非常勤の国家公務員に各種手当を支給できるようにする方針が、人事院の指針改正で示されました(共同通信「非常勤公務員に手当支給/人事院指針改正」)。公務セクターの動きは民間の非正規・パート従業員の処遇にも波及すると見込まれるため、これを機に民間側のルールである「パートタイム・有期雇用労働法」の均等・均衡待遇規定を、ことのりで実際に調べてみました。
この記事では、パート・有期雇用者に対する手当支給や均衡待遇の義務がどの条文でどう定められているのか、基本給・賞与・各種手当・教育訓練・福利厚生施設まで、条文レベルで整理します。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。労働関係の法令は、企業ごとの実情や個々の待遇項目の性質によって解釈が分かれる場面があります。個別の待遇差が「不合理」に当たるかどうかの最終的な判断は、必ず一次情報(e-Gov掲載の条文・厚生労働省ガイドライン)および社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。
パートタイム・有期雇用労働法が定める2つの原則
パートタイム・有期雇用労働者に対する手当支給や均等・均衡待遇の義務は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(通称:パートタイム・有期雇用労働法)で定められています。同法は、同一企業内における通常の労働者(いわゆる正社員)とパートタイム・有期雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目的に、次の2つの原則を置いています。
均衡待遇の原則(不合理な待遇の禁止)
パートタイム・有期雇用労働法第8条は、事業主に対し、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、通常の労働者の待遇との間で不合理な相違を設けることを禁止しています。判断にあたっては、次の要素が考慮されます。
- 職務の内容:業務の内容および当該業務に伴う責任の程度
- 職務の内容及び配置の変更の範囲:将来の転勤や配置転換、職務内容の変更の可能性
- その他の事情:当該待遇の性質および当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるもの
職務内容などの違いに応じて待遇に相応の差を設けること自体は許容されますが、その差が「不合理」であってはならないという考え方です。
均等待遇の原則(差別的取扱いの禁止)
パートタイム・有期雇用労働法第9条は、職務の内容が通常の労働者と同一であり、かつ、雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容および配置が通常の労働者と同一の範囲で変更されることが見込まれるパートタイム・有期雇用労働者(「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」)に対しては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをすることを禁止しています。実質的に正社員と全く同じ働き方をする労働者には、正社員と同じ待遇を保障するものです。
賃金・手当に関する義務
各種手当は「不合理な待遇の禁止」の対象
第8条にいう「基本給、賞与その他の待遇」には、通勤手当・役職手当・精皆勤手当・住宅手当・家族手当などの各種手当も含まれます。厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」では、待遇項目ごとに考え方と具体例が整理されています。
- 通勤手当:通勤に要する費用を補填する目的であるため、通常の労働者と同一の通勤費用がかかるパートタイム・有期雇用労働者に対して、通勤手当を支給しないことは原則として不合理な待遇差と判断されます。
- 役職手当:役職の内容や責任の程度が同じであれば、同一の支給が原則です。
- 精皆勤手当:労働者の出勤奨励を目的とするため、通常の労働者と同様に皆勤であれば、同一の支給が原則です。
- 住宅手当・家族手当:支給目的が通常の労働者と同一であれば、同一の支給が原則です。
賃金決定に関する努力義務
パートタイム・有期雇用労働法第10条は、事業主は通常の労働者との均衡を考慮しつつ、雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く)を決定するように努めるものと定めています。これは努力義務であり、第8条の不合理な待遇の禁止とは異なり直ちに法的義務を課すものではありませんが、賃金決定における配慮を促す規定です。
教育訓練・福利厚生施設に関する義務
教育訓練
パートタイム・有期雇用労働法第11条第1項は、通常の労働者に対して実施する職務遂行に必要な能力付与のための教育訓練について、職務内容が同一のパートタイム・有期雇用労働者(「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」)に対しても実施しなければならないと定めています。ただし、当該労働者が既に当該職務に必要な能力を有している場合など、厚生労働省令で定める場合は除外されます。同条第2項では、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、就業の実態に応じた教育訓練を実施する努力義務も課されています。
福利厚生施設
パートタイム・有期雇用労働法第12条は、事業主が通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならないと定めています。具体的には、食堂・休憩室・更衣室といった施設が該当します。
実務で押さえるポイント
「不合理な相違」の判断は、個別の待遇項目ごとに、その待遇の性質や目的を踏まえて行われます。実務上は、以下のような整理が求められます。
- 個々の待遇項目について、その支給目的や性質を明確にしておく
- 通常の労働者との比較において、職務内容・責任の程度・配置の変更の範囲といった客観的な要素に基づいて、待遇差の理由を説明できるようにする
- 基本給や賞与についても、貢献度や能力・経験など客観的な尺度で差を説明できる状態にする
厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」は、長澤運輸事件・メトロコマース事件・大阪医科薬科大学事件・日本郵便事件などの最高裁判例の考え方を踏まえて、待遇項目ごとの判断基準を詳細に示しており、実務上の重要な指針となっています。
条文の原文も、その場で確認できます
パート・有期雇用者への手当や均衡待遇に関する条文は、ことのりで検索すると e-Gov の該当条文へのリンク付きで整理された結果が得られます。個別の待遇項目について社内で議論する前に、条文の原文にあたっておくと安心です。
パート・有期の手当と均衡待遇をことのりで調べるよくある質問
通勤手当を正社員だけに支給し、パートには支給しない運用は問題ありますか?
通勤手当は通勤に要する費用を補填する目的の手当です。厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインでは、通常の労働者と同一の通勤費用がかかるパートタイム・有期雇用労働者に対して通勤手当を支給しないことは、原則としてパートタイム・有期雇用労働法第8条にいう不合理な待遇差と判断されるとされています。個別の判断は最終的に一次情報と専門家に確認してください。
「均等待遇」と「均衡待遇」はどう違うのですか?
「均等待遇」(第9条)は、職務の内容も、職務の内容及び配置の変更の範囲も、通常の労働者と同一と見込まれる労働者について、短時間・有期雇用労働者であることを理由とする差別的取扱いを禁止するものです。これに対して「均衡待遇」(第8条)は、そこまで同一とはいえない場合であっても、待遇の性質や目的に照らして「不合理な相違」を設けることを禁止するものです。
会社の食堂や休憩室をパート・有期の従業員が使えないのは違法ですか?
パートタイム・有期雇用労働法第12条は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設のうち、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるもの(食堂・休憩室・更衣室など)については、雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても利用の機会を与えなければならないと定めています。個別の運用の適否は、施設の性質や実情を踏まえて専門家にご確認ください。
出典(一次情報)
- 🔗 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第8条(不合理な待遇の禁止)
- 🔗 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
- 🔗 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第10条(賃金)
- 🔗 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第11条(教育訓練)
- 🔗 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第12条(福利厚生施設)
- 🔗 パートタイム労働者、有期雇用労働者の雇用管理の改善のために|厚生労働省
- 🔗 同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省 01.pdf)
- 🔗 同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省 02.pdf)
- 🔗 非常勤公務員に手当支給/人事院指針改正(Google News)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。