結論:令和5年度 司法書士試験 午後の部 第22問(不動産登記法(地上権の登記))で、ことのりは5記述のうち公式正解と一致したのは3記述で、記述イ・ウを取りこぼしました。ことのりはイ・ウを『誤り』と判定した結果、公式正解の組合せ「アオ」(=誤っている記述)に絞り込めませんでした。本シリーズの「外した回」です。うまくいった回だけでなく、外した回も隠さず公開します。

本記事は、AI法令検索「ことのり」(本番稼働中のサービスそのもの)に実際に検索を実行させた結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した検証記録です。試験問題および正解は、法務省が公表する司法書士試験の問題・正解から引用しています。本記事は特定の試験対策・法的助言を目的とするものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の条文や一次情報、必要に応じて専門家にご確認ください。

検証の方法

第22問は、不動産登記法(地上権の登記)に関するアからオまでの5つの記述のうち「誤っているものの組合せ」を選ぶ問題です。方法はシリーズ共通で、各記述を1つずつ、「次の記述は、現行法令に照らして正しいですか、誤っていますか。根拠となる条文を挙げて判定してください」という形で本番稼働中のことのりにそのまま入力し、返ってきた判定を法務省公表の正解と照合しました。プロンプトの工夫・再試行・人間による誘導はありません。

ことのりの判定結果:5記述中3記述が一致(記述イ・ウを取りこぼし)

記述ことのりの判定挙げた主な根拠条文公式正解との照合
記述ア誤り民法265条○ 一致
記述イ正しい不動産登記法113条× 不一致
記述ウ正しい不動産登記法66条× 不一致
記述エ正しい不動産登記法59条1号○ 一致
記述オ誤り民事執行法82条○ 一致

各記述の解説

記述ア:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)

記述:A・B・Cが所有権登記名義人である土地について、A・Bが、Cに対して、A・Bの持分に地上権を設定することを承諾した場合、Cを地上権者としてA・Bの持分につき地上権を設定する登記を申請することができる。

根拠条文:民法265条
地上権は土地そのものを客体とする物権であり、共有持分の上に設定することはできません(民法265条)。ことのりは登記先例まで引いて『誤り』と判定し、公式正解(誤っている記述)と一致しました。

記述イ:ことのりの判定「正しい」(公式と不一致)

記述:地上権の設定の保全仮登記に基づく本登記を申請する場合、仮処分の債権者は、当該申請と同時に、単独で、保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる質権の設定の登記の抹消を申請することはできない。

根拠条文:不動産登記法113条
ことのりは『法113条により質権も単独抹消の対象になる』と読み『誤り』と結論しましたが、公式正解は『正しい』(=単独抹消できない)です。法113条が単独抹消の対象とするのは『当該不動産の使用又は収益をする権利又はこれを目的とする権利の設定若しくは移転に関する登記』です。本記述の『質権の設定の登記』は土地そのものを目的とする質権であり、『不動産の使用又は収益をする権利』(地上権・永小作権・地役権・賃借権)にも『これを目的とする権利』にも当たらないため、法113条の単独抹消の対象になりません。ことのりは条文文言の『これを目的とする権利』を広く読みすぎました。

記述ウ:ことのりの判定「正しい」(公式と不一致)

記述:区分地上権の設定の登記がされている土地の当該区分地上権を、竹木の所有を目的とする地上権に変更する旨の地上権の変更の登記を申請することができる。

根拠条文:不動産登記法66条
ことのりは『区分地上権と竹木所有目的の地上権では権利の同一性が保たれない』と解し『誤り』と結論しましたが、公式正解は『正しい』(=変更登記を申請できる)です。区分地上権の目的を通常の地上権の目的(竹木所有)に変更することは、権利の同一性を維持しつつ内容と範囲を変更する登記として、法66条の変更登記の対象になります。範囲の指定を削除し目的を変更する形で登記が可能です。

記述エ:ことのりの判定「正しい」(公式と一致)

記述:乙区1番で登記された地上権の持分を売買により取得したAが、その持分の一部を更にBに売却した場合に申請する登記の目的は、『1番地上権A持分一部移転』である。

根拠条文:不動産登記法59条1号
登記の目的の記載形式として、共有者の持分の一部移転を『○番地上権○持分一部移転』と表示する実務が定着しています。ことのりは『正しい』と判定し、公式正解と一致しました。

記述オ:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)

記述:強制競売により法定地上権が設定されたものとみなされた場合には、地上権の設定の登記は、裁判所書記官の嘱託によってされる。

根拠条文:民事執行法82条
民事執行法82条による裁判所書記官の嘱託登記は所有権移転や差押登記の抹消などに限られ、法定地上権の設定登記は含まれません。法定地上権の登記は、原則として登記権利者・登記義務者の共同申請または判決による単独申請で行います。ことのりは『誤り』と判定し、公式正解と一致しました。

この結果から言えること

  • ことのりが外した記述イは、法113条の単独抹消の対象範囲という条文の適用範囲を巡る論点でした。条文文言の『これを目的とする権利』を広く読みすぎ、土地を目的とする質権まで対象に含めて『単独抹消できる』と結論してしまいました。
  • 記述ウは、区分地上権と通常地上権の間の変更登記の可否という登記先例で運用される論点で、条文からの一般論で『権利の同一性が保たれない』と判定して外しました。ここでも登記先例の運用の壁が現れました。
  • 教訓は明確です。条文の文言解釈だけでは登記先例の運用まで追いきれないこと。AIの筋の通った説明ほど、条文の適用範囲を必要以上に広げたり、権利同一性の判断を厳しく取ったりする傾向があります。最終判断は必ず条文と登記先例で行ってください。

シリーズ累計成績(随時更新)

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司法書士試験(不動産登記法など)の条文知識を問う問題で同じ検証を進めています。うまくいった回だけを選んで載せることはせず、外した問題も隠さず解剖して公開します。

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よくある質問

AIは条文の適用範囲を正確に判断できますか?

本検証では、法113条の単独抹消の対象範囲について、条文の一部の文言だけを拾って対象を広く読みすぎた例がありました。適用範囲の判断は条文の全体構造と趣旨を踏まえる必要があり、AIの一般論的な解釈がずれることがあります。最終判断は条文と登記先例で行ってください。

地上権の登記はなぜ試験で頻出なのですか?

地上権は工作物所有・竹木所有・区分地上権など多様な形態を持ち、単独抹消・変更登記・法定地上権など手続論点も多いため、条文知識の理解を測るのに適した領域です。最終確認は条文と登記先例で行ってください。

出典(一次情報)

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