職場のパワーハラスメント(パワハラ)防止措置義務の根拠条文は、労働施策総合推進法第30条の2(正式名称:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)です。条文の原文は、政府の法令データベース「e-Gov法令検索」で誰でも読むことができます。
本記事では、e-Gov法令検索で確認できる第30条の2の条文全文とその読み方、事業主に義務付けられる措置の内容、相談した労働者への不利益取扱いの禁止、厚生労働大臣が定める指針(パワハラ指針)との関係までを、条文の根拠とあわせて整理します。
パワハラ防止措置義務の根拠条文はどこにあるか
パワハラ防止措置義務を定めているのは、労働施策総合推進法第30条の2(雇用管理上の措置等)です。2020年6月1日に施行された改正により新設された規定で、事業主に対し、職場におけるパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を講じることを義務付けています。この義務は、大企業には2020年6月1日から、中小企業には2022年4月1日から適用されています。
e-Gov法令検索では、同法のページ内の該当条文(第30条の2)へ、上記リンクから直接アクセスできます。
第30条の2の条文全文(e-Gov法令検索より)
e-Gov法令検索で確認できる第30条の2の条文は、次のとおりです。
(雇用管理上の措置等)
第三十条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。2 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
4 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする。
5 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
6 前二項の規定は、指針の変更について準用する。
条文の読み方:パワハラの3つの要素
第30条の2第1項は、防止すべきパワーハラスメントを「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義しています。次の3つの要素をすべて満たすものと解釈されます。
- 優越的な関係を背景とした言動:業務を遂行するにあたって、行為者が被害者よりも優位な立場にあることを背景に行われるもの
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの:業務上の指導や注意の範囲を超え、社会通念上許容される範囲を超えるもの
- 労働者の就業環境が害されること:その言動により労働者が身体的・精神的な苦痛を感じ、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、就業する上で看過できない程度の支障が生じること
逆にいえば、業務上必要かつ相当な範囲内で行われる適正な指導は、この定義には該当しません。個別の言動が該当するかどうかは、業務の性質、言動の目的・態様・頻度などを総合的に考慮して判断されます。
事業主に義務付けられる「雇用管理上必要な措置」
第30条の2第1項は、事業主に対し「当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置」を講じることを義務付けています。具体的に何をすべきかは、第3項に基づいて厚生労働大臣が定める指針(いわゆるパワハラ指針)に示されており、主に次の4つの柱で整理されています。
- 事業主の方針の明確化と周知・啓発:パワハラを行ってはならない旨の方針の明確化、行為者への厳正な対処方針・懲戒規定の就業規則等への規定と周知
- 相談・苦情への対応体制の整備:相談窓口の設置と、担当者が相談内容・状況に応じて適切に対応できる体制づくり
- 事後の迅速かつ適切な対応:事実関係の迅速・正確な確認、行為者への措置、被害者への配慮(配置転換・メンタルヘルスケア等)、再発防止策
- プライバシー保護と不利益取扱いの禁止:相談者・行為者等のプライバシー保護の措置、相談等を理由とする不利益取扱いの禁止の周知
指針では、パワハラの代表的な類型(身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害)や、該当しないと考えられる例も示されており、実務上の判断の指針になります。
相談した労働者への不利益取扱いは禁止(第2項)
第30条の2第2項は、労働者がパワハラに関する相談を行ったこと、または事業主による相談対応に協力して事実を述べたことを理由として、その労働者に解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止しています。相談をためらう要因を取り除き、労働者が安心して相談できる環境を法律で保障する趣旨です。
あわせて確認したい第30条の3(責務規定)
第30条の2に続く労働施策総合推進法第30条の3は、国・事業主・労働者それぞれの責務を定めています。事業主には、優越的言動問題に対する労働者の関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮を行う努力義務が課され、事業主の役員自身も関心と理解を深めて言動に注意を払うよう努めることとされています。第30条の2の措置義務を実効性あるものにするための補完的な規定です。
条文の原文や関連指針も、その場で確認できます
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パワハラ防止措置義務をことのりで調べるよくある質問
Q1. パワハラ防止措置義務の根拠条文は、e-Govではどこを見ればよいですか?
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)の第30条の2(雇用管理上の措置等)です。e-Gov法令検索の同法のページで該当条文に直接アクセスできます。
Q2. 中小企業にもパワハラ防止措置義務はありますか?
あります。第30条の2に基づく措置義務は、大企業には2020年6月1日から、中小企業には2022年4月1日から適用されています。企業規模を問わず、相談体制の整備などの雇用管理上必要な措置を講じることが求められます。
Q3. パワハラを相談した従業員を不利に扱うとどうなりますか?
第30条の2第2項により、相談を行ったことや、相談対応に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いは禁止されています。相談窓口の運用では、この不利益取扱いの禁止をあわせて周知することが重要です。
出典(一次情報)
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。