事業者がSNS広告やコンテンツ制作でAI生成画像・動画を使う場面が一気に増えています。先日、与野党6党が提出した公職選挙法・情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)改正案が衆院を通過し、選挙に関するAI生成コンテンツの表示義務化や偽情報対応が盛り込まれました(関連ニュース)。来春の統一地方選への適用を見据えた動きで、選挙関連業務だけでなく、日常の広告・SNS運用にも「AI生成であることの開示」という論点が広がりつつあります。
そこで、現時点で事業者が広告・SNS投稿でAI生成コンテンツを使う場合、表示義務や景品表示法・関連法令上の留意点はどう整理されているのかを、ことのりで実際に調べました。本記事では、現行法上の直接的な義務の有無、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の適用の考え方、社内で整えるべき管理体制、個人情報の取り扱いの注意点までを、条文と一次情報リンクとともにまとめています。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。広告表示・AI規制は、消費者庁ガイドラインの改定や個別事案の判断によって取扱いが変わりやすい分野です。実際の広告掲載・社内ルール策定にあたっては、必ず一次情報(e-Gov・消費者庁・個人情報保護委員会の公表資料)と、景品表示法・個人情報保護法に詳しい弁護士などの専門家にご確認ください。
結論:AI生成物であることの直接的な表示義務はない。ただし景品表示法の射程に入る
現行法では、事業者が広告やSNS投稿でAI生成コンテンツを利用する際に「AIで生成したものである」と表示することを直接義務付ける一般的な法令はありません。一方で、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第1条が定めるとおり、同法は商品・役務の取引に関する不当な表示によって一般消費者の自主的かつ合理的な選択が阻害されることを防ぐための法律です。AI生成コンテンツも、事業者が顧客を誘引する目的で商品・役務の情報を提供している以上、この「表示」に該当しうる、というのが出発点になります。
景品表示法上の「事業者」「表示」とは
景品表示法第2条は、「事業者」を商業・工業・金融業その他の事業を行う者と定義しています。中小企業や個人事業主、士業も当然この「事業者」に含まれます。広告・SNS投稿で商品やサービスの内容・取引条件を示すコンテンツは、AIで生成したかどうかに関係なく同法の「表示」として扱われる可能性があります。
不当表示にあたりうる3つの類型
景品表示法第5条は、次の3つに該当する表示を「不当な表示」として禁止しています。
- 優良誤認表示:商品や役務の品質・規格その他の内容について、実際よりも著しく優良である、または競合他社のものより著しく優良であると示す表示。
- 有利誤認表示:価格その他の取引条件について、実際よりも著しく有利であると誤認させる表示。
- 内閣総理大臣指定表示:そのほか、一般消費者に誤認されるおそれがある表示として内閣総理大臣が指定するもの。
AI生成コンテンツで問題になりやすい場面
- 実在しない商品・サービスを実在するように見せる:AIで生成した架空の商品の画像を広告に載せ、性能や効果を誇張するケースは、優良誤認表示に該当する可能性があります。
- AI生成の人物に「体験談」を語らせる:AIで作ったインフルエンサーやモデルが、実際には存在しない感想・体験談を述べる広告は、消費者の合理的な選択を阻害するおそれがあります。
- AI生成であることを明示しないまま、広告と認識しづらい形で配信する:消費者庁は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」に関する運用基準を公表しており、AI生成コンテンツが広告と判別しづらい形で提供された場合、この基準に照らして問題となる可能性が指摘されています。
これらは、現時点ではAI表示義務の明文規定がなくても、結果として消費者に誤認を与えれば景品表示法第5条の不当表示として規制対象になりうる、という整理です。
事業者が整えるべき管理体制(景品表示法第22条)
景品表示法は、表示の中身を規制するだけでなく、事業者に対して社内体制の整備も求めています。景品表示法第22条は、事業者が景品類の提供や表示に関して、不当に顧客を誘引し、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、必要な体制の整備その他の措置を講じることを義務付けています。
AI生成コンテンツを業務で扱う場合の実務的な対応としては、次のようなものが考えられます。
- AI生成コンテンツの利用に関する社内ガイドラインの策定
- 担当者・従業員への教育(不当表示の3類型、開示のあり方)
- 公開前のチェック体制(事実関係の確認、誇張・誤認の有無の確認)
- 必要に応じてAI生成である旨を自主的に明示するルール
体制整備を怠っていると判断された場合、景品表示法第24条に基づき、内閣総理大臣は事業者に対し必要な措置を講ずべき旨の勧告を行うことができ、勧告に従わないときはその旨を公表することができるとされています。
消費者庁ガイドライン・運用基準の確認
消費者庁は景品表示法関係ガイドライン等のページで各種ガイドラインや運用基準を公表しています。現時点でAI生成コンテンツに特化した直接的なガイドラインは見当たりませんが、不当表示の禁止に関する一般的な原則は当然適用されます。とくに「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準は、AI生成コンテンツの開示のあり方と関連する可能性があるため、目を通しておきたい資料です。海外動向については、消費者庁が公表した令和6年度海外主要国における消費者保護に関する生成AI関連の規制等の調査業務報告書も参考になります。
AIに個人データを入力するときの注意点
AIサービスでコンテンツを生成する過程で、顧客名や顧客リストなど個人データを含むプロンプトを入力する場面もあります。この点について、個人情報保護委員会の注意喚起(PDF)では、個人情報取扱事業者がAIサービスに個人データを含むプロンプトを入力する際には、(1) 利用目的の範囲内であること、(2) AIサービス提供事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと、を十分に確認する必要があるとされています。広告制作の段階で顧客の写真・声・氏名等を入力する場合は、特に慎重な扱いが必要です。
条文の原文も、その場で確認できます
記事中で触れた景品表示法の条文や、関連する消費者庁ガイドラインの位置づけは、ことのりの検索画面から原文・出典つきで確認できます。社内ガイドラインを作る前段の素材集めにもどうぞ。
AI表示義務をことのりで調べる適用が問題になりにくいケース
AI生成コンテンツの利用が景品表示法上の問題となりにくいのは、次のような場合と整理されています。
- AI生成であることが明確にわかる場合(明らかに非現実的な表現、AI生成を示す透かしやキャプションなどが付与されており、消費者が容易にAI生成物と認識できる)。
- 創作物として利用され、事実誤認を招かない場合(フィクションやイメージとしての利用にとどまり、品質・性能・取引条件に関する事実を誤認させるものでない)。
- 不当表示に該当しない範囲での利用(実際よりも著しく優良・有利と誤認させる要素を含まない)。
ただし、消費者の誤解を招く可能性が少しでもある場合は、自主的な表示や補足説明を検討することが安全側の対応です。
よくある質問
Q1. 広告画像をAIで作っただけでも「AI生成」と明記しないと違法ですか?
現行法上、AI生成物であること自体を一律に明示せよと義務付ける一般的な規定はありません。ただし、AI生成であることを明示しないことで、消費者が事業者の表示であると判別できなかったり、品質・取引条件について誤認したりするおそれがある場合には、景品表示法第5条の不当表示に該当する可能性があります。一律の義務ではなく、誤認のおそれがあるかどうかで判断される、と整理しておくのが実務的です。
Q2. AIで生成した「お客様の声」風コンテンツを使うのは問題ありますか?
実在しない人物の体験談・感想として表示すると、商品・役務の内容について実際よりも著しく優良であると示す表示や、消費者の合理的な選択を阻害する表示に該当する可能性があります。実際の利用者の声と混同されない形(明確に「イメージ」「AI生成」と表示するなど)にし、内容も事実関係から離れすぎないよう、公開前のチェック体制を整えることが重要です。
Q3. 小規模事業者でも管理体制を整える必要がありますか?
景品表示法第22条は事業者一般に対して表示の適正な管理に必要な体制整備を求めており、規模による適用除外は明文化されていません。小規模であっても、AI生成コンテンツの利用ルールを文章化し、公開前のチェック担当を決めておくなど、規模に応じた現実的な体制を用意しておくことが望まれます。同法第24条では、措置を講じていないと認められる場合に勧告・公表の対象となりうる旨が定められています。
出典(一次情報)
- 🔗 不当景品類及び不当表示防止法 第1条(目的)
- 🔗 不当景品類及び不当表示防止法 第2条(定義)
- 🔗 不当景品類及び不当表示防止法 第5条(不当な表示の禁止)
- 🔗 不当景品類及び不当表示防止法 第22条(事業者が講ずべき表示の管理上の措置)
- 🔗 不当景品類及び不当表示防止法 第24条(勧告及び公表)
- 🔗 景品表示法関係ガイドライン等(消費者庁)
- 🔗 消費者庁 公表資料(caa_futurer101_250605_16.pdf)
- 🔗 令和6年度海外主要国における消費者保護に関する生成AI関連の規制等の調査業務報告書(消費者庁)
- 🔗 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会)
- 🔗 個人情報保護委員会 注意喚起資料(230602_kouhou_houdou.pdf)
- 🔗 AI生成コンテンツの表示義務化へ公選法・情プラ法改正案(Google News)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。