アルバイトを増やして人数が10人に届いたとき、「そろそろ就業規則がいるらしい」と耳にした方は多いと思います。答えは必要です。常時10人以上の労働者を使用する事業場には、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務づけられています。
根拠は労働基準法第89条(作成及び届出の義務)、第90条(作成の手続)、そして労働基準法施行規則第49条です。この記事では、ことのりで実際に検索した結果と条文をもとに、「何を書くのか」「誰の意見を聴くのか」「いつまでに出すのか」を順番に整理します。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。法令は改正されることがあり、事業場の実態によって当てはめが変わります。実際の判断にあたっては、必ず最新の条文や所轄労働基準監督署の案内、必要に応じて社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
義務が発生するのは「事業場ごと」に常時10人以上
労働基準法第89条は、常時十人以上の労働者を使用する使用者は、定められた事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないと規定しています。変更した場合も同様です。
ここで押さえておきたいのが、数えるのは会社全体ではなく事業場ごとだという点です。本店8人・支店5人であれば会社としては13人ですが、それぞれの事業場は10人未満です。逆に、1つの店舗にパートを含めて10人がいれば、そこで義務が発生します。
「10人」の数え方について、今回の調査結果では、正社員だけでなくパートタイマーやアルバイトなど継続的に使用される労働者を含めた人数を指し、一時的な労働者や派遣労働者は原則として含まないと整理されています。また、従業員数が一時的に10人を下回っても、通常の状態として10人以上であれば義務は継続するとされています。繁忙期だけ11人になる、といった事業場では、通常の状態がどちらかで判断することになります。
必ず書かなければならない事項(第89条各号)
第89条は、就業規則に記載すべき事項を列挙しています。大きく分けると、必ず書く事項と、その定めを置く場合に書く事項の2種類です。
必ず書く事項
- 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、ならびに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合の就業時転換に関する事項
- 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定・計算・支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期、昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
定めを置く場合に書く事項
- 退職手当の定めをする場合の、適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期に関する事項
- 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額の定めをする場合の、これに関する事項
- 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合の、これに関する事項
- 安全および衛生に関する定めをする場合の、これに関する事項
- 職業訓練に関する定めをする場合の、これに関する事項
- 災害補償および業務外の傷病扶助に関する定めをする場合の、これに関する事項
- 表彰および制裁の定めをする場合の、その種類および程度に関する事項
- 上記のほか、その事業場の労働者すべてに適用される定めをする場合の、これに関する事項
後半のリストは「制度があるなら書く」というものです。退職金制度がなければ退職手当の条項は不要ですし、無理に制度を作る必要もありません。一方で、実際に運用しているルール(皆勤手当、罰則、社員食堂の費用負担など)が就業規則に書かれていない状態は、あとで食い違いの原因になります。まずは自社で実際にやっていることを棚卸しするところから始めるのが現実的です。
作成したら、労働者の意見を聴く(第90条)
就業規則は会社が一方的に決めて出せる書類ではありません。労働基準法第90条第1項は、就業規則の作成または変更について、次のいずれかの意見を聴かなければならないと定めています。
- その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合:その労働組合
- 過半数で組織する労働組合がない場合:労働者の過半数を代表する者
そして同条第2項により、届出の際にはその意見を記した書面(意見書)を添付しなければなりません。労働基準法施行規則第49条第2項は、この意見書について労働者を代表する者の氏名を記載したものでなければならないとしています。
ここでよく誤解されるのが「反対されたら出せないのか」という点です。条文が求めているのは意見を聴くことであって、同意を得ることではありません。今回の調査結果でも、意見の内容が賛成でも反対でも意見なしでも構わないが、意見書を添付せずに届け出た場合は受理されない可能性があると整理されています。意見の内容に拘束力はなくても、聴取した事実を書面に残す手続きは省略できないということです。
届出の期限は「遅滞なく」(施行規則第49条)
提出先と期限は労働基準法施行規則第49条第1項に定められています。使用者は、常時10人以上の労働者を使用するに至った場合においては、遅滞なく、法第89条の規定による就業規則の届出を所轄労働基準監督署長にしなければなりません。
「◯日以内」という日数の定めではなく遅滞なくという書き方であるため、10人に達したら速やかに準備に取りかかる、という理解になります。就業規則の内容を変更した場合も、同様に届け出る必要があります。
提出書類
- 就業規則(本体)
- 就業規則(変更)届
- 意見書(労働組合または労働者の過半数代表者の意見を記したもの)
今回の調査結果では、就業規則の作成および届出それ自体に行政手数料はかからないと整理されています。社会保険労務士などの専門家に作成を依頼する場合は、別途その費用が発生します。
届け出て終わりではない:周知義務(第106条)
もう一つ、見落とされやすいのが周知義務です。労働基準法第106条(法令等の周知義務)第1項は、使用者はこの法律およびこれに基づく命令の要旨、就業規則などを、厚生労働省令で定める方法により労働者に周知しなければならないと定めています。
その具体的な方法は労働基準法施行規則第52条の2に列挙されています。
- 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること
- 書面を労働者に交付すること
- 使用者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル等に記録し、かつ各作業場に労働者がその内容を常時確認できる機器を設置すること
3つ目は、社内の共有フォルダやクラウドに置くだけでは足りず、各作業場で労働者がいつでも確認できる端末があることまでが条件になっている点に注意が必要です。厚生労働省の解説では、形式的に備え付けるだけでなく、労働者が知ろうとすれば知りうる状態に置かれていること(実質的周知)が重要とされています。施錠されたキャビネットに保管され、自由に閲覧できない状態では、周知したとは認められない可能性があります。
守らなかった場合:第120条で30万円以下の罰金
労働基準法第120条は、各号のいずれかに該当する者は30万円以下の罰金に処すると定めており、今回の調査結果では、第89条(作成及び届出の義務)および第106条(周知義務)の違反もその対象に含まれると整理されています。
あわせて第121条には両罰規定があり、違反行為をした者が事業主のために行為した代理人・使用人その他の従業者である場合には、事業主に対しても各本条の罰金刑が科されるとされています。
ただし、実務でより影響が大きいのは罰金よりも就業規則の効力の問題かもしれません。周知が不十分な場合、その就業規則の内容を根拠とした労働条件の取り扱いが認められない可能性があります。作って届け出たあと、全員が見られる場所に置くところまでを一続きの作業として考えてください。
実務の進め方(5ステップ)
- 人数を数える。事業場ごとに、パート・アルバイトを含めた通常の状態での人数を確認する
- 就業規則を作成する。第89条の必須記載事項を網羅し、実際に運用しているルールを反映する
- 意見を聴く。過半数組合、なければ過半数代表者を選出し、意見を聴く
- 意見書を作成する。労働者を代表する者の氏名を記載した書面にまとめる
- 所轄労働基準監督署へ届け出る。就業規則本体・(変更)届・意見書を添えて、遅滞なく提出する。あわせて掲示・交付などの方法で全員に周知する
10人未満の事業場に作成義務はありませんが、労働時間や休日、退職の取り扱いを文書にしておくこと自体は、人数にかかわらず「言った・言わない」を減らします。義務が発生してから慌てるより、9人のうちに下書きを作っておくほうが結果的に楽です。
条文の原文も、その場で確認できます
ことのりなら、労働基準法第89条・第90条・第106条・第120条や同施行規則第49条の条文を、出典リンク付きでまとめて確認できます。自社の就業規則を見直すときの「最初の一歩」にご活用ください。
就業規則の作成・届出義務をことのりで調べるよくある質問
Q. パートやアルバイトも「10人」に数えますか?
労働基準法第89条は「常時十人以上の労働者を使用する使用者」を対象としており、今回の調査結果では、正社員だけでなくパートタイマーやアルバイトなど継続的に使用される労働者を含めた人数で判断すると整理されています。一時的な労働者や派遣労働者は原則として含まないとされています。自社の雇用実態での当てはめに迷う場合は、所轄の労働基準監督署にご確認ください。
Q. 従業員が一時的に9人に減ったら、就業規則は不要になりますか?
条文の要件は「常時十人以上」です。今回の調査結果では、従業員数が一時的に10人を下回っても、通常の状態として10人以上であれば義務は継続すると整理されています。繁閑によって人数が上下する事業場では、通常の状態がどちらかで判断することになります。
Q. 従業員が反対したら就業規則は届け出られませんか?
労働基準法第90条が求めているのは「意見を聴くこと」であり、同意を得ることではありません。反対意見が書かれた意見書でも添付して届け出ることは可能です。ただし意見書そのものを添付しないと受理されない可能性があるため、聴取した事実を書面に残すことが必要です。
出典(一次情報)
本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。最終的な判断は一次情報および専門家にご確認ください。