パート・アルバイトや契約社員を雇っている事業者には、「雇入れ時に特定事項を文書で明示する義務」と「求めがあったときに待遇差を説明する義務」の2つが法律上課されています。結論から言えば、この2つの義務について、パートタイム・有期雇用労働法(正式名称「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)自体に直接的な過料を科す規定は置かれていません。ただし、行政による報告徴収・助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合には事業主名等の公表という措置がありえます。

今回この法令を調べたきっかけは、パートタイム・有期雇用労働法の改正でガイドライン改定と過料リスクへの対応が必要になるという報道が出ていたことです。ガイドライン改定と「過料リスク」という言葉が並ぶと、どの条文が根拠でどこまでが義務なのかが分かりにくくなります。そこで、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に条文を検索し、義務の中身と制裁の仕組みを一次情報で確認しました。この記事では、説明義務の3つの場面、雇入れ時に明示すべき特定事項、2026年10月からの改正点、そして違反した場合に実際に何が起こりうるのかを条文ベースで整理します。

本記事は、AI法令調査ツール「ことのり」で実際に検索した結果(関連条文・出典リンク付き)をもとに編集した参考情報です。労働関係法令は改正が頻繁で、同一労働同一賃金ガイドラインのような指針類の運用実務も伴います。個別の待遇差が不合理かどうかの判断は、職務内容・配置の変更範囲など各社の実情に左右されます。最終判断は一次情報と専門家(社会保険労務士等)にご確認ください。

2つの義務を整理する

パートタイム・有期雇用労働法が事業主に課している義務のうち、今回のニュースで焦点となっている「説明」「明示」に関わるものは、条文上はっきり分かれています。

  • 雇入れ時の特定事項の明示義務… 同法第6条(文書の交付等)
  • 措置内容の説明義務・待遇差の説明義務… 同法第14条

いずれも対象は短時間労働者および有期雇用労働者です。パート・アルバイト・契約社員を1人でも雇っていれば関係してきます。

説明義務は3つの場面に分かれる

1. 雇入れ時の措置内容の説明(第14条第1項)

事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、同法第8条から第13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項について、講ずることとしている措置の内容を説明しなければなりません(同法第14条第1項)。

ただし、労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項(いわゆる絶対的明示事項)と、後述の「特定事項」は、この説明義務の対象から除かれています。これらは明示義務の側でカバーされるため、重複を避ける形になっています。

2. 求めがあった場合の待遇差の説明(第14条第2項)

事業主は、雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあった場合、次の事項を説明しなければなりません(同法第14条第2項)。

  • 当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容および理由
  • 同法第6条から第13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項

「求めがあった場合」がトリガーになるため、事業主側としては、求められたときに答えられる状態を日ごろから用意しておくことが実務上のポイントになります。

3. 不利益取扱いの禁止(第14条第3項)

事業主は、短時間・有期雇用労働者が待遇差の説明を求めたことを理由として、当該労働者に対して不利益な取扱いをしてはなりません(同法第14条第3項)。説明を求めやすい状態を法律が担保している構造です。

雇入れ時に明示すべき「特定事項」

同法第6条第1項は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、労働基準法第15条第1項の厚生労働省令で定める事項以外のもので厚生労働省令で定めるもの(=「特定事項」)を、文書の交付その他の方法で明示することを求めています。

その具体的な中身は、同法施行規則第2条で次の4つと定められています。

  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無
  4. 短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

明示の方法

原則は文書の交付です。ただし労働者が希望した場合には、次の方法も認められています(同法施行規則第2条)。

  • ファクシミリを利用しての送信
  • 電子メールその他の受信者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信(労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成できるものに限る)

また、同条は、事業主が明示する労働条件を事実と異なるものとしてはならないことも定めています。テンプレートを流用した結果、実態と合わない内容を渡してしまうケースは実務上起こりやすいところです。

2026年10月からの改正点

2026年10月からは、雇入れ時の労働条件明示事項として、短時間・有期雇用労働者が「待遇差の説明を求めることができる旨」が追加される予定です。これは、労働者が自身の待遇について事業主に説明を求める権利があることを、雇入れの時点で明確に知らせるためのものです(厚生労働省Webマガジン、厚生労働省資料)。

実務への影響は明確で、労働条件通知書や雇用契約書のひな形に1項目を足す作業が必要になります。あわせて、同一労働同一賃金ガイドラインの見直しも改正ポイントとして示されています。

違反した場合に実際に起こること

ここが今回いちばん確認したかった部分です。検索結果の範囲では、パートタイム・有期雇用労働法には、これらの説明義務・明示義務に違反した場合に直接的な過料を科す規定は設けられていません。代わりに、次の行政措置が用意されています。

1. 報告の徴収、助言、指導、勧告(第18条第1項)

厚生労働大臣は、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、短時間・有期雇用労働者を雇用する事業主に対して、報告を求め、または助言、指導もしくは勧告をすることができます(同法第18条第1項)。

2. 公表(第18条第2項)

第6条第1項(特定事項の明示義務)、第9条、第11条第1項、第12条から第14条まで(説明義務を含む)および第16条の規定に違反している事業主に対し、厚生労働大臣が勧告を行ったにもかかわらず、その勧告に従わなかった場合、その旨を公表することができるとされています(同法第18条第2項)。

金銭的な制裁ではありませんが、事業主名が公表されることは社会的信用に影響しうるため、間接的な制裁として機能する仕組みです。人手の確保が課題になっている事業者にとっては、採用への影響という面でも軽く見られない措置と言えます。

実務の流れとして押さえるところ

雇入れのとき

まず労働基準法第15条第1項の絶対的明示事項に加えて、本法に基づく特定事項(昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口、そして2026年10月からは待遇差の説明を求めることができる旨)を、速やかに文書等で明示します(同法第6条、同法施行規則第2条)。そのうえで、同法第8条から第13条までの規定により講ずることとしている措置の内容を、速やかに本人へ説明します(同法第14条第1項)。

労働者から求めがあったとき

通常の労働者との待遇の相違の内容と理由、および待遇決定に当たって考慮した事項を説明します。そして、説明を求めたことを理由に不利益な取扱いをしないことが求められます(同法第14条)。

条文の原文も、その場で確認できます

この記事で引用した条文は、すべてAI法令調査ツール「ことのり」の検索結果と一次情報(e-Gov法令検索)に基づいています。自社のケースに置き換えて条文を追いたいときは、同じ質問をそのまま投げて、出典付きの調査結果を確認してみてください。

パート・有期雇用の説明義務をことのりで調べる

よくある質問

説明義務や明示義務を守らなかった場合、過料を取られるのですか。

今回確認した範囲では、パートタイム・有期雇用労働法には、説明義務・明示義務の違反に対して直接的な過料を科す規定は設けられていません。ただし、同法第18条に基づき、厚生労働大臣による報告徴収・助言・指導・勧告の対象となり、第6条第1項や第14条などの規定に違反している事業主が勧告に従わなかった場合には、その旨を公表することができるとされています。金銭的制裁ではありませんが、公表は社会的信用に影響しうる措置です。なお、他の法令に基づく制裁の有無は別途確認が必要です。

雇入れ時に文書で明示しなければならない「特定事項」は何ですか。

同法施行規則第2条により、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口の4つです。これらは労働基準法第15条第1項の絶対的明示事項とは別枠で、本法が追加で求めているものです。原則は文書の交付ですが、労働者が希望した場合はファクシミリや電子メール等(書面を作成できるものに限る)による明示も認められています。

2026年10月の改正で、労働条件通知書は書き換えが必要ですか。

2026年10月からは、雇入れ時の労働条件明示事項として「待遇差の説明を求めることができる旨」が追加される予定とされています。したがって、労働条件通知書や雇用契約書のひな形にこの項目を反映する準備が必要になると考えられます。あわせて同一労働同一賃金ガイドラインの見直しも改正ポイントとして示されているため、自社の待遇決定の考え方を整理し直す機会にもなります。具体的な記載方法は厚生労働省の公表資料および専門家にご確認ください。

出典(一次情報)

※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。

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