2027年施行予定の犯罪収益移転防止法(犯収法)改正に対応した本人確認(eKYC)ソリューションの提供開始がニュースで発表されました。犯収法は金融機関だけでなく、行政書士・司法書士・税理士・宅地建物取引業者など幅広い「特定事業者」に本人確認や記録保存の義務を課す法律で、士業や中小企業の日常業務に直結します。改正の話題を切り口に、まずは現行の義務内容を条文ベースで整理しました。
この記事では、特定事業者が負う「取引時確認(本人確認)」の項目と方法、「確認記録」と「取引記録等」の記録事項・保存期間の違いを、e-Govの条文リンク付きで整理します。
本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。犯収法は特定事業者の業種によって適用される「特定業務」「特定取引」の範囲が異なり、政省令・主務省令で細かな確認方法が定められています。実務対応は必ず自社が該当する業種の告示・監督官庁のガイドラインを確認し、最終判断は一次情報と専門家(弁護士・司法書士・所管官庁)にご確認ください。
犯収法における「特定事業者」とは
犯収法は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長し、国民生活の安全と平穏を脅かすことを防止するため、特定事業者に対して顧客の取引時確認等を義務付けています。特定事業者は犯罪による収益の移転防止に関する法律第4条および同法第2条第2項に列挙されており、金融機関、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など、犯罪収益の移転に利用されやすい事業者が対象となります。
これらの事業者は、別表に掲げられた「特定業務」のうち「特定取引」を行う際に、主務省令で定める方法により取引時確認を実施する義務を負います。
取引時確認(本人確認義務)で確認すべき事項
犯収法第4条により、特定事業者は特定取引に際して以下の事項を確認しなければなりません。
1. 本人特定事項
- 自然人の場合:氏名、住居、生年月日
- 法人の場合:名称、本店または主たる事務所の所在地
2. 取引を行う目的
顧客が当該取引を行う目的を確認します。
3. 顧客の職業または事業の内容
- 自然人の場合:職業
- 法人の場合:事業の内容
4. 法人の実質的支配者の本人特定事項
顧客が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者があるときは、その者の本人特定事項も確認します。
5. 資産および収入の状況(一定の取引の場合)
政令で定める額を超える財産の移転を伴う取引、なりすましの疑いがある取引、厳格な顧客管理が必要な取引などを行う際には、資産および収入の状況の確認も必要となります。
6. 代表者等の確認
顧客と取引の任に当たる自然人(代表者等)が異なる場合、顧客の確認に加え、当該代表者等の本人特定事項の確認も行わなければなりません。
本人特定事項の確認方法
本人特定事項の確認方法は犯収法施行規則第6条で詳細に定められています。顧客の区分(自然人・法人・外国人)に応じて、対面または非対面での確認方法が規定されています。
自然人の場合の主な確認方法
- 写真付き本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)の提示
- 本人確認書類の提示と、記載された住居への取引関係文書の転送不要郵便等での送付
- 複数の本人確認書類の提示、または本人確認書類と補完書類(公共料金の領収書等)の提示・送付
- オンラインでの本人確認用画像情報の送信(容貌と本人確認書類の画像、またはICチップ情報)
- 電子署名や公的個人認証サービスを利用した確認
法人の場合の主な確認方法
- 法人の代表者等からの本人確認書類の提示
- 法人の名称・所在地申告と登記情報の取得、または公表事項の確認(非対面の場合は取引関係文書の転送不要郵便等での送付も必要)
- 法人の代表者等からの本人確認書類の送付と、記載された本店等への取引関係文書の転送不要郵便等での送付
- 商業登記法に基づく電子証明書と電子署名による確認
「確認記録」の作成と保存義務
作成義務
犯収法第6条により、特定事業者は取引時確認を行った場合、直ちに、主務省令で定める方法により「確認記録」を作成しなければなりません。
記録事項
犯収法施行規則第20条により、確認記録には以下を記録します。
- 取引時確認を行った者の氏名等
- 確認記録の作成者の氏名等
- 本人確認書類の提示・送付を受けた日付、本人確認用画像情報等の送信を受けた日付
- 確認を行った取引の種類
- 顧客等または代表者等の本人特定事項の確認を行った方法
- 本人確認書類の名称、記号番号等
- 顧客等(国等を除く)が取引を行う目的
- 顧客等の職業または事業の内容、および確認方法
- 法人の実質的支配者の本人特定事項、関係、および確認方法
- 資産および収入の状況の確認を行った方法および書類の名称
- 取引記録等を検索するための口座番号その他の事項
保存期間
確認記録は、犯収法第6条第2項および同施行規則第21条により、特定取引等に係る契約が終了した日、または取引時確認済みの取引に係る取引終了日のうち、後に到来する日から7年間保存しなければなりません。「取引終了日」は、契約を伴う取引の場合は契約終了日、それ以外の取引の場合は取引が行われた日を指します。
「取引記録等」の作成と保存義務
作成義務
犯収法第7条により、特定事業者は特定業務に係る取引を行った場合、少額の取引その他の政令で定める取引を除き、直ちに、主務省令で定める方法により「取引記録等」を作成しなければなりません。
記録事項
犯収法施行規則第24条により、取引記録等には以下を記録します。
- 口座番号その他の顧客等の確認記録を検索するための事項
- 取引または特定受任行為の代理等の日付
- 取引または特定受任行為の代理等の種類
- 取引または特定受任行為の代理等に係る財産の価額
- 財産移転を伴う取引の場合、当該財産移転に係る移転元または移転先の情報
- その他、為替取引や電子決済手段等取引、暗号資産取引に関する特定の事項
保存期間
取引記録等は、当該取引または特定受任行為の代理等が行われた日から7年間保存しなければなりません(犯収法第7条)。
実務上の留意点
「確認記録」と「取引記録等」は起算日が違う
両者は根拠条文・記録事項・保存期間の起算日が異なるため、明確に区別して管理する必要があります。確認記録の起算日は「契約終了日等のうち後に到来する日」、取引記録等の起算日は「取引が行われた日」です。保存期間はいずれも7年です。
継続的な顧客管理
犯収法第11条により、特定事業者は取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるよう努めなければなりません。顧客の本人特定事項や取引目的、実質的支配者等の情報は時間の経過とともに変化する可能性があるためです。
組織体制の整備
同じく第11条は、使用人に対する教育訓練の実施、規程の作成、統括管理者の選任など、組織的な体制整備に努めることを求めています。個々の担当者任せにせず、事務所・企業全体として取り組む必要があります。
条文の原文も、その場で確認できます
「ことのり」は、質問を投げるだけでe-Govの一次情報に基づく出典付きレポートを返す法令リサーチAIです。犯収法の別表に定める特定取引の範囲、業種別の確認方法の違い、非対面本人確認の具体的手続など、実務で必要な条文をすぐに引き当てられます。
犯収法・本人確認義務をことのりで調べるよくある質問
Q1. 特定事業者にはどのような業種が含まれますか?
犯収法第2条第2項に列挙されており、金融機関、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士などが含まれます。犯罪収益の移転に利用されやすい事業者が広く対象となっています。適用される「特定業務」「特定取引」の範囲は業種ごとに同法第4条および別表で定められています。
Q2. 「確認記録」と「取引記録等」は何が違うのですか?
「確認記録」は第6条に基づき、取引時確認の内容(本人特定事項の確認方法や本人確認書類の名称等)を記録するものです。「取引記録等」は第7条に基づき、実際に行った取引の日付・種類・財産の価額などを記録するものです。保存期間はいずれも7年ですが、起算日が異なる点に注意が必要です。
Q3. オンラインで本人確認を完結させることはできますか?
犯収法施行規則第6条では、オンラインでの本人確認用画像情報の送信(容貌と本人確認書類の画像、またはICチップ情報の送信)や、電子署名・公的個人認証サービスを利用した確認方法が認められています。ただし非対面取引はなりすまし等のリスクが高まるため、規則に定められた要件を満たす方法で行う必要があります。
出典(一次情報)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条(取引時確認等)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律 第6条(確認記録の作成義務等)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律 第7条(取引記録等の作成義務等)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律 第11条(取引時確認等を的確に行うための措置)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第6条(顧客等の本人特定事項の確認方法)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第20条(確認記録の記録事項)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第21条(確認記録の保存期間の起算日)
- 🔗 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第24条(取引記録等の記録事項)
- 🔗 2027年犯収法改正に対応した本人確認ソリューションを提供開始(Google News)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。