結論:第56回(令和6年度) 社会保険労務士試験 択一式 健康保険法 第7問(健康保険法(事業主の保険料負担割合・健保組合開設病院の指定・受給権の相続・電子資格確認・付加給付))で、ことのりは唯一の正解肢D(電子資格確認による過去情報照会)は正しく『正しい』と判定できたものの、誤りである記述B(健保組合開設病院の他保険者被保険者診療)も『正しい』と判定してしまい、正解を1つに絞り切れませんでした。唯一の正解肢D(電子資格確認の方法)は正しく当てたのに、誤りである記述B(健康保険組合開設病院と他保険者被保険者の診療)を『正しい』と早合点し、正解を1つに絞り切れなかった回です。うまくいった回だけでなく、外した回も隠さず公開します。
検証の方法
第7問は、健康保険法(事業主の保険料負担割合・健保組合開設病院の指定・受給権の相続・電子資格確認・付加給付)に関する5つの記述(A〜E)のうち「正しいものはどれか」を選ぶ問題です。方法はシリーズ共通で、各記述を1つずつ、「次の記述は、現行法令に照らして正しいですか、誤っていますか。根拠となる条文を挙げて判定してください」という形で本番稼働中のことのりにそのまま入力し、返ってきた判定を公表の正答と照合しました。プロンプトの工夫・再試行・人間による誘導はありません。
ことのりの判定結果:5記述中4記述が一致(1記述を取りこぼし)
| 記述 | ことのりの判定 | 挙げた主な根拠条文 | 公式正答との照合 |
|---|---|---|---|
| 選択肢A | 誤り | 健康保険法162条 | ○ 一致 |
| 選択肢B | 正しい | 健康保険法63条3項3号・健康保険法84条 | × 不一致 |
| 選択肢C | 誤り | 健康保険法61条 | ○ 一致 |
| 選択肢D | 正しい | 健康保険法63条3項・健康保険法施行規則53条1項4号 | ○ 一致 |
| 選択肢E | 誤り | 健康保険法53条・健康保険法110条 | ○ 一致 |
各記述の解説
選択肢A:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)
記述:健康保険組合は、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増減することができる。
根拠条文:健康保険法162条
ことのりは、健康保険組合が規約で定めることにより設定できるのは事業主負担の『増加』であって『減少』は認められない(健保法162条)として、『増減』としている点を『誤り』と判定。公式(誤り)と一致しました。
選択肢B:ことのりの判定「正しい」(公式と不一致)
記述:健康保険組合である保険者の開設する病院若しくは診療所又は薬局は、保険医療機関としての指定を受けなくとも当該健康保険組合以外の保険者の被保険者の診療を行うことができる。
根拠条文:健康保険法63条3項3号・健康保険法84条
ことのりは『正しい』と判定しましたが、公式正答は『誤り』です。健保法63条3項3号は、保険者(健康保険組合)が開設する病院・診療所・薬局を『療養の給付を受ける施設』の一つとして位置づけていますが、これは当該健康保険組合の被保険者への療養の給付を想定した規定です。他の保険者(協会けんぽや他の健康保険組合など)の被保険者を保険診療で受け入れるには、63条3項1号の『保険医療機関としての指定』が別途必要です。ことのりは63条3項3号の条文には到達したものの、他保険者被保険者に対する適用範囲の限界を読み違え、『指定を受けなくとも他保険者の被保険者を診療できる』と早合点しました。
選択肢C:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)
記述:保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないので、被保険者の死亡後においてその被保険者が請求権を有する傷病手当金又は療養の給付に代えて支給される療養費等は公法上の債権であるから相続権者が請求することはできない。
根拠条文:健康保険法61条
ことのりは、健保法61条の受給権保護は相続による権利の承継を妨げるものではないとする行政解釈を引き、既発生の傷病手当金・療養費等は相続の対象になるとして『誤り』と判定。公式(誤り)と一致しました。
選択肢D:ことのりの判定「正しい」(公式と一致)
記述:療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち、自己の選定するものから、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法により、被保険者であることの確認を受けて療養の給付を受ける。被保険者資格の確認方法の1つに、保険医療機関等が、過去に取得した療養又は指定訪問看護を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報を用いて、保険者に対して電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法がある。
根拠条文:健康保険法63条3項・健康保険法施行規則53条1項4号
これが公式正答(正しい記述)です。被保険者資格の確認方法として、電子資格確認のほか、健康保険法施行規則53条1項4号により『過去に取得した被保険者資格情報を用いた事前照会』が認められています。ことのりは63条3項と施行規則53条を引いて『正しい』と判定し、公式正答と一致しました。
選択肢E:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)
記述:付加給付は、保険給付の一部であり、かつ法定給付に併せて行われるべきものであるから、法の目的に適いその趣旨に沿ったものでなければならない。法定給付期間を超えるもの、健康保険法の目的を逸脱するもの、又はこの制度で定める医療の内容又は医療の給付の範囲を超えるもの若しくは、保健施設的なものは廃止しなければならないが、家族療養費の付加給付は、特定の医療機関を受診した場合に限り認めることは差し支えない。
根拠条文:健康保険法53条・健康保険法110条
ことのりは、健保法110条の家族療養費の給付は被保険者の受診機関選択の自由が原則であり、特定の医療機関を受診した場合に限って付加給付を認めることは制度趣旨に反するとして『誤り』と判定。公式(誤り)と一致しました。
この結果から言えること
- ことのりは、事業主の保険料負担割合(A・『増減』ではなく『増加』)、受給権の相続(C)、付加給付の受診機関限定(E)という3つの誤り記述を正しく『誤り』と見抜き、唯一の正解肢D(電子資格確認の方法)も当てました。
- 一方で記述B(健保組合開設病院と他保険者被保険者の診療)を『正しい』と誤判定しました。63条3項3号の条文には到達したものの、他保険者の被保険者を診療するには保険医療機関としての指定が別途必要という制度の限界を読み違えました。
- 正解肢Dを当てていても、別の肢を『正しい』と早合点すると、答えを1つに絞れなくなります。63条3項の1号・2号・3号は主体と対象が微妙に異なるため、条文の項番だけでなく規定の趣旨まで確認する必要があります。
- 本記事は、うまくいった回だけでなく外した回も隠さず公開するシリーズ方針に沿うものです。
シリーズ累計成績(随時更新)
社会保険労務士試験(健康保険法など)の条文知識を問う問題で同じ検証を進めています。うまくいった回だけを選んで載せることはせず、外した問題も隠さず解剖して公開します。
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AIが条文の項番を挙げていれば結論も正しいですか?
必ずしもそうではありません。本検証の記述Bのように、条文(63条3項3号)に到達しても、その規定が想定する対象範囲を読み違えて『正しい』と早合点することがあります。条文の趣旨・関連条文(84条など)まで確認してください。
健康保険組合が開設する病院はどんな位置づけですか?
健保法63条3項3号により、当該健康保険組合の被保険者への療養の給付を提供する施設として位置づけられます。他の保険者の被保険者を保険診療で受け入れる場合は、63条3項1号の保険医療機関としての指定が別途必要になります。詳細は一次情報でご確認ください。