結論:令和6年度 司法書士試験 午後の部 第14問(不動産登記法(代位による登記))で、ことのりは5記述のうち公式正解と一致したのは4記述で、記述ウ(差押債権者による代位申請での代位原因証明情報の要否)を取りこぼしました。ことのりは記述ウを『誤り』と判定した結果、公式正解の組合せ「ウエ」に絞り込めませんでした。本シリーズの「外した回」です。うまくいった回だけでなく、外した回も隠さず公開します。

本記事は、AI法令検索「ことのり」(本番稼働中のサービスそのもの)に実際に検索を実行させた結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した検証記録です。試験問題および正解は、法務省が公表する司法書士試験の問題・正解から引用しています。本記事は特定の試験対策・法的助言を目的とするものではありません。実際の判断にあたっては、必ず最新の条文や一次情報、必要に応じて専門家にご確認ください。

検証の方法

第14問は、不動産登記法(代位による登記)に関するアからオまでの5つの記述のうち「正しいものの組合せ」を選ぶ問題です。方法はシリーズ共通で、各記述を1つずつ、「次の記述は、現行法令に照らして正しいですか、誤っていますか。根拠となる条文を挙げて判定してください」という形で本番稼働中のことのりにそのまま入力し、返ってきた判定を法務省公表の正解と照合しました。プロンプトの工夫・再試行・人間による誘導はありません。

ことのりの判定結果:5記述中4記述が一致(記述ウを取りこぼし)

記述ことのりの判定挙げた主な根拠条文公式正解との照合
記述ア誤り不動産登記令7条1項3号○ 一致
記述イ誤り不動産登記法64条2項○ 一致
記述ウ正しい不動産登記令7条1項3号× 不一致
記述エ正しい不動産登記規則183条○ 一致
記述オ誤り不動産登記法21条○ 一致

各記述の解説

記述ア:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)

記述:A→B→Cと順次売買がされたが、Bが所有権移転登記に協力しない場合において、CがBに代位してAと共同してA→Bの所有権移転登記を申請するときの代位原因を証する情報は、B→Cの所有権移転登記手続を命ずる旨の確定判決の正本でなければならない。

根拠条文:不動産登記令7条1項3号
代位原因を証する情報は、代位関係を証する書面(売買契約書・登記手続を求める内容証明郵便等)で足り、必ずしも『確定判決の正本』でなければならないわけではありません。ことのりは『確定判決に限られない』として『誤り』と判定し、公式正解と一致しました。

記述イ:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)

記述:Aが所有権登記名義人、B抵当権者・C債務者の抵当権設定登記がされている場合、Cの住所に変更が生じたときは、BはAに代位して、単独でCの債務者の住所変更登記を申請することができる。

根拠条文:不動産登記法64条2項
債務者の氏名・住所の変更登記は、原則として抵当権者Bが単独で申請することができ(法64条2項)、所有者Aに代位する構成をとる必要はありません。『Bが単独申請できる』という結論は同じでも、その根拠を『Aに代位して』とする点が誤りで、ことのりも『誤り』と判定し、公式正解と一致しました。

記述ウ:ことのりの判定「正しい」(公式と不一致)

記述:買戻し特約付きのA→B所有権移転登記がある甲不動産について、その後Cを抵当権者とする抵当権設定登記と差押えの登記がされた場合において、CがBに代位してAと共同して買戻し特約の登記の抹消を申請するときは、代位原因を証する情報の提供を要しない。

根拠条文:不動産登記令7条1項3号
ことのりは、代位申請には代位原因を証する情報の提供が必要という不動産登記令7条1項3号の一般原則から『誤り』と判定しましたが、公式正解は『正しい』(=提供を要しない)です。差押えの登記が既にされている抵当権者Cが、その差押えに基づいて所有者Bに代位して買戻し特約の抹消を申請する場面では、差押えの登記自体が代位関係(差押債権者としての地位)を登記記録上明らかにしているため、別途『代位原因を証する情報』を提供する必要はないとする登記先例が確立しています。ことのりは条文の原則に忠実に判定しましたが、登記記録から代位関係が読み取れる場合に情報省略を認める先例の運用を捉えきれませんでした。

記述エ:ことのりの判定「正しい」(公式と一致)

記述:Aが所有権登記名義人、Aが死亡し相続人B、Bの債権者CがBに代位して相続を原因とするA→Bの所有権移転登記を申請し、登記が完了したときは、登記官はB及びCに対して登記が完了した旨を通知しなければならない。

根拠条文:不動産登記規則183条
債権者代位による登記が完了した場合、登記官は不動産登記規則183条1項2号により、被代位者B及び代位者Cの双方に登記完了の通知をしなければなりません。ことのりは『正しい』と判定し、公式正解と一致しました。

記述オ:ことのりの判定「誤り」(公式と一致)

記述:同じ場面で登記が完了したとき、C(代位債権者)に対して登記識別情報が通知される。

根拠条文:不動産登記法21条
登記識別情報は法21条により、登記名義人となる申請人にのみ通知されます。代位債権者Cは登記名義人となる者ではないため、Cに登記識別情報は通知されません。ことのりは『誤り』と判定し、公式正解と一致しました。

この結果から言えること

  • ことのりが外した記述ウは、代位申請では代位原因を証する情報が必要という原則の例外――差押えの登記がすでにされている場合に情報提供を省略できるという登記先例の運用が問われる問題でした。
  • ことのりは不動産登記令7条1項3号の原則どおりに『代位原因を証する情報が必要』と判定しましたが、登記記録から代位関係が読み取れるときは情報省略が認められるという先例の存在を捉えきれませんでした。条文にない省略先例で決着する論点で、AIが原則側に張って外す典型的なパターンです。
  • 教訓は明確です。代位申請の場面では、原則ではなく登記記録から代位関係を読み取れる先例的な省略運用があるかを必ず確認してください。AIは条文の原則を丁寧になぞりますが、先例の運用まで責任は持てません。本記事はうまくいった回だけでなく、外した回も隠さず公開するシリーズ方針に沿うものです。

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よくある質問

AIは登記先例による省略ルールに対応できますか?

本検証では、差押えの登記から代位関係が読み取れる場合に代位原因証明情報の提供を省略できるという先例を、ことのりは捉えきれずに原則どおり『必要』と判定しました。先例に基づく省略運用は条文の外にあるため、AIが原則に忠実に判定すると外れることがあります。最終確認は登記先例・登記研究で行ってください。

代位による登記とはどういう制度ですか?

民法423条の債権者代位権に基づき、債務者が有する登記申請権を債権者が代わって行使する登記です。例えば、抵当権者や差押債権者が、所有者の登記懈怠により自らの権利実現が妨げられている場合に、所有者に代位して所有権移転登記等を申請できます。最終確認は不動産登記法と登記先例で行ってください。

出典(一次情報)

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