結論:令和7年司法試験 短答式試験(民法)第25問(定型約款)で、AI法令検索「ことのり」は5記述中4記述は正解と一致したものの、記述ウの判定を外し、問題単位では不正解となりました。本シリーズで初めて公開する「外した問題」です。興味深いのは、外した記述ウでも条文の特定と引用は完全に正確だったこと。なぜそれでも×になったのかを解剖します。

シリーズの趣旨と方法は第1回をご覧ください。

本記事は、AI法令検索「ことのり」(本番稼働中のサービスそのもの)に実際に検索を実行させた結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した検証記録です。試験問題は法務省公表の「令和7年司法試験 短答式試験問題集[民法]」から、正解は同「民法の正解及び配点」から引用しています。本記事は特定の試験対策・法的助言を目的とするものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の条文や一次情報、必要に応じて専門家にご確認ください。

第25問の内容(定型約款)

第25問は、定型約款に関する次のアからオまでの各記述のうち「誤っているものの組み合わせ」を選ぶ問題です(配点2点。出典:法務省「令和7年司法試験 短答式試験問題集[民法]」)。

ア.定型取引とは、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその一方にとって合理的なものをいう。

イ.定型約款準備者と相手方が定型取引を行うことの合意をした場合において、定型約款準備者があらかじめ定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときは、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなされる。

ウ.定型約款準備者は、相手方との間で定型取引を行うことの合意をした後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときを除き、遅滞なく、相当な方法で定型約款の内容を示さなければならない。

エ.定型約款準備者は、定型約款の変更が相手方の一般の利益に適合するときは、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。

オ.定型約款準備者は、定型約款にその変更をすることがある旨を定めていたときは、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。

ことのりの判定結果:4記述一致・1記述不一致

記述ことのりの判定挙げた主な根拠条文法務省正解との照合
誤り民法548条の2第1項一致
正しい民法548条の2第1項2号一致
誤り民法548条の3第1項不一致(正解は「正しい」)
正しい民法548条の4第1項1号一致
誤り民法548条の4第1項一致

法務省正解は「2」(アとオが誤り)。ことのりはウも「誤り」と判定したため、組み合わせを1つに絞れず、問題単位では不正解です。

正解した4記述:細かい文言の罠は見抜けていた

アは民法548条の2第1項の定義の「その双方にとって合理的」を「その一方にとって」とすり替えた古典的なひっかけで、ことのりは正確に見抜きました。オも、変更条項を置いただけでは足りず、民法548条の4第1項の「契約の目的に反せず、かつ合理的」という要件が必要なことを指摘して「誤り」と判定。イ・エも該当条文を正確に引いています。

外した記述ウ:何が起きたのか

ウは民法548条の3第1項(定型約款の内容表示義務)をほぼ条文どおりになぞった記述で、正解は「正しい」です。ことのりも同条を正確に引用した上で、こう判定しました。

民法は、定型取引合意の「前」または「後」のいずれのタイミングでの請求にも内容表示義務を課しているのに対し、提示された記述は「合意をした後」の請求に限定しています。(中略)したがって、提示された記述は現行法令に照らして誤りです。(ことのりのレポートより)

つまり、条文には「合意の前又は後」と書いてあるのに、記述は「後」の場合しか書いていない——不完全だから誤り、という判定です。

しかし司法試験の〇×の流儀では、条文の適用場面の一部だけを取り出して正しく述べた記述は「正しい」と扱われます。「合意の後に請求があれば表示義務がある」こと自体は条文のとおりだからです。ことのりは条文の理解では間違えておらず、「不完全な記述をどう扱うか」という試験特有の作法で外しました。

この結果から言えること

  • 検索と条文引用の精度は今回も維持されていた:5記述すべてで548条の2〜4という正しい条文に到達し、引用内容も正確でした。
  • 外したのは「判定の流儀」:実務の調べ物は「この場面ではどうなるか」を聞くものなので、今回のような「一部だけ述べた記述の真偽」という形の問いは実務では生じにくい構図です。
  • それでも教訓はある:AIの「誤り」「正しい」という結論部分だけを読むのではなく、理由まで読んで自分の問いと噛み合っているか確認する。これはAIリーガルリサーチ全般に通じる使い方です。

シリーズ累計成績

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令和7年司法試験 短答式試験(民法)のうち条文知識を問う10問(第1・2・5・14・15・25・28・32・34・36問)・計50記述で同じ検証を行った結果は次のとおりです。

  • 記述単位の正誤判定:50問中47問が法務省正解と一致
  • 問題単位(組合せ選択肢の導出):10問中7問正解

正解できなかった3問(第25・28・36問)も含めて、全問をこのシリーズで公開します。うまくいった例だけを選んで載せることはしません。第1回はこちら

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よくある質問

AIが間違えたのに、なぜ公開するのですか?

検証シリーズは「うまくいった例だけを載せない」ことを方針にしています。どこで・なぜ間違えるかを公開することが、AIリーガルリサーチを安全に使うための一番の情報だと考えるからです。

この間違いは実務利用でも起きますか?

今回の外し方は「司法試験の〇×の流儀」に起因するもので、条文の特定と引用は正確でした。実務上の調べ物(この場面でどうなるか)の用途では、同じ原因の問題は起きにくいと考えています。ただし最終確認は必ず条文原文でお願いします。

定型約款とは何ですか?

不特定多数との画一的な取引のために準備された条項の総体です(民法548条の2)。利用規約やサービス約款などが典型で、2020年施行の改正民法で明文化されました。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。検証結果は記載の問題・時点におけるものであり、すべての検索で同等の結果を保証するものではありません。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

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