結論:令和7年司法試験 短答式試験(民法)第28問(組合)で、AI法令検索「ことのり」は5記述中4記述は正解と一致したものの、記述イの判定を外し、問題単位では不正解となりました。「外した問題」解剖の第2弾です。今回の外し方は前回(第4回・定型約款)とも違い、条文の文言を素直に読んだ結果、文言と公式解釈の乖離という法律の難所に正面からぶつかったものでした。
第28問の内容(民法上の組合)
第28問は、民法上の組合に関する次のアからオまでの各記述のうち「正しいものの組み合わせ」を選ぶ問題です(配点2点。出典:法務省「令和7年司法試験 短答式試験問題集[民法]」)。
ア.組合員は、他の組合員が組合契約に基づく出資債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができる。
イ.業務執行者があるときであっても、業務執行者でない組合員は、組合の常務については他の組合員を代理することができる。
ウ.組合員が組合財産についてその持分を処分したときは、組合員は、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。
エ.組合契約に別段の定めがないときは、組合員は、組合員の過半数の同意によって、新たに組合員を加入させることができる。
オ.組合員は、後見開始の審判を受けたことによって脱退する。
ことのりの判定結果:4記述一致・1記述不一致
| 記述 | ことのりの判定 | 挙げた主な根拠条文 | 法務省正解との照合 |
|---|---|---|---|
| ア | 誤り | 民法667条の2第2項 | 一致 |
| イ | 正しい | 民法670条の2第3項 | 不一致(正解は「誤り」) |
| ウ | 正しい | 民法676条1項 | 一致 |
| エ | 誤り | 民法677条の2第1項 | 一致 |
| オ | 正しい | 民法679条3号 | 一致 |
法務省正解は「4」(ウとオが正しい)。ことのりはイも「正しい」と判定したため、組み合わせを絞れず、問題単位では不正解です。
外した記述イ:条文を読んでみてください
民法670条の2は組合の代理について、おおむね次の構造で定めています。
- 1項:各組合員は、組合員の過半数の同意を得て、他の組合員を代理できる
- 2項:業務執行者があるときは、業務執行者のみが組合員を代理できる
- 3項:前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者は、組合の常務を行うときは、単独で組合員を代理することができる
ことのりは3項の「前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者は」という文言を根拠に、業務執行者がいる場合でも組合員は常務について代理できる=記述イは「正しい」と判定しました。文言だけを読めば、自然な読み方です。
しかし法務省の正解はイを「正しくない」側に置いています。これは、業務執行者を定めた以上は代理権を業務執行者に集中させるという2項の趣旨を踏まえ、3項の「各組合員」は業務執行者を定めていない場合を指すとする、平成29年民法改正の立案担当者の解釈に沿ったものです。条文の文言と公式解釈が割れている論点で、受験予備校の解説でも「条文の文言からは読み取りにくい」と指摘される難所です。
この結果から言えること
- 条文の特定と引用は正確だった:670条の2第3項という正しい条文に到達し、引用も原文どおりでした。間違えたのは「文言をどこまで額面どおりに受け取るか」です。
- 文言と解釈の乖離は、条文検索の構造的な限界:この種の論点は立法資料・解説文献・判例まで当たらないと決着がつきません。条文に書いていないことは、条文検索では出てきません。
- 実務での使い方:ことのりで関連条文と論点の所在を素早く特定し、解釈が分かれうる重要場面では弁護士・司法書士など専門家に確認する。この分業が最も安全で効率的です。
シリーズ累計成績
令和7年司法試験 短答式試験(民法)のうち条文知識を問う10問(第1・2・5・14・15・25・28・32・34・36問)・計50記述で同じ検証を行った結果は次のとおりです。
- 記述単位の正誤判定:50問中47問が法務省正解と一致
- 問題単位(組合せ選択肢の導出):10問中7問正解
正解できなかった3問(第25・28・36問)も含めて、全問をこのシリーズで公開します。うまくいった例だけを選んで載せることはしません。第1回はこちら。
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この問題の論点を実際に検索してみるよくある質問
条文に書いてあるとおりに読んだのに、なぜ間違いになるのですか?
法律の条文は、立法時の資料や学説・判例によって文言の射程が限定されることがあります。本問の民法670条の2第3項はその典型で、文言だけを読むと記述は正しく見えますが、立案担当者の解釈では業務執行者がいる場合は組合員は常務でも代理できないとされています。
AIはこの種の問題を解けないのですか?
条文の文言と解釈が割れる論点は、条文検索だけでは決着がつきません。立法資料や解説文献まで含めた確認が必要な場面で、専門家への相談が最も価値を持つ領域です。AIはその入口(関連条文の特定)までを高速化する道具と位置づけるのが適切です。
正解した4記述の精度はどうでしたか?
667条の2第2項(解除の制限)、676条1項(持分処分)、677条の2第1項(加入は全員同意)、679条3号(後見開始による脱退)と、いずれも正しい条文を引いて法務省正解と一致しました。
※本記事はAIによる調査支援を活用して作成した参考情報です。検証結果は記載の問題・時点におけるものであり、すべての検索で同等の結果を保証するものではありません。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報および専門家にご確認ください。