パート・有期雇用で働く方と正社員との間で、基本給や賞与、各種手当に差を設けている中小企業の経営者・人事ご担当者の方へ。同一労働同一賃金を考える~改正がもたらす財務・労務への影響~というニュース記事が公開され、改めて「同一労働同一賃金」が中小企業の財務・労務に与える影響が論点になっています。

そこで、関連する根拠法であるパートタイム・有期雇用労働法を、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索し、中小企業が遵守すべき義務と、待遇に関する説明義務の内容を整理しました。本記事では、不合理な待遇差禁止の判断要素、雇い入れ時の労働条件明示、そして労働者から求めがあった場合の説明義務までを、条文に沿って解説します。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。労務に関する取扱いは、個別の職務内容や雇用契約、就業規則、社内制度の設計によって判断が大きく変わります。記事の内容を自社の制度設計に当てはめる際は、最終的に一次情報(e-Gov法令検索)と、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご確認ください。

同一労働同一賃金の基本原則:不合理な待遇差の禁止

パートタイム・有期雇用労働法第8条は、事業主に対し、雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、通常の労働者(正社員)の待遇との間で不合理な相違を設けることを禁止しています。

「不合理」かどうかを判断する3つの要素

不合理かどうかは、待遇ごとに次の3つの要素を総合的に考慮して判断します。

  1. 職務の内容:業務の内容および当該業務に伴う責任の程度。
  2. 職務の内容及び配置の変更の範囲:将来的な職務内容や配置転換の可能性の範囲。
  3. その他の事情:上記以外で、当該待遇の性質および目的に照らして適切と認められる事情。

ポイントは「待遇のそれぞれについて」判断する点です。基本給、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練など、待遇ごとにその性質と目的に照らして、相違が合理的に説明できるかを検証する必要があります。名称や制度が異なっていても、実質的に同じ目的を持つ待遇であれば、その相違の根拠が問われます。

中小企業が遵守すべき4つの義務

1. 労働条件の明示義務(特定事項)

同法第6条は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れた際に、労働基準法第15条第1項に規定する事項に加え、「特定事項」を速やかに文書交付などの方法で明示することを求めています。

同法施行規則第2条に定められた特定事項は次の4つです。

  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • 短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

これらの特定事項は、事実と異なる内容であってはならず、労働者が希望した場合は、ファクシミリや電子メール等の方法で明示することもできます。

2. 雇い入れ時の措置内容の説明義務

同法第14条第1項は、事業主に対し、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときに、不合理な待遇の禁止(第8条)から労働条件の明示(第6条)など、同法に規定する措置の内容を速やかに説明することを義務付けています。

つまり、採用時には「労働条件通知書を渡す」だけでなく、自社が同一労働同一賃金の原則のもとでどのような措置を講じているかを、本人にきちんと説明することが求められます。

3. 求めがあった場合の待遇差の説明義務

同じく同法第14条は、短時間・有期雇用労働者から求めがあった場合、事業主に次の事項を説明する義務を課しています。

  • 当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容
  • 当該待遇の相違の理由
  • 不合理な待遇の禁止(第8条)など、同法に規定される措置に関する決定をするに当たって考慮した事項

さらに、説明を求めたことを理由に、当該労働者に対して不利益な取扱いをしてはならない旨も明文で定められています。労働者が安心して説明を求められる環境整備が、企業側に求められる前提となります。

4. 雇用管理改善・賃金決定の努力義務

同法第3条は、事業主に対し、就業の実態等を考慮して、適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実、通常の労働者への転換の推進など、雇用管理の改善等に関する措置を講じる責務があるとしています。

また同法第10条は、賃金について、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験その他の就業の実態に関する事項を勘案して決定するよう努めることを定めています(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く)。

実務上のポイント:待遇差解消と説明義務の履行

待遇の棚卸しと整理

まずは、自社のパート・有期雇用労働者と通常の労働者について、職務内容、責任の程度、配置転換の範囲などを比較し、基本給・各種手当・賞与・福利厚生・教育訓練といった待遇ごとに相違の有無を確認します。相違がある場合は、その理由を「待遇の性質と目的」に照らして説明できるかを点検します。

説明の質を高める

労働者から待遇差について説明を求められた際は、「会社の規定だから」といった抽象的な説明では不十分です。同法第14条が求めているのは、当該労働者と通常の労働者の職務内容・責任・配置転換の範囲の比較と、その違いが待遇差にどう反映されているかを具体的に示すことです。

例えば、手当の相違であれば「その手当の支給目的は何か」「対象労働者がその目的に合致しない理由は何か」を、対応する条文の趣旨に沿って整理しておくと、説明の一貫性が保てます。

不利益取扱いの禁止を社内に徹底する

説明を求めた労働者に対する不利益な取扱いは、同法第14条で明確に禁止されています。管理職や現場責任者にも、説明を求めることは法律上認められた権利であり、それを理由とした不利な対応が禁止されていることを共有しておく必要があります。

条文の原文も、その場で確認できます

本記事で引用したパートタイム・有期雇用労働法の各条文や施行規則は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果をもとに整理しています。同じテーマで、自社の状況に合わせた検索結果を確認したい方は、下のボタンから「ことのり」でそのまま調べることができます。

同一労働同一賃金の義務をことのりで調べる

よくある質問

Q. 同一労働同一賃金は中小企業にも適用されますか?

はい、パートタイム・有期雇用労働法は、中小企業を含む全ての事業主に適用されます。同法第8条に基づく不合理な待遇差の禁止、第14条に基づく説明義務など、中小企業も等しく遵守する必要があります。

Q. 雇い入れ時に必ず文書で示すべき項目は何ですか?

同法第6条および施行規則第2条により、労働基準法第15条第1項に規定する事項に加え、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」の4つを特定事項として明示することが求められています。労働者が希望すればファクシミリや電子メール等での明示も可能です。

Q. 待遇差について説明を求められた場合、何をどこまで説明する必要がありますか?

同法第14条により、(1)通常の労働者との待遇の相違の内容、(2)当該待遇の相違の理由、(3)措置の決定に当たって考慮した事項、の3点を説明する必要があります。職務の内容、責任の程度、配置転換の範囲などを踏まえ、待遇ごとにその性質と目的に照らして具体的に説明することが求められます。また、説明を求めたことを理由とした不利益取扱いは禁止されています。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

関連する「使い方」ページ

関連する法令コラム