させる労働者については、第5号(労働時間数)および第6号(時間外・休日・深夜労働時間数)の記入を要しない

3つ目は、いわゆる管理監督者などについての規定です。ここで気をつけたいのは、記入不要とされているのは第5号と第6号だけだという点です。管理監督者だからといって賃金台帳そのものが不要になるわけではなく、氏名・性別・賃金計算期間・労働日数・賃金の種類ごとの額・控除額は記入対象のまま残ります。

また、第6号の労働時間数については、当該事業場の就業規則において法の規定と異なる所定労働時間または休日の定めをした場合には、その就業規則に基づいて算定する労働時間数をもって代えることができるとされています。

違反した場合:第120条で30万円以下の罰金

労働基準法第120条は、各号のいずれかに該当する者は30万円以下の罰金に処すると定めています。その第1号が対象とする条文の列挙のなかに、「第百六条から第百九条まで」が明記されています。

この範囲には、労働者名簿の第107条、賃金台帳の第108条、記録の保存の第109条がいずれも含まれます。したがって、名簿や台帳を作っていない、記載が欠けている、保存期間内に廃棄してしまったといったケースは、30万円以下の罰金の対象になり得ます。厚生労働省のQ&Aでも、賃金台帳に定める事項を適正に記入しない場合や虚偽の記入をした場合に第120条の罰則が適用される旨が示されています。

もっとも、実務で影響が大きいのは罰金そのものよりも証明手段を失うことかもしれません。今回の調査結果でも、これらの記録は労働基準監督署による調査や労働者との間のトラブル発生時に、労働条件や賃金支払いの事実を証明する重要な証拠になると整理されています。台帳がなければ、適正に支払っていたとしてもそれを示す材料がない、という状態になります。

実務の進め方(4ステップ)

  1. 今ある帳簿の記載項目を条文と突き合わせる。給与ソフトの出力がそのまま賃金台帳になっている場合でも、施行規則第54条の8項目が漏れなく出ているかを一度確認します。抜けやすいのは「賃金計算期間」「労働日数」「控除額」です
  2. 起算日を書類に書いておく。退職者のファイルには退職日を、賃金台帳には支払期日を明記しておくと、廃棄の可否をその場で判断できます
  3. 保存年数は5年で設計する。法令上の義務は現時点で3年ですが、第143条が「当分の間」の措置であることと、賃金請求権の時効が将来5年に戻り得ることを踏まえると、5年で作っておくほうが安全側です
  4. 廃棄の方法まで決める。今回の調査結果では、保存期間を過ぎた書類についても個人情報保護の観点から適切な方法で廃棄することが求められると整理されています。名簿には住所・生年月日が、台帳には賃金額が含まれるため、廃棄手順まで含めてルール化してください

「賃金その他労働関係に関する重要な書類」の範囲は条文上は幅があり、今回の調査結果では労働契約書・労働条件通知書・出勤簿・タイムカードなどが例として挙げられています。自社のどの書類がここに当たるかの判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。

条文の原文も、その場で確認できます

ことのりなら、労働基準法第107条・第108条・第109条・第120条・第143条や同施行規則第53条・第54条・第56条の条文を、出典リンク付きでまとめて確認できます。社内の書類保存ルールを見直すときの「最初の一歩」にご活用ください。

賃金台帳の保存義務をことのりで調べる

よくある質問

Q. 賃金台帳の保存期間は3年ですか、5年ですか?

労働基準法第109条の条文そのものは「五年間」と定めていますが、同法第143条が「第百九条の規定の適用については、当分の間、同条中『五年間』とあるのは、『三年間』とする」と読み替えを定めています。したがって現時点で法令上求められる保存期間は3年間です。ただし「当分の間」という書き方であり、将来的に原則の5年間に戻る可能性があるため、社内の保存ルールを決める際は5年保存にしておくほうが法改正の影響を受けにくいと考えられます。

Q. 保存期間はいつから数え始めますか?

労働基準法施行規則第56条が書類の種類ごとに起算日を定めています。労働者名簿は労働者の死亡・退職または解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日、雇入れまたは退職に関する書類は労働者の退職または死亡の日、災害補償に関する書類は災害補償を終わった日、賃金その他労働関係に関する重要な書類はその完結の日です。なお賃金台帳と重要書類については、当該記録に係る賃金の支払期日がこれらの日より遅い場合は、その支払期日が起算日になります。

Q. 賃金台帳を作っていない場合、罰則はありますか?

労働基準法第120条は「次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する」と定め、その第1号の対象条文に「第百六条から第百九条まで」が含まれています。労働者名簿(第107条)、賃金台帳(第108条)、記録の保存(第109条)はいずれもこの範囲に入るため、不作成・不備・不保存は30万円以下の罰金の対象になり得ます。

Q. 管理監督者やパートについて、記載を省略できる項目はありますか?

労働基準法施行規則第54条により、法第41条各号のいずれかに該当する労働者および法第41条の2第1項の規定により労働させる労働者については、「労働時間数」と「時間外・休日・深夜労働時間数」の記入は要しないとされています。また日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)については「賃金計算期間」の記入は不要です。労働者名簿については、施行規則第53条により、常時30人未満の労働者を使用する事業では「従事する業務の種類」の記入を要しないとされています。

出典(一次情報)

本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。最終的な判断は一次情報および専門家にご確認ください。

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