2025年、優良品種の海外流出防止を目的とした改正種苗法が成立し、品種登録前の農産物の輸出規制などが盛り込まれました(Google Newsで関連ニュースを見る)。育成者権保護を強化する内容となっており、農業者や種苗を扱う中小事業者・農業法人の日常業務に直結します。

そこで、登録品種の利用範囲や罰則を正確に押さえるため、種苗法における「登録品種の自家増殖」「輸出制限」「育成者権侵害の要件と罰則」を、条文にあたって整理しました。この記事を読むと、どこまでが自由に使えて、どこから許諾が必要になり、違反するとどの程度のペナルティがあるのかを、条文単位で確認できます。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。種苗法は品種や契約内容、届出の有無によって適用関係が変わる分野です。個別の作物・契約への当てはめは、必ず一次情報と専門家(弁護士・弁理士・農林水産省窓口など)にご確認ください。最終判断は一次情報と専門家に確認してください。

育成者権とは何か:効力の及ぶ範囲

種苗法における育成者権は、新品種の育成者に与えられる独占的な権利です。種苗法第20条第1項は、育成者権者が「登録品種」および「当該登録品種と特性により明確に区別されない品種」を、業として利用する権利を専有すると定めています。

さらに育成者権の効力は、登録品種そのものだけでなく、次の派生的な品種にも及びます(種苗法第20条)。

  • 変異体の選抜、戻し交雑、遺伝子組換え等の方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性により当該登録品種と明確に区別できる品種
  • その品種の繁殖のため常に登録品種の植物体を交雑させる必要がある品種

このように、育成者権は登録品種の遺伝的特性を基盤とした広範な利用行為に対して保護を及ぼす仕組みになっています。

登録品種の自家増殖:原則として許諾が必要

種苗法第21条第2項本文は、育成者権者らの行為などにより登録品種の種苗・収穫物・加工品が日本国内で譲渡された場合、その後の利用には育成者権の効力が及ばないと定めており、いわゆる「権利消尽」の原則を示しています。

ただし、同項ただし書により、この例外として「当該登録品種等の種苗を生産する行為」には育成者権の効力が及ぶとされています(種苗法第21条)。この「種苗を生産する行為」が、一般に「自家増殖」と呼ばれるものです。

したがって、登録品種の種苗を購入し、収穫物の一部を翌年の作付けのために自家で増殖する行為は、原則として育成者権者の許諾が必要となり、無断で行うと育成者権侵害となり得ます。2020年改正種苗法により、この点が明確化されました。

輸出制限:海外流出を防ぐ仕組み

第21条ただし書による輸出制限

種苗法第21条第2項ただし書では、権利消尽の例外として、次の輸出行為にも育成者権の効力が及ぶと定めています。

  • 当該登録品種について品種の育成に関する保護を認めていない国に対し、種苗を輸出する行為
  • 当該国に対し、最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為

これは、育成者権の保護が不十分な国への流出を防ぐための措置です。

第21条の2による届出・公示制度

種苗法第21条の2では、品種登録を受けようとする者は、品種登録出願と同時に、次の事項を農林水産大臣に届け出ることができるとされています。

  • 保護が図られないおそれがある国への流出防止:出願者が指定する国(保護が図られないおそれがない国)以外の国に対し、種苗を輸出する行為や、最終消費以外の目的で収穫物を輸出する行為を制限する旨
  • 産地形成:出願者が指定する地域以外の地域において、種苗を用いることにより得られる収穫物を生産する行為を制限する旨

これらの届出が公示された場合、種苗法第21条の2第7項により、権利消尽の原則にかかわらず、育成者権の効力が当該輸出等の行為に及ぶことになります。育成者権者は、特定国への輸出や特定地域外での生産を制限し、品種の適切な管理を図ることが可能です。

育成者権の効力が及ばない例外

種苗法第21条第1項は、育成者権の効力が及ばない範囲として、次の行為を挙げています。

  • 試験・研究のための利用:新品種の育成その他の試験又は研究のために品種を利用する行為
  • 特許に係る方法による利用:登録品種の育成方法についての特許権者や実施権者が、当該特許に係る方法により登録品種の種苗を生産・調整・譲渡・輸出入・保管する行為(特許権消滅後も同様)
  • 収穫物・加工品の利用:上記の特許に係る種苗を用いて得られる収穫物、およびその加工品を生産・譲渡・貸渡し・輸出入・保管する行為

これらは、育成者権の保護と公共の利益とのバランスを図るために、権利の効力が及ばない範囲として明示されています。

育成者権侵害の要件と罰則

侵害となり得る行為

育成者権侵害は、種苗法第20条で専有されている権利を、正当な権原なく侵害する行為を指します。具体的には次のようなケースが問題となり得ます。

  • 無許諾での業としての利用:登録品種等を、育成者権者の許諾なく「業として」生産・調整・譲渡・輸出・輸入・保管等する行為
  • 自家増殖の無許諾実施:原則として育成者権者の許諾なく登録品種の種苗を自家増殖する行為(種苗法第21条
  • 輸出制限違反種苗法第21条の2に基づき届出・公示された制限に反して、種苗や収穫物を輸出する行為

「業として」とは反復継続して行う行為を意味し、営利目的の有無は問われません。個人の趣味や家庭菜園での利用は通常該当しませんが、販売目的の生産や大規模な自家増殖は「業として」と判断される可能性があります。

罰則

種苗法第67条は、育成者権又は専用利用権を侵害した者について、10年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれらの併科と定めています。知的財産権の中でも重い部類の罰則で、育成者権保護の重要性が示されています。

条文の原文も、その場で確認できます

種苗法は品種ごとの届出や契約条件で扱いが変わります。「ことのり」で条文と出典リンクをまとめて確認しておくと、社内での説明や取引先へのアナウンスがスムーズです。

種苗法と育成者権をことのりで調べる

よくある質問

登録品種の種苗を購入して、翌年の作付け用に自家増殖してもよいですか?

種苗法第21条第2項ただし書により、登録品種の種苗を生産する行為(自家増殖)には育成者権の効力が及びます。したがって、原則として育成者権者の許諾が必要です。契約内容や品種ごとの取扱いを、種苗を購入した相手方や農林水産省の情報で確認することをおすすめします。

登録品種の種苗や収穫物を海外へ輸出することはできますか?

種苗法第21条第2項ただし書は、育成者権による保護を認めていない国への種苗輸出や、最終消費以外の目的での収穫物輸出について、育成者権の効力が及ぶと定めています。加えて、種苗法第21条の2に基づく届出・公示があれば、指定国以外への輸出等が制限されます。輸出前に、対象品種の届出状況を必ず確認してください。

育成者権を侵害すると、どのくらいの罰則がありますか?

種苗法第67条は、育成者権又は専用利用権を侵害した者に対し、10年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれらの併科を定めています。知的財産権の中でも重い水準の罰則です。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

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